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歪んだ輪舞曲(ロンド)〜鉄の処女と白銀の駿馬〜 ――私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。※乗れません  作者: 山田りく
1章 私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。

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ホワイトボードの修羅場(そして一旦の幕引き)

会議室へ移動したハンスは、青白い顔でホワイトボードにマーカーを走らせた。『エドワード⇄セレナ(ツンデレ口喧嘩密会)』『マリアンヌ⇄アレクサンダー(深夜の超高速牽引リンク)』という昼ドラ並みに複雑な相関図を描き終え、新しい胃薬をトリプルスコアで飲み込む。


 セレナがホワイトボードをバシバシ叩いた。


「見てみなさいよエドワード! 全てはあなたの女々しさが原因なんだからね!」


「言いがかりはやめろ、セレナ! 君が寂しそうな顔で僕を見るからだろ!」


「ブルルルル!(俺の背に乗れ、マリアンヌ! ※乗れません)」


 窓の外から、マリアンヌがドアノブをカタカタ鳴らした。


『そうよエドワード! 私はアレクサンダーの野生の牽引力トラクションに魂を奪われたの! あなたがセレナ様と朝帰りするなら、私はもう二度とあなたを中に乗せないわ!』


 ハンスの胃壁がパキッと音を立てて砕け散る感覚がした。


 ハンスはホワイトボードをバンッ! と叩いた。あまりの気迫に、全員がビクッと動きを止める。


「皆様、静粛に。これ以上の議論は、ハンスの『命』に関わります。お引き取りを」


 ハンスの凍りつくような笑顔に、流石の4者も言葉を失った。


「ふ、ふん! 今日はハンスの顔を立ててあげるわ!」


 セレナはフイと顔を背け、アレクサンダーの曳き綱を強引に引っ張った。


「勘違いしないでよね、べ、別にあなたの顔なんて見たくないんだから!」


「ブルルル……(マリアンヌ、また深夜に厩舎の裏で)」


『ええ、アレクサンダー……待っているわ……』


「待て! マリアンヌにアイコンタクトを送るな!」


 エドワードが叫ぶが、マリアンヌはブレーキを固く閉ざし、そっぽを向いたままだ。


 お互いに全く納得はいっていない。お互いにフイと別々の方向を向き、泥沼の四角関係は最悪の火種を抱えた状態で、一旦の幕引きを迎えた。


 ハンスはその場で、静かに膝から崩れ落ちた。

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