55話 タモンヤマ攻防
この地の民からは姫様と呼ばれるキチョウ・プリストの守るタモンヤマ砦では、宣戦布告した通り親オダ派と反オダ派による左右からの攻撃が始まっていた。
リドル「やっぱりテメェら裏でつるんでやがったな!」
反オダ派貴族「そちらも穏やかな口調が乱暴になりましたなぁ。こちらの内情を知られた以上、この地の民には皆死んでもらう。我らの提案を飲まなかったこと後悔して死ぬが良い!全軍、突撃ー」
スタンリー「させるかよ!」
スタンリーたち弓兵隊の放つ矢に次々と撃ち抜かれる反オダ派の兵。
反オダ派貴族「ええい油断するな!奴らは英雄などと持て囃されている奴らだ!盾を構えて突撃だ!」
マッスル「リドル!盾はオラに任せるんだなぁ。どっせい!」
マッスルの巨体から繰り出されるハンマーの一撃が反オダ派の兵たちの盾を粉々に打ち砕いた。
反オダ派貴族「馬鹿な!?ええい!アイツを殺せ!何、1人にビビってるのだ!殺せ!殺せ!」
マッスルのハンマーで粉々に打ち砕かれた盾を見て、アレが自分たちだったらと怖気付く反オダ派の兵への鼓舞も全く意味が無い。
リドル「テメェらみたいな悪戯に乱を起こして、オダの領主様の治世を見出す奴らに俺らが負けるかってんだよ!」
反オダ派貴族「ええい!小癪な!投石器で撃ち抜いてしまえ!」
リドル「チッ。攻城兵器まで出てきやがったか。これでテメェらが裏でどこと繋がってるかも、もろわかりだってんだよ!」
反オダ派貴族「なんとでも言うがいい。今から更地となるこの地の奴らにバレたところで痛くも痒くも無いわ!あんな砦など破壊してしまえ!」
リドル「チックショー。お前ら、石が飛んでくるぞ!身をかがめろ!」
反オダ派貴族「フハハハハ。これでしまいだ!放て!」
しかし放たれた投石は、反オダ派の連中を襲う。
反オダ派貴族「馬鹿な!?何が起こっている!まさか奴らめ不良品を掴ませてきやがったのか!」
キチョウ「いいえ不良品ではありませんことよ。こんな面白いのを殿が見たら大層喜ぶと思いまして、こちらで早々に確保しておきましたの」
反オダ派貴族「な!?お前は、キチョウ・プリスト!何故、お前がここに?死んだと報告を」
キチョウ「まぁ、こちらが名乗ってもいないのにペラペラと内情を話すだなんて、お馬鹿じゃないんですの。クスクス」
反オダ派貴族「ええい!あの女を捕えろ!最悪殺しても構わん!」
キチョウ「ふふっ。反オダ派だなんて、嘘っぱち。父様も酷いことをするのね。この機会にタルカ領の一部でも切り取ろうと考えたのかしら。それとも父様が恐れてるオダの領主様への対策かしら?どっちもあり得そうよねマイルズ」
反オダ派貴族「!?」
キチョウ「ふふっ。名乗って無いのに私の名前を知ってるのなんて、父様の部下しかあり得ないもの。図星で声も出ないのでしょうマイルズ」
反オダ派貴族「そんな名前の奴など知りませんな。俺は生まれも育ちもここタルカの」
キチョウ「あ!そう言うのはいいわ。だって、私もオダの領主様を巻き込むつもりだもの。父様への意趣返しにね」
反オダ派貴族「な!?フン、今まで我らがあんだけ暴れても出てこなかった臆病風に吹かれた田舎者のクソガキが今更出てくるはずが無い!」
キチョウ「さぁ、それはどうかしら。オダの領主様は大層珍しいもの好きと聞くもの。こんな、ガルディアン王国の攻城兵器があったら珍しいもの見たさに現れるかもしれなわよ。そうなったら、私も叫んであげる。アイツは、チャルチ領の貴族、マイルズ・ハックだってね。そしたらどうなるかしらね。オダの領主様が治めるタルカ領で内乱を起こしたのがチャルチ領の人間だなんて。クスクス」
反オダ派貴族「殺せ!殺せ!殺せ!」
キチョウ「後ろには気をつけて方が良いわよマイルズ」
マッスル「隙ありなんだなぁ!」
反オダ派貴族「ぬわぁぁぁぁぁ」
キチョウ「ふふっ。マッスル、お手柄よ。それにしても仮面で顔を隠していたようだけどもろわかりよマイルズ。縛っておきなさい」
マッスル「承知なんだなぁ」
その頃、反対側では。
親オダ派貴族「だから、何度も言っているだろう!反オダ派がこの地を狙っていると言う情報を聞き、助けに参ったのだ!この隘路を塞いで酒盛りをしている集団を退けろと!」
英雄の民A「あ〜楽しいなったら楽しいな〜」
英雄の民B「グビグビ〜プハァ〜」
カイト「すいません。ほら爺ちゃんたち、こんなところで酒盛りしたらダメだって言っただろ。帰ろう?」
英雄の民C「なんじゃお前は?ワシはお前の爺ちゃんでは無いわい。ワシの楽しみを奪うなら誰であろうと許さんぞい!」
親オダ派貴族「ええい!もう良い!我らの大義を邪魔するのなら排除させてもらう!」
フローラ「あらあら、オダの領主様を迎え入れるなんて言ってる人たちが勝手にオダの領主様の大事な民を粛清しても良いのかしら?」
親オダ派貴族「大義のためなら分かってくださる」
ルノー「へぇ。じゃあ、あんたたちを逆賊として排除しても許されますね」
親オダ派貴族「何を言っている!我らはオダの領主様のため活動しているのだぞ!」
カトリーヌ「これだから金で動く傭兵は嫌いなのだ。ナバルの子飼いどもが」
親オダ派貴族「な!?な!?な!?何を言ってるのかなぁ?俺たちはオダの領主様を迎え入れるための活動をしている由緒正しき兵だよ〜」
カトリーヌ「たわけ!」
抜身でスパッと服を切り裂く。
親オダ派貴族「!?馬鹿な俺が対応できなかっただと!?」
カトリーヌ「ほらな。出てきた。ナバルの子飼いである証、赤バッヂがな」
親オダ派貴族「チッ!この機に乗じて、全てをオダのガキに奪われるぐらいなら少し切り取ってやろうと思ったが、正体を知られた以上、まだまだ暴れ足りないので死んでもらうぞ!」
カトリーヌ「ククッ」
親オダ派貴族「な、何がおかしい!」
カトリーヌ「既に勝負は付いたさ」
親オダ派貴族「何を言って…うぐぐっ。何だ、この身体の…痺…れ…は」
カトリーヌ「どうだい痺れ薬を塗り込んだ刃を受けた気分は、あーもう話せないぐらい痺れてるだろうけどね。縛っておけ!」
カイト「全く姉貴は人使いだけは荒いんだよ!」
サブロー・ハインリッヒがここを訪れる前にキチョウ・プリストは、邪魔者を綺麗に排除したのである。
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