17 なるようになる
作戦は失敗した。なぜ失敗したか、私が小さな竜の存在に興奮しすぎたからである。
「ユウシン?!なぜここに!いつ気づいたのですか?!」
いつの間にか後ろにいたユウシンに驚きを隠せない。メヴィアに言われるまで全く気づけなかった。
「はっ!私が気づけなかっただけで、さては魔法を使いましたね?」
「いや、流石にあそこまで騒がれたら僕じゃなくても気づくよ。」
「騒いだ?誰がです?」
「…ふっ。あははは!レンカは本当に愉快だね。」
ユウシンは驚いたような顔をした後、何故か笑いはじめた。今のやり取りで私は何か面白いことを言っただろうかと考えるが、特に思い当たる節もない。
「ちょっとちょっと!なに普通に話してんのよレンカ!」
と、そこで今度はメヴィアが私に話しかけてくる。後ろを向いたり、前を向いたりと大変だ。
「メヴィア、来てくれたんですね。でもごめんなさい。すごく申し訳ないのですが、作戦は…作戦は失敗してしまいました。」
「みたら分かるわよ!というか、あなたが竜と戯れているところからしっかりとみてたから!」
「あっ!なるほど!じゃあメヴィアもこの可愛い竜を一目みにきたんですね?」
「違う!そうじゃない!もう!」
前も後ろも何やら慌ただしい様子。
「何やらよく分からないけど、とりあえずこの子は返してもらうよレンカ。」
「えっ?あっ!」
そう思った直後、ユウシンに抱いていた竜をあっさりと奪われてしまう。
「しまった!私の!」
「おい!勘違いするなよ人間!決して貴様のものではないからな!」
「君…ツンデレ要素もあったの?!」
「違うわい!何をどう解釈したらそうなるんだ!うっ!ユウシン!この娘まずいぞ!たまにいる本気でやばい人間だ!」
離れる時の、この少し反抗的な態度も可愛い。それにしても、少し油断していた。メヴィアの方を向いていたため、そっちまで気にすることができなかった。
「うう、ユウシン…その子をあと少しだけ私に…抱かせて?ね?」
「ユウシン、絶対に渡すなよ。この娘、人の皮を被った化け物に違いない。」
「心外な!これでも人間だよ?見た目通りだよ?ほら、おいで?警戒しないで?お姉さんは悪い人じゃないよ?」
「おいでと言いながら近寄ってくる奴がどこにいる!離れろ!それに僕は見た目の話をしたんじゃない、中身の話をしたんだ!この獣!竜を侮辱するなんて…なんて恐ろしい娘だ。」
怖がっている目も可愛い。つい口にでそうになっが、流石にこの発言だけはまずいと思い我慢した。
「人間、我が子と仲良くしてくれるのはありがたく、とても嬉しいことだが、レブルが少し脅えている。もう少し控えめに接してくれると助かるよ。」
と、そこで一人の男がそう言って前にでてきた。前に現れたのは、ユウシンの後ろにいた銀髪の男の人だ。赤髪の男もそうだが、ユウシンと同じぐらい身長が高い上にかなり体格もいいので、改めて三人が並んでいると凄く圧を感じる。
だが、それよりも私が気になったのは、彼の発言の内容だった。聞き間違いでなければ、我が子と言っていたような気がしたのだが。
「我が子…とは?」
「ああ、私の子だ。」
「うぇ?!やっぱり?!」
「ああ、そうだが…何か?」
自分の目が正常か疑いたくなる真実だった。銀髪の男だと思っていた人が、まさかの女性だったなんて。いや、言葉通りなら、人と言っていいのかも分からないが、でも確かに目の前の女性はそう答えた。
「信じられない…だってどこをどう見ても人じゃないですか…」
「今は、王の魔法で人の姿になってるだけさ。ちなみに、そこの赤髪の男も竜だよ?そして私の夫でもある。」
「二人共!?全く分からなかった…」
「それは仕方ない。王の魔法はよくできているからね。」
ここまで種明かしをされ、ようやく二人の正体が、穴の下にいた二匹の竜だと気づく。白い竜がこの方で、赤い竜は、もう一人の赤髪の方で間違いないだろう。
今思えば、それぞれ髪色に特徴がしっかりあったのだ。そしてそう考えれば、突然現れたこの二人の存在にも納得できる。
「…それで?レンカとメヴィアは何をしに?」
と、そこまで話したところで、今度はユウシンだ。抱いていた小さな竜を、今は銀髪の女性の姿をした白い竜に預けると続けて
「竜に用事があるとは思えないし…僕となにか話したいことでもあったのかい?」
どう答えるべきか。こんなところで質問攻めをするわけにもいかない。
とはいえ、話したいことはあるけどここでは話せない内容なんですとも言えない。適当に話せる話題を用意してきたわけでもないので、メヴィアも黙ってしまっている。
「レンカ?メヴィア?」
だが、自分たちから会いに行って、ここで黙るのも不自然だろう。だから私は短い時間の中、高速で脳内で考えた。
どうやったら、自然に私とメヴィア、そしてユウシンだけで話せる場所に移動することができるかと。怪しむことなく自然に向こうも移動してくれるような、そんなこの状況を突破できる魔法の言葉を考えて考えて考えて
そして、思い浮かんだのが
「気づかれたら、その時はメヴィアと私、二人で新人の悪知恵でしたごめんなさいってユウシンに謝って、もう正々堂々と正面から聞いちゃいましょう。何隠しているんですかって。話せー!って。」
昨夜の、作戦会議で私が言った気づかれた場合についての言葉で
「えっとぉ…そう!ユウシンに用があったの!私とメヴィア、そしてユウシンの三人の関係…三角関係について!!」
きっと色々なものが混じってしまったのだろう。気づいたら、自分でもよく分からない発言をしていて
「レ、レンカ?それは?」
メヴィアも何を言ってるんだと言いたそうな顔で私をみているが、私自身も何を言っているんだと驚いている。
「王?!三角関係とは?!」
「本当かよ王!」
「さ、さ、三角関係?!ユウシン?!」
人の姿をした白い竜も、赤い竜も、そして抱かれている緑の竜さえも、その突如暴露された、嘘の真実に驚きを隠せないでいた。そして、その発言に最も驚いていたのは当然ユウシンで
「…待ってくれ、何がどうなってそうなったのかは分からないが、レンカ、君のそれは誤解だ。」
そして、意外とこの発言がユウシンには有効的だったようで、明らかに焦っているのがみてわかり
(あれ?私はてっきりまた笑われると思ったんだけど…これは逆にチャンス?)
そう思った私は、もう一押しだと思い
「誤解じゃないです!私とメヴィアに隠していることがあって、嘘をついているって知ってるんですから!」
この言葉が決定打となった。
「落ち着こうレンカ。一旦場所を変えて話そうじゃないか。」
想定していた展開とは全く異なるが、結果、私達はこうして三人になることに成功した。
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