47話 タルカの英雄
タルカ領では、昼夜問わず親オダ派と反オダ派による対立が続いていた。
この状況に置いて、オダ軍は動かない。
その理由がどちらも同じ服装で見分けが付かず、同士討ちの危険があるためと言った。
これに対し親オダ派は、見分けさえ付けば参戦してくれると旗を差して戦う事を決める。
するとオダ軍に参戦してほしくない反オダ派は似せた旗を差して戦い。
それに対して、手を替え品を替える親オダ派、その努力も虚しく、反オダ派にすぐさま真似をされて、いつまでもオダ軍の参戦は見込めない有様であった。
このような中にいて、タルカ領の片田舎に住む1人の少年が居た。
???「リドル!また、反オダ派の連中が会いたいってさ」
リドル「わかった。今行くよ。スタンリー」
スタンリー「また、リドルの知恵を借りに来たのかな?」
リドル「どうだろう?そろそろ、士官のお誘いかもしれないよ」
スタンリー「まっさか!?じゃあ、リドルは反オダ派に付くのか?」
リドル「それこそまっさかだよ。クスクス。僕がどれだけ、この地の民を愛してると思ってるの?だから、こんな不毛な争いで失う命をこうやって、どちらの馬鹿にも助言して減らしてやっているのに」
スタンリー「そ、そうだよな」
???「リドル〜大変だぁ!オダ派の連中も何処からか話を聞きつけてやってきただぁ!」
リドル「ほーい。マッスル、そっちの方は隘路に招き入れて暫く足止めで」
マッスル「了解なんだなぁ!オラのぶくぶく肥えた腹で……って酷いんだなぁ!」
リドル「え〜僕はそんな事一言も言ってないよ〜でも〜きちんと防いでくれたら米3倍食べて良いよ」
マッスル「オラ、美味しい米のために頑張るんだなぁ!」
この光景だけ見れば、微笑ましい光景に見えるが彼らはまだ16歳にも満たぬ子供達で、親オダ派と反オダ派の真ん中に砦を築いて、普通に生活していれば巻き込まれて死ぬ命の多くを助けていた。
それも『タルカの民』ではなく『この地の民』と独特な言い回しを用いて。
相手が暴力で来るなら暴力で追い返し、言葉で来るなら言葉巧みに絡め取る。
いつしか、タルカの民たちはこの地を英雄の守る土地と言うようになった。
英雄の民A「英雄様〜。ワシらも槍でも剣でも弓でも言ってくだされば、戦いますぞ!」
リドル「じっちゃんは、老い先短いんだからそんな事考えずに楽しく過ごしていれば良いんだよ〜。あんな馬鹿な連中、僕だけで何の問題もないからね」
英雄の民B「流石、英雄様じゃ!ですが、ワシらとて守られるだけの民ではございますまい!いざとなったら、何でもおっしゃってくだされ」
リドル「ありがと〜。じゃあ、ちょっと向こうの馬鹿と話してくるね〜」
リドルが街を歩けば、英雄の民の全ての人が年若いリドルにかしずき頭を下げる。
リドル「で、今日はどういった御用ですかぁ?」
反オダ派「そろそろリドル殿から良いお話を聞きたいと思いまして、その人望我らのために活かしてくださいませんか!タルカを簒奪者から守るため何卒、そのお力を」
リドル「先ず、簒奪者って誰のこと?」
反オダ派「それは勿論、オダのガキにこの地を開け渡そうとしている親オダ派の連中の事です!今更何を言っておられるのか!」
リドル「ふ〜ん。じゃあ、聞くけど。その親オダ派だって、このタルカの民だよ?君たちの言うタルカを守るってのは、土地のことなのかな?」
反オダ派「当然でしょう!オダのガキに与する奴らなど民ではありますまい!」
リドル「よ〜く。わかったよ。御高説、ありがと」
反オダ派「では、ようやくこちらに与していただけるのだな?英雄殿のお力があれば。ひぃっ」
リドル「あのさ。勘違いしないで欲しいんだけどさ。僕、お前の英雄じゃねぇから!何で、僕がこの地の民に英雄って呼ばれてるかわかる?お前らみたいに馬鹿な争いに肩入れしてねぇからだよ!ガキの使いじゃねぇんだ。良い加減、自分たちで腐った脳みそをフル回転させて、気付けよ!」
反オダ派「な!?では、英雄殿は親オダ派に?その言葉、後悔しますぞ!」
リドル「アァ?お前さ。僕の話ちゃんと聞いてた?どちらにも付かないって、言ってるよな?脳みそ相当腐ってんのか?後さ、簡単に戦なんて終わらせられるから」
反オダ派「ひぃっ」
リドル「その腐った耳の穴、かっぽじって、よく聞けよ?お前らさ。どれだけ街の人間を殺めてきた?何で、オダの領主様がきちんと考える時間くれたのに、不毛な争いを繰り広げた?この無駄な時間で、どれだけの人命が救えたと思っているんだ!人は使い捨ての道具じゃねぇ!血が通ってるんだぞ!大馬鹿者が!帰って、お前らのトップに伝えろ。俺たち英雄の民は、如何なる暴力にも屈しない。これが最後のチャンスだ。次、くだらねぇ話を持ってきたら全員血祭りに上がるぞってな!わかったか!」
反オダ派「はひぃぃぃぃぃぃ」
反オダ派の耳元で大きな声でそう告げて、ようやく解放するリドル。
リドル「怖がらせてごめんね〜。でも、こうでもしないとさ。君も利用されるだけの悲しい大人のままだよ。良い加減、気付こうよ」
反オダ派「必ず伝えますから、命だけは」
リドル「あらら〜怖がらせすぎちゃったか。ちょっと脅すつもりだったのにな。もう行っていいよ」
反オダ派「はひぃぃぃぃぃぃ」
その頃、反対側の隘路では。
親オダ派「そこの者、何をしている?」
マッスル「すまねぇだぁ。ちょいと道を通ろうとしたらお腹がつっかえちまったんだなぁ」
親オダ派「馬鹿な。どれだけ食べたら……いや人1人がやっとのこの幅ならこういったことも往々にして……仕方ない手伝ってやるゆえ、英雄殿にお取次を願いたい」
マッスル「助けてくれるだか?嬉しいだよぉ」
この後マッスルは本当に隘路で挟まるやつが居るんだとリドルたちに大層笑われたそうだ。
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