第十四話:伝説の工房と、ドワーフの鎚音
「特級冒険者だけが使える工房を、紹介してやる」
ギルド長・バルトロは不敵な笑みを浮かべ、カウンターの上の特A級魔石とオーガの素材を指さした。
「このオーガの素材と魔石で装備を整えろ。お前が使っているその一般の盾じゃ、もうお前の規格外のパワーと魔力に耐えられん。本物の武具を手に入れろ、シード」
バルトロから手渡されたのは、古びた紋章が刻まれた一枚の紹介状だった。街の裏通り、一般の人間が決して足を踏み入れない区域にある、腕利きの職人だけが集う場所だという。
報酬をしっかりと懐に収め、俺は大楯を背負い直してギルドを後にした。
紹介状を頼りに街の喧騒から離れた一角へ歩を進めると、周囲の雰囲気はピリッと引き締まっていった。並び立つ建物はどれも頑丈な石造りで、どこからか絶え間なくカンカンと金属を打つ重厚な鎚音が響いてくる。
やがて、その通りの最も奥まった場所に行き着いた。 古びた木製の看板には、無骨な文字で『工房』とだけ記されている。そして、その扉の脇には、魔力を帯びた護符が幾重にも貼り付けられていた。
ここか。
俺は息を整えると、重い鉄の把手を握り、頑丈そうな木の扉を押し開けた。
ギイィ……ン……
扉の向こうから押し寄せてきたのは、耐え難いほどの熱気と、煤と炭が入り混じった独特の匂い、そして空気を震わせるほどの激しい金属音だった。
「――何の用だ。一見お断りだぞ、人間」
轟音と火花の向こうから、野太く、それでいて底知れない矜持を感じさせる声が響いた。 果たして、俺の新しい相棒となる最高の一品はここで生み出されるのか。俺は静かに足を踏み入れ、工房の主へと向き直った。




