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Ex001_幕間_短い報告
夜、村の外れで、フォノンは足を止めた。
家々の明かりは、背中の方にある。前には誰もいない。
周囲に人影が無いことを確かめてから、少し脇へ入った。夕方に持ち歩いていた研究の道具は、ここでは出さなかった。
家々に背を向けたまま、フォノンは誰もいない暗がりへ話し始めた。村では聞かない響きの言葉を、呼びかけるよりも低い声で、短く区切って告げる。
村で話していた時の抑揚はなく、言葉の切れ目も揃っていた。何を告げているのかは、その響きからは分からない。
告げ終えても、すぐには動かなかった。
遠くで戸の閉まる音がした。
フォノンは村の方を見た。明かりの一つが消えた。しばらく待ち、また暗がりへ顔を戻す。
同じ響きで、さらに短い言葉を告げた。
夕方の声を、少しだけ真似た。
「お友達です」
誰かへ聞かせる口調は、簡単に戻せた。
それ以上は話さず、フォノンは道へ出た。村の人とすれ違ってもおかしくないところへ来ると、歩く速さを落とした。
戻っていく姿に、夕方と違うところはなかった。




