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信長英雄記〜かつて第六天魔王と呼ばれた男の転生〜  作者: 揚惇命
3章 タルカ侵攻作戦

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202/203

62話 ナバルとの秘密会談

【ナバル領】


 ガルディアン王国よりスパイとして送り込まれているナバル領主ドレッド・ベアは本国から送られてきた手紙を読み、頭を抱えた。


『親愛なるフレミング閣下へ。

 貴殿が中々、マジカル王国の魔導士団を殲滅したオダの兵器を手に入れられぬようなので、枷が足りぬのだと判断し、貴殿の大事な者を城へと招かせてもらった。

 この意味は聡明な貴殿のことだ。

 よーくお分かりだろう。

 まぁ、兵士たちの慰み者行きとなったわけだ。

 あぁ、安心してくれたまえ。

 まだ、兵たちの慰み者にはしておらん。

 下の娘はまだ6歳で、流石に可哀想ゆえな。

 それにしても流石貴殿の女と娘だ。

 どれも上物。

 兵たちに褒美としてくれてやれば、やる気を出すのに十分であろう。

 1カ月だ。

 1カ月だけ待ってやる!

 手に入れられなかったらわかるな?

 お前の愛する妻と宝物の娘たちがどうなるか。

 それを考えて、この1カ月を過ごすと良い。

 ガルディアン王国皇帝より』


 ドレッド「とうとう陛下まで変わってしまわれたのか?」


 ジャックス「ただいま戻りました」


 ドレッド「ジャックス皇子!タルカにて、人質に取られたと聞き、心配しましたぞ。して、オダの兵器は?」


 ジャックス「フレミング閣下。その話なのだが…」


 サブロー『久しぶりだなベア卿。そのまま、耳だけ傾けていると良い。そちらの状況はだいたい聞いた』


 ドレッド「な!?何処からオダの領主の声が?」


 サブロー『ジャックスとやらに渡した魔道具だ。お前がこちらの兵器を欲しているのは、ジャックスに協力して、ガルディアン王国を取り戻すための切り札にしたいからであろう?違うか?』


 ドレッド「!?一体、何処まで話したのですかジャックス皇子!」


 サブロー『そうか。やはりジャックスは皇子であったか』


 ドレッド「しまっ!」


 ジャックス「今のはフレミング閣下の失言です。と言えれば良かったのですが…既に気付かれていました。これを俺に渡したのは、協力者がいることすら見抜いていたからでしょう」


 サブロー『フッ。俺を侮らないで頂きたい。こちらには、魔道具を昔から収集しているトガクシの忍や、北の地より逃げてきたエルフにドワーフ、多くの協力者がいる。これを明かしただけ、そちらを信頼していると思って頂きたい。どれ程の兵器があれば、貴殿らは救国の英雄になれる?』


 ドレッド「残念ながら手遅れだ。陛下すら奴らに完全に掌握された。俺の妻と可愛い娘たちも人質だ。奴らは、オダの兵器を欲している。それを我々が貰うわけにはもう行かぬよ」


 ジャックス「!?フレミング閣下の奥方と娘は、影響力の範囲外に居たはず!どうして!」


 ドレッド「わからん。誘き出されたのか」


 サブロー『ククッ。どうやら向こうも相当焦っているようだな。ちなみに、ベア卿よ。貴殿の妻や娘が人質に取られた証拠はあるのか?』


 ドレッド「証拠はない。だが、人質に取られていないという証拠も同時にない。例え、こちらの動きを制限する罠だったとしてもこれ程の有効打は無いだろう。敵の力を侮っていた。あのままでは、使い潰される傭兵たちだけでもこの地へ連れ出し守ろうとしたが…力及ばずだ」


 サブロー『そうでもないだろう。父が何故その地をベア卿に開放したか…父はスパイを抱え込んだだけでなく、守ろうとしたのだろう。片方は、どうやら事情も知らぬ馬鹿ゆえ論外。即ち守ろうとしたのは、お前のことだろう』


 ドレッド「な!?俺はあの時も前線を任されたお前の父を見殺しに」


 サブロー『父はあの日あの場で死ぬつもりだったゆえ気に病む必要はない。父もまた祖父から大きすぎるものを抱えきれず…それをまだ年端もいかぬ俺に引き継ごうとした愚か者ゆえな』


 ドレッド「ロルフ殿は、ラルフ殿亡き後、大きすぎた土地を簡単に手放したと愚か者だと思っていた。だが、本当に愚かだったのは、真意に気付かなかった俺の方かもしれぬ。サブロー殿、恥を承知で頼みたい。我が祖国を助ける手助けをしてくださらんか!」


 サブロー『当たり前だ。俺もこれ以上、北の勢力に好き勝手暴れられるのは癪だと思っていた。貴殿らが祖国を取り戻す協力はすることで、少し痛い目に遭ってもらおう。そもそも俺が作った兵器を横流ししたところでその対策も万全ゆえ何の問題も無いからな。ハーハッハッハ。ではこれにて失礼する』


 ドレッド「本当にまだ子供か?」


 ジャックス「見た目は…中身は…魔王よりも冷酷かと」


 ドレッド「またまた…マジですか?」


 ジャックス「陛下の犬をデモンストレーションで容赦なくぶち殺してました。その後は降らなかったハック卿も」


 ドレッド「ハック卿か。昔は忠節を重んじる良い騎士だったのだが…」


 ジャックス「こうなったのも全て、祖国をおかしくした北の連中のせいです。これから我々が祖国で出会うすべてが敵だと認識して事に当たらなければ足下を掬われるかと」


 ドレッド「ふむ。こちらは少数。それを覆せるオダの兵器か。ジャックス皇子は、祖国を取り戻した後、どう考えておられる?」


 ジャックス「オダとの五分同盟」


 ドレッド「ハハッ。それは良い。ワシもアレが本当にまだ子供かわからないぐらい恐ろしいと理解しましたからな」


 ジャックス「マジカル王国の宰相である友も交えて、三国同盟まで考えています」


 ドレッド「奴らの最大の失態がジャックス皇子を捕虜にできなかった事でしょうな。さて、どれだけ生き残れるか分かりませんが…また元気な妻と娘たちに会うため死ねませんからな」


 ジャックス「頼りにしていますフレミング閣下」


 こうして、この日ナバルはオダと表向きには敵対しつつも裏で手を結びあったのである。

 ここまでお読みくださりありがとうございます。

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 それでは、次回もお楽しみに〜

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