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歪んだ輪舞曲(ロンド)〜鉄の処女と白銀の駿馬〜 ――私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。※乗れません  作者: 山田りく
1章 私の婚約者(馬車)が、元婚約者の婚約者(馬)と不倫していました。

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夜明けの連結(そして伝説へ)

人間たちがシャルロットの部品を拾い集め、口喧嘩しながら去った後。


 静まり返った夜明け前の庭園には、冷たい朝露が降りていた。


 アレクサンダーはマリアンヌのフェンダーに優しく鼻先を寄せた。


「ブルルル……(マリアンヌ……俺を許してくれ。俺のホースパワーを真に受け止められるのは、お前の重厚なサスペンションだけだ……!)」


 マリアンヌのドアノブがカタカタと震える。


『……馬鹿な人(馬)ね、アレクサンダー。私の前車軸を回していいのは、あなたのあの逞しい飛節だけよ!』


「ブルルルルッ!(マリアンヌ!)」


『アレクサンダー!』


 ガチリ!


 朝焼けの光の中、アレクサンダーの胸繋がマリアンヌのシャフトへと完璧に滑り込み、運命の再連結を果たした。


『さあ、牽いて、アレクサンダー! 誰もいない、私たちが純粋に走れる世界へ!』


「ブルルルルッ!(応ともさ! 俺の背に乗れ、マリアンヌ! ※乗れませんが、魂は共にあります!)」


 ババババババババッ!!!


 4つの蹄が芝生を激しく蹴り上げ、無人のマリアンヌを引き連れて地平線へと猛スピードで暴走し、彼らは駆け落ちしていった。


 数時間後、頭に包帯を巻いて庭園へ這い出してきたハンスは、二条の深い車輪跡を見つめて、仏のような笑顔でぽつりと呟いた。


「……ああ、世界が平和になりましたね」

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