ライザ、ギル、そしてビー
Ⅱの船内。
「ギル、どうなってるの?」
「わからん。わからんが突然動き始めた。アンカーごと引きずられとる。」
「ビー、進路は?」
「ニャニャン」
(このままだと地球に衝突のコース)
「ニャウン」
(しかも加速してる)
「どういう事…なんで突然…」
ギルが仮説を立てる。
「地球でのⅠとⅡの接触実験がトリガーとなった。と考えるのが自然じゃろうな。」
「意思を持って動いてるってこと?」
「或いは、な。」
「止められないの?コースをずらすとか。」
「この船が引っ張っとるのはSOLRそのものだぞ。地球のエネルギー消費を賄えるほどの。」
「メインエンジンをスラスターに使っても無理だろう。」
「私たちにできることは?ないって事…?」
「………」
一瞬の逡巡の後、決心するライザ。
カッと目を見開き、二人に告げる。
「ギル、ビーを連れて脱出船へ。」
「ちょっと待てライザ。お前さんはどうする…?」
「最新鋭の船だけど、無人ってわけにはいかないでしょ。」
柔らかに微笑むライザ。
「大丈夫、脱出船はまだ残ってる。ギリギリまで悪あがきするだけよ。」
「じゃぁ、ワシも残る。機関士がおらん船、お前だけじゃどうにもならんじゃろ」
「ニャーニャー」
(ボクが操船しなきゃ)
(おじいちゃんだけに任せらんない)
「よくあるSFだとここで、船長は涙ぐんで、[よし!分かった、各自持ち場に戻れ!]なんて感動のシーンなんだろうけど、私は許さない。船長命令です。脱出船で地球に戻りなさい。」
「ニャ?」
(あれれ?)
「まったく、ウチの娘っ子は一度言い出すと聞かんからなぁ」
しぶしぶ脱出船に乗り込む二人。(ふたり?)
「ニャウニャウ」
こっそりⅡ船を回る旋回コースにセットするも、首根っこを掴まれ観念するビー。
「じゃあ、おとっつあん、この黒猫を頼んだよ。」
黒猫を軽く投げてギルに渡す。
脱出船のハッチをライザが閉じようとした刹那、地球から、レオから通信が入る。
「お母さん、レオです。ちょっと聞いてほしい事があるんだ」
「ゴメン、レオ。今ちょっとバタバタしてて。」
「SOLRの事なんだけど…」
「え、わかった。」
腕時計端末からタブレットの大きな画面に切り替える。
「それで、どうしたの?」
「シローに言おうとしたんだけど、全然聞きてくれなくて。」
「ぇえ、そうよね。」
「SOLR-Ⅱなんだけど、Ⅰに会わせてあげて。」
「レオ、それはできない。あなたは何が起きたか知らないだろうけど…」
「SOLR局の秘密実験でしょ?知ってるよ。シローのIDで盗み見した。あ、でもシローには言わないで。」
「局の秘密漏洩は重罪…まあいいわ、知ってるんなら。あの2つを近付けたらどうなるか。」
「でもね、二つは会いたがってるよ。だって聞こえたもん。お互い呼び寄せあってる。」
ふとシローとの通信を思い出す。そう言えば、レオは聞こえ方が他の子と違うんじゃないかって。
「どうしてそう思うの?」
「ボクにはそう聞こえたんだ。」




