砂漠
Ⅱ基地から数百キロ。
オーストラリア大陸のとある砂漠。
ここで、人類史上初の実験が行われようとしていた。
半径1キロに及ぶほどの防護壁。内側には観測機器や中継カメラが並ぶ。
中央にはSOLR-Ⅰのエネルギーを格納した容器。その量はほんの米粒ほど。
そしてライザ達が数年かけて採取した、Ⅱのエネルギーも同量。
遮断容器に入れられて電子銃にセットされている。
もうすでに一部の計測機器の針は振り切れている。
Ⅱ基地の会議室でモニター中の面々に入電。
「準備全て整いました。」
頷く局長。
続けてシローが発する。
「準備は整った。実行は5分後。総員備えろ。」
壁一面のマルチ画面では中継映像や各種モニター数値を映し出している。
すでに映像は虹色に揺らぎ、途切れ途切れ。
緊張の面持ちの面々。時計の針が静かに進む。
残り3分。
慌ただしく無線通信が飛び交う。
2分。
上空を旋回していたヘリコプターが離れていく。
1分。
無線も途絶え、室内は全くの無音となり、各々の荒い呼吸音だけが聞こえている。
30
29
28
…
…
…
3
2
1
SW,ON!
Ⅱエネルギーが格納されていた遮断容器から
Ⅰに向けて発射される。
周囲が虹色に包まれる。一瞬吸い込まれる砂塵。
青白い光がドームのように見えた次の瞬間、
すぐに衝撃波が広がる。
「ドォーン」
遅れて破裂音が轟く。
舞い上がった砂煙で視界はほぼゼロ。
数分後ようやく砂煙が落ち着き全貌が姿を見せる。
避難していたヘリコプターが上空からレポート。
「反応地点が中心と思われます、大きな穴が視認できます。直径1キロはあろうかという穴です。」
一方基地内、会議室ではテレメトリーデータの初動解析が進んでいた。
「目視によると消失規模はおよそ直径1000メートル」
「影響範囲からの推測でも概ね同程度。」
「反応時間は計測機器の時間分解能以下」
「GPSも発信器もロスト」
「加速度センサ、圧力センサ、地磁気センサ他、全てのテレメトリデータが同じタイムスタンプにてロストしています」
「やはりそうか。」苦い表情のシロー。
「接触の瞬間に消失しています。」
「直径1000mの空間が消失。」
「衝撃波は消失した空間に周辺の大気が流れ込んだことによるもの」
「ドーム状の光は衝撃波の圧力と熱によるプラズマと思われます。」
続々と報告される断片的な情報。
これから膨大なデータとの睨み合いが始まる。




