表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信長英雄記〜かつて第六天魔王と呼ばれた男の転生〜  作者: 揚惇命
3章 タルカ侵攻作戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

181/208

41話 栄華と没落

 これはまだマジカル王国が魔法に力を取り入れるよりも前の話。

 シュタイン貴族家の三男坊として、生を受けたヴァルカス・フォン・シュタインは、家督を継ぐ長兄とそれを支える参謀の次兄と共に己は武でシュタイン家を盛り立てることを誓い、前線で槍を振い続けていた。

 この当時のマジカル王国は、東を機械大国ガルディアン王国に抑えられ、北を騎馬民族の超大国ノルマディック王国に抑えられ、南には何の旨味も無い島国であるアイランド公国があり、その頃突出するものの無かったマジカル王国は、西へと拡大するより他なかった。

 最もこの時は、マジカル王国では無くファランクス王国と名乗っていた。

 だが、ここでは分かりやすくするためマジカル王国で統一する。

 俺が1番思い出したく無かったことを思い出すとは……な。


 ヴァルカス「良し。ファランクス陣形で、敵深くまで押し込むぞ!全軍、俺に続け!」


 西の小国の領主「ファランクス王国が来たぞ!怯むな!迎え撃て!迎え撃つのだ!馬鹿者、背を向けるな!ぐわぁぁぁぁぁぁぁ」


 そしてこの頃のマジカル王国もまた例に漏れず重装歩兵を中心とした戦術を得意としていた。

 その一つが重装歩兵隊の横陣集団陣形ファランクスである。

 槍と大楯を持つ重装歩兵隊が横一列に並び、攻撃する様は圧巻で、西の小国たちは次々とマジカル王国に吸収されていった。

 隣には親友のデンデロン・フォン・カーマインが参謀として、支えてくれた。

 それは、マジカル王国となり魔法師団『デビルファイア』を率いるようになっても変わらず……な。

 あの頃は俺の周りに人が集まりすぎていた。

 それは長兄たちに自分の立場を危ぶまれるほどに……だ。

 俺自身は、兄たちに逆らうつもりなど毛頭無かった。

 それでも俺の増えていく手柄に焦った兄たちは、戦場で手柄を立てようと無茶をしてしまった。

 その結果、家を取りまとめる顔役だった長兄、その知で長兄を支えるはずだった次兄が相次いで、取るに足らない小国だと油断して討死した。

 葬式の席で父は俺のせいだと激怒し、母はお前なんて産まなければ良かったと蔑んだ。

 そして、まるで長兄や次兄の後を追うように父と母も原因不明の病で急死した。

 一瞬にして仲の良かった家族は……崩壊した。

 だが、俺はずっと疑問を抱いていた。

 いくら油断していたとはいえ、長兄も全く戦えないわけでは無く、兵を率いるという点だけで見れば俺よりも優秀だ。

 そして、そんな長兄を支えていた次兄は、慎重に策を練り、罠に絡め取る蜘蛛のような人だ。

 その2人が同じ戦場で相次いで討死した。

 しかも敵は、最も数が少なく取るに足らないと言われていた『デビルンデス』という小国だ。

 ちなみに、兄たちが出向いた戦いだけ、マジカル王国が大敗している点も俺は疑問に思っていた。

 だが、疑問に思うだけで兄たちに付き従っていた兵たちから聞いた話で怪しいと思えるところは何も無かった。

 ファランクス陣形で押し込もうとしたところを伏兵による側面攻撃の前に壊滅したとのことだった。

 そうファランクス陣形の唯一の弱点とも言えるのが側面からの攻撃に対して、脆弱だということである。

 これは俺も理解しているため、側面にはあらかじめ騎兵隊を配置することで、ファランクス隊の眼の代わりとしていた。

 そんなことは俺よりも賢い次兄なら、簡単に思い付くことだ。

 だが、それをしなかったと聞く。

 いや、正確には出来なかったが正しい。

 雨で荷駄隊がぬかるみに嵌り、その救助作業で騎馬隊が残った。

 何度も繰り返しになるがこの頃のマジカル王国は魔法など使えず重装歩兵によるファランクス陣形で打ち破ってきた。

 だからだろう。

 騎兵よりも歩兵を重んじた。

 そこで、全員で荷駄隊の救出という道を選んでいたら兄たちの死は無かったかもしれない。

 不運な事故……誰の目から見てもそう思える内容だった。

 だが『デビルンデス』という小国は、この戦いで勢い付くのでは無く、この勝利をもってマジカル王国と和平した。

 それも『デビルンデス』がマジカル王国に全面降伏するという。

 理由も簡単で『本戦のために残しておいた作戦を晒してしまったから2度目は通じないと思った』と最もらしい理由で全く疑いようが無かった。

 それから暫くして、何者かから魔法という概念を教えられた陛下は、取り憑かれたかのように北からの亜人の流入者『マーメイド』や『アマゾネス』を捕らえ、魔石を取り出すという実験を繰り返した。

 魔法の威力を間近で見た俺もこれなら大国に抗えると進んで、魔石を埋め込み魔導兵となった。

 いや、違うな。

 俺は死場所を求めていた。

 俺のせいで不運な死を迎えた長兄と次兄。

 俺のせいで、溺愛していた息子を一度に2人も亡くし病に倒れた父と母。

 俺のせいで、家族が残らず死んでしまったのだから。

 そこで、俺は目の前の現実に目を向ける。

 今度は俺から仲間だけを無惨に奪う現実に。

 音が響いたら最期、目の前に無数の魔道兵の死体が転がる。

 俺の仲間たちの成れの果てだ。

 カメレオンからの通信が怪しいと思ってはいても上の命令である以上、確認のために森なんかに入ってしまった俺のせいだ。

 また俺のせいで、今度は苦楽を共にした仲間たちが。


 デンデロン「ガルディアン王国の兵器にすら負けなかったからこんな小国に抗う術があるはずがないと過信した。これは、あの時のお前の兄たちと同じだ。何人の仲間が生き残れるかはお前にかかっているんだ!だからしっかりしろヴァルカス!」


 ヴァルカス「あぁ、すまないデンデロン。火の防御魔法を展開せよ!ゆっくりゆっくりと後ろに後退するのだ!」


 デビルファイア兵A「ひぃっ。死にたくない!死にたくない!ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 背を向けた瞬間に背を何かで貫かれる仲間。


 デンデロン「命令を無視して背を向けるな……馬鹿者が!」


 一瞬の出来事に注意をした次の瞬間にはデンデロンが悪態を吐く始末だ。


 ガルディアン王国の兵器よりも数段勝る圧倒的な破壊力の一斉攻撃。

 俺の部隊はこの日俺とデンデロンとたった数人を残して壊滅した。

 これが俺ヴァルカス・フォン・シュタインの心に大ダメージを与えた『ナガシノの悲劇』のあらましだ。

 ここまでお読みくださりありがとうございます。

 ブックマーク・良いね・評価してくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。

 それでは、次回もお楽しみに〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ