レオ
「レオ、もう少し詳しく聞かせて」
「うん。あの実験の時のⅠとⅡの位相変化を音にして聞いてたんだ。」
「それで?」
「あの二つはお互いに呼び合ってる。」
「どうしてわかるの?」
「数値には表れてないかも。でも、僕にはそう聞こえたんだ。」
「でも、あなたも実験の結果を見たでしょう?あんなに激しく反応したのよ?」
「だよね。見ちゃったから知ってる。だけど、ホントにそうなんだよ」
「もし、もしも、二つを合わせたらどうなると思う?」
「もしかしたら、なんだけど…元に戻るだけ…なんじゃないかなぁ。」
「元々一つだったって言うの?」
「ちょっと思っただけ。ゴメン。」
「……言ってることはわかった。ちょっとシローと話してもいい?」
「ぅ、うん。そうだよね。シローには勝手に見ちゃってごめんなさいって伝えて。」
「そうね。後でたっぷり叱られなさい。じゃ、一旦切るわね。」
「レオ、あなたと話せてよかった。愛してるわ。」
「母さん、僕もだよ。それじゃまた後で。」
それまで、レオの顔を見ていたウィンドウにはNO SIGNALの文字。
目を閉じて何か考えているライザ。
タブレットを操作して、シローを呼び出す。
「ライザ、そっちは無事か?どんな状況だい?」
「ええ、船が引きずられてるけど、それ以外は無事よ。」
「ちょっと、秘匿回線に変えられる?」
「あ、ああ、ちょっと待って」
ウィンドウ枠が青から紫に変わる。
「どうしたライザ。手短に頼む」
「ギルとビーに退避命令を出したところよ。私はもう少し船に残る。」
「ああわかった。それだけかい?」
「実はレオが…」
「データを見てたって事かい?それくらいわかってるさ。叱らなきゃならないけど、今じゃない。」
「ⅠとⅡが会いたがってるって。」
「?」
「レオにはそう聞こえたって。」
「いや、この前の実験結果をレオだって見てるだろ。」
「元々一つだったんじゃないかって。」
「っ?!」
「何か思い当たることでもあるの?」
「…ん、…ああ、実は局の中で変わり者の博士がいてね。Ⅱは片割れを探してるだけだって。この前の実験を見て何も言わなくなったんだけど。」
「片割れ?じゃやっぱり元は一つだった?」
「ああ。何らかの理由、例えばブラックホールからの相対論的ジェットに巻き込まれたとか、超新星爆発で吹っ飛ばされたとか。まあ原因はさておき、とにかく元々は一つだったって。数億年かけて宇宙を漂いながら片割れを探してるだけなんだと。そう言ってる。」
「じゃあなぜこの前の実験みたいに?」
「そこなんだよ!問題は。
「博士が言うにはもっと緩やかに結合して安定化するはずだった。でも何故か激しく反応してしまった。」
ってそれっきりラボに籠ってしまってね。」
「とにかく、今Ⅱ局は総力をあげて対応を検討中だ。
なんとか解決策を見つける。……じゃあ。」
唇を噛み、真っ暗になった画面を見つめるライザ。




