45話 タルカ内乱の始まり
サブロー・ハインリッヒがタルカ領の本拠地イイモリキャッスルへと入って、タルカ領における兵たちへの論功行賞を行う。
サブロー「久々のタルカは如何でしたかなマスク夫人?」
マルガ「まぁ、ここは元々うちの庭みたいなものだから、大した抵抗もなくと言いたいところだけど民衆は、アイツの良いように洗脳されてるからこれからが大変よ。まぁ、ここからはオダの領主としてタルカも治めることになる貴方の力量次第と言ったところかしら。あ!土産物だけ貰っていくわよ。それじゃあ、私たちが公に表彰されるわけには行かないからここで失礼するわ。ルル」
ルル「承知した」
サブローは、2人の背を見送りつつ、ルルーニがいつまでも母の尻に敷かれず、尻に敷き返すぐらいはして欲しいものだとまだ歳若く生えてもいない顎髭の部分を撫でながら思う。
タルカがオダに編入され、売国奴として晒し首にされたクライム、マネダス、ソダス、コンバインの前で敗戦国の民としての不安に駆られる民衆たち。
民衆A「デイル様亡き今、ワシらはどうなるんじゃ?」
民衆B「オダの悪魔は親や親族にも容赦なくナタを奮ったと聞く、そんな悪魔が刃向かった俺たちのことを許すわけが……。」
民衆C「なら命尽きるまで抵抗しよう。デイル様の仇を俺たちで」
民衆D「でも、オダの領主は、同時に革新的な人とも聞くわ。この戦いでも女性の多くが活躍していたって。女性の戦への参加を拒んできた公王様と違って、私たちにも光を当ててくださるかも」
民衆E「反逆者に絆されるな!あの男は何れ、公王様にも弓を引く、今ここで我らが討たねば」
民衆F「でも、オダの暮らしは新しい領主になってからだいぶ潤っていると聞くわ」
民衆G「ええい!これだから女は!直ぐに尻尾を振りよって、そのうちあのガキに抱かれるのだろう尻軽どもが!」
タルカ領のあちこちでこのように些細ないざこざ民衆の間で起こり、少なくない犠牲者が出ることもあった。
だが、サブローは動かない。
まるで、品定めをしているかのようにじっとこの状況を自分たちで解決できるか成り行きを見守っていた。
かつて、第六天魔王として日ノ本に君臨した織田信長にとって、国造りに必要なのは人とそれをまとめ上げられる器の存在が必要不可欠だと考えていた。
だが、それらは苦境の時にしか姿を表さない。
それこそが最も信の置ける優秀な人材なのである。
この世界に転生して、数多くの戦をその目で見てきた織田信長にとって、この世界はあまりにも領主任せ、国王任せの者が多いのである。
それでは、ダメだ。
サブロー「さて、弾正のような面白い男が出てくるか見ものだな」
サブローの言う弾正とは、松永久秀のことであり、簡易と合わせて松永弾正と呼ばれることのあった人物である。
信長同様に三悪を成した人物とも知られ、信長同様にあの時代に絶大な権力を帝に行使し好き勝手していた生臭坊主どもに対して大仏殿の焼き討ちという意趣返しを行った人物でもある。
しかしその当時の世論は、寺社仏閣に依存していたため松永久秀や織田信長のやったことは、褒められた事ではなく、多くの反発を招いたのも事実である。
だが織田信長は、松永久秀のことを優秀な人物として高く買っていた。
それゆえ。
サブロー「フッ。弾正よ。お前がかち割った古天明平蜘蛛は、ワシの天下を阻んだ。茶器一つに天下を取るほどの力が本当にあったやも知れぬな……ワハハハハハ」
サブローのこの光景について、ジャガ・イモなら何か分かるかとロー・レイヴァンドは、野次馬のように集まった他の者たちと眺めていた。
ロー「時折、若はあのようにぶつぶつと何かを呟き高笑いをする時が有られる。イモ卿であれば、何か分かることはあるのではないかと」
ジャガ「うーん。何かを思い出して笑っているとかじゃねぇか?少なくとも今の状況を解決しようとは考えてねぇよアレは」
テキーラ「ふむ。しかし、そうなるとまだまだタルカでは民衆同士の親オダ派と反オダ派の対立が続くのではないかのぉ?」
ジャガ「ありゃそれすらも楽しんでるよ。寧ろ、自分たちが出張らないとやっていけないなら、ここは元々無かった土地として、完全にオダの人間たちを移住させることも考えて、割り切ってるんだろうよ。だって、あの領主様の野望は、全国制覇に留まらず外海にまで目を向けてるんだからよ」
ロー「必要な人材を見極めておられると考えるべきか?」
ジャガ「レイヴァンド卿のオッサンの推測が正しいだろうな。ありゃ、内乱に立ち向かう強い存在を求めてる目だ。だからオダとしては、静観を決め込んでるんだろうよ」
テキーラ「ふむ……しかし、何やらナバルもきな臭くなっていると聞く。いつまでも殿が動かないのであれば、ナバルが動くのでは無かろうか?」
ジャガ「まぁ、テキーラのオッサンの言う通り、この好機、俺なら見過ごさず端から取れるところを掠め取って行くが……」
マッシュ「ベア卿は動かぬよ。前のオダの内乱の時と同じで、取り敢えずは静観。ベア卿は、見た目と違って慎重で、失敗を好まないのでな」
ジャガ「成程、やっぱりその性格すら見抜いて、新しい人材を求めようって、あの慧眼には恐れ入るよ」
ロー「若は神童であらせられるからな。当然のことだ」
マッシュ「ワシもあの時、降る決断をして正解だったと言える。ベア卿は口だけで国をどうにかするなどと言っていたが、殿ほどこの国を本気で憂いては居なかったのだろう。それもそのはずだったのは、この前真実を聞かされて、合点がいったがな」
ロー「こうして、共に同じ主君を支えられること誇りに思うぞマッシュ」
マッシュ「うむ。せいぜい殿に役立たずと見切られるのように頑張るとするわい。ガハハハハ」
タルカの内乱を迅速に治める優秀な人材は到来するのであろうか?
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それでは、次回もお楽しみに〜




