表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長英雄記〜かつて第六天魔王と呼ばれた男の転生〜  作者: 揚惇命
3章 タルカ侵攻作戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

189/205

49話 タルカ領総督の死を聞く者たち

 時は少しばかり遡り、タルカ領総督の死を知った各郡の動きについて、ここに記したいと思う。

 タルカ領総督デイル・マルことクライム・フォン・トッテナムの正体がオダ領総督サブロー・ハインリッヒに知られていた事を子飼いの傭兵団から聞かされたナバル領総督ドレッド・ベアは、焦りを募らせていた。


 ドレッド「その話は本当なのか!グロッツ」


 グロッツと呼ばれた男は、タルカ城で行われた会議にドレッドの名代として参加していたロングボウ兵を中心とした兵で構成されている傭兵団の団長である。


 グロッツ「あぁ、オダの勢い凄まじく、俺の指導で弓兵ばかりに変えた城ですら損害を与えられず奪われた。そればかりか向こうの軍勢の姿に当主の姿はなかった。恐らくだが向こうは全てを知っている。タルカ領の総督がマジカル王国のスパイであることもモルドレット卿がガルディアン王国のスパイであることも。そう考えて行動するべきと考える」


 ドレッド・ベアと言う名は、アイランド公国内でスパイとして活動する時の名であり、その正体はガルディアン王国の精鋭である円卓騎士団を束ねる将の1人で名をカムラン・モルドレットと言う。


 カムラン「ここでその名を呼ぶな。どのようにして奴らが俺の正体を知り得たかわからぬ以上、迂闊に本名を出すでないぞグロッツ」


 グロッツ「失礼した。では、ベア卿。俺の考えは伝えた。陛下が今1番恐れているのは、ベア卿を失うことだ。引き際は考えられよ」


 カムラン「わかっている。だが、これ以上オダの領主の地を肥え太らせるわけには行かん。最悪ナバル領は焼き払ってくれる。俺の紅蓮の炎でな」


 グロッツ「その力を使われるということは、マジカル王国との関わりを示すことになる。くれぐれも使い方は間違えぬよう」


 カムラン「あぁ。しかし、オダの領主の目的が危険であると判明した以上、アイランド公国を制圧される前にガルディアン王国とマジカル王国との連合軍で叩き潰すべきだ。北の奴らが虎視眈々と狙う中、南の脅威を喰ませる必要はないからな。そのことも陛下に進言しておいてくれ」


 グロッツ「そのことについては既に鍛治の技術が高いドワーフがオダの領地に存在している可能性を右大臣がそれとなく話、陛下もそれを得るために兵を出す事をお認めになられた」


 カムラン「そうか。では、円卓騎士団に加わりたい有象無象が手柄のために頑張るであろうな。消耗させて弱ったところをマジカル王国と共に喰らえば良い」


 グロッツ「はい。しかし、陛下の息子であるアルトリウス・ウェールズが何かに勘付いて動き出していると聞きます。こちらも警戒しておいた方が良いかと」


 カムラン「アルトリウスか。奴の正義感は侮れん。陛下が闇の者から力を得られた事を知られれば、陛下を殺害し王の座に座るかも知れん。そちらの動きはボーマン・ガレスとゴーヴァン・ガウェインとマロリー・アグラヴェインの三兄弟に任せる。そのことも伝えておくのだ」


 グロッツ「承知した」


 グロッツが退席するとカムラン・モルドレットはドレッド・ベアの仮面を付け、オダとの戦いに向け会議を進める。

 一方、その頃チャルチ郡を治めるアダムス・プリストは、デイル・マルの死を聞き歓喜に打ち震えていた。


 アダムス「マル卿が死んだ。それもマジカル王国のスパイであった事まで……もっと早くにこの情報を俺が掴んでいればあんな奴にこき使われる事もなかったものを。ぐぬぬぬぬ。しかし、これで俺を裏切ろうとしたリチャードの奴も目が覚めるであろう。我がチャルチもタルカに手を貸す前で安泰。これからオダの領主と陛下の口利きをしてやれば、まだまだ庇護の必要なガキのこと俺に感謝するであろう。ガハハハ。よくやってくれたわい。ガハハハ」


 この日、チャルチ郡ではいつもは無愛想なアダムス・プリストが上機嫌に、1ヶ月の税の免除を布告し、歓喜に打ち震える民たちによる宴が夜通し続いたそうだ。

 そして、時を同じくしてマリーカ郡では、大事件が起こる。

 リチャード・バルケスが実の娘のように大事にしてきた兄の子であるキチョウ・プリストの救出のため兵を興したのだ。

 少しづつ少しづつ、この地へ送り込まれていたデイル・マルの密偵たちだけでなくこの事をアイランド公国の王に知られたくなくキチョウ・プリストの監視、必要であれば殺害を命じられていたチャルチ軍と苛烈な戦いが繰り広げられていた。


 リチャード「自分が情けなくなる。姪の言葉を信じず、デイルのクソ野郎に降ろうとしていたことに」


 ???「そう御自身を責められてはなりませぬ。キチョウ様の笑顔に救われてきた兵たちは数知れず。それを人質に取るなどリチャード様がこうしてデイルのクソ野郎に従わず兵を挙げられる決心をしたこと。このガルダン、大変嬉しく思いますぞ」


 リチャード「ガルダン、迷惑をかける。ドルマン!奴らが出入りしている場所はわかったか?」


 ドルマン「はっ!キチョウ様が居られるのは、新しく孤児院を建設するように命じられたスラム街の一角で、その周辺をチャルチ軍が固めておられます」


 リチャード「まさか兄上は、キチョウを殺すつもりなのか。どうして、どうして大事な娘を殺す選択が簡単にできるのだ!いや、俺もキチョウのためとデイルの口車に乗せられようとしていた。同じか。これでは、父と叔父の両方に振り回されるキチョウが哀れではないか」


 ガルダン「だからこそです。今こそキチョウ様をお救いし、今まで苦しんだ以上の幸せを手にしていただかなければ」


 ドルマン「そうですよ。キチョウ様が度々口に出されるオダの領主様なんて、相手にいいんじゃないですかね」


 リチャード「そうだな(俺に万が一があった時、キチョウを任せるに値する男など1人しかいないな。デイルがマジカル王国のスパイである事を見抜いた天才児、オダの領主サブロー・ハインリッヒしか居ない。キチョウを助けた後、兄上との戦になるマリーカから速やかに脱出させねば。願わくば、キチョウが無事にハインリッヒ卿と合流できる事を願わん)」

 ここまでお読みくださりありがとうございます。

 ブックマーク・良いね・評価してくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。

 それでは、次回もお楽しみに〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ