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10年ほど前
プンタ・アレーナス
シローとライザは同じ士官学校で大気圏外パイロットの養成講座を受けていた。
時にはライバルとして、また時にはバディとして、互いの能力を認め合いながら鎬を削っていた。
あの事故が起きるまでは。
その日もいつもの様に、ライザはパイロットとして、シローは地上で管制官として訓練に挑んでいた。天候は弱い雨だが、飛行中止の基準までは余裕があった。
「ライザより管制。ファイナル。ILSリンク要求。」
「ILSリンク承認。誘導開始。横風十二メートル。降下角維持。」
「東からの侵入は横風が強い。気をつけろ」
「リンク確認。」
「相変わらず心配性ね。いっつもそう。」
「まったくおまえは達は…後ろで聞かされるコッチの身にもなれっつうんだ。」後席でニヤニヤ顔のシム。
大きくバンクして進入姿勢をとるライザ。
滑走路まではまだ少し距離がある。
訓練機の姿勢が乱れる。
「乱流?レーダーには何も出てない。」
雨粒の向こうで、空気が一瞬だけ虹色に揺らいだ。
直後IFASの画面が一瞬乱れる。
「…どうし…たライザ、問題が?」
シローの声にノイズが混じる
「IFASが乱れた気がしたけど、大丈夫、何でも無いわ」
「ILSリンク作動中 高度100 滑走路目視ネガティブ 誘導灯はついてるの?!」
「こちら管制 もちろん点いてるさ」
「管制ILSで確認。降下率正常」
「50」
その時、大規模なダウンバーストが突発。
「30」
管制塔からシローが叫ぶ
「復行だ、ライザ」
「20」
IFASの警報音声が発される
"WINDSHEAR! WINDSHEAR!"
ダウンバーストに煽られ急降下する。
「ダメだライザ!上げろ、上げろ!!」
目一杯操縦桿を引くライザ。
「言うこと聞きなさい!!」
"GO AROUND! GO AROUND!"
機内に警報音声が鳴り響く
"PULL UP! PULL UP!"
「んぅ」
「………」
暫しの沈黙の後ライザが叫ぶ
「イジェクト! イジェクト! イジェクト!」
ドンッと射出用火薬が爆発しパイロットとコパイロットの順に座席ごと空中に放り出され、すぐにパラシュートが開く
「緊急射出を管制塔から目視確認」
「FRT原着急げ!」
ゆっくり降下するライザ。バイザーに当たる雨音だけが聞こえる。
機体からのぼる火柱の熱を感じる。
FRTのサイレンが近付く中、ライザは胸騒ぎを感じていた。
「シム!シム!」
コパイのシムが先に着地していた。
震える手でもどかしくベルトを外すライザ。
ヘルメットを投げ捨てながらシムのもとへ走る
対Gスーツのハーネスが足取りの邪魔をする。
「…、…シム!!」
シムのヘルメットが項垂れたままピクリともしない。
FRTの隊員により引き離されるライザ
「シム!シム!」
叫びながら救急車に乗せられる。




