第8話 【Q&A】赤裸々なアンケートと女神のエンチャント
Q1:ダイエットを始めたい理由は?
「健康のため」と「自分を変えたい」。
ーーここは素直に、偽らざる本音をチョイス。減給の危機という切実な事情は伏せておこう……。
Q2:理想の体型や、目標の体重は?
「夏にTシャツが似合う男」。
実は、昔から密かに憧れていた。
ーー特に最近ベルトの穴が脂肪という侵略者によって次々と占拠されている。ここらで反転攻勢をかけなければ、本土占領の危機だ。
目標体重は70kg。
ーー最近体重を測ってないので、現在の数値は不明だが、とりあえず大学の時の体重を目安にした。
Q3:これまでの運動経験や習慣は?
部活:中学は野球部(ほぼ補欠)。
高校~大学は趣味でバドミントン。
現在の運動習慣:ゼロ。
Q4:普段の食生活、好きな食べ物は?
コンビニやスーパーの惣菜を多用します。
ーー「半額ハンター」の二つ名を持つことは、ここでは伏せておく。
野菜もちょくちょく食べます。
ーーカップ麺に入っている乾燥キャベツも「野菜」としてカウントすればだが。
好きな飲み物はコーラ。
ーーこれは命の水だ。
Q5:趣味や好きなものは?
読書(異世界転生系)、ゲーム、動画視聴。
ーーここは正直に。異世界転生ラノベは、俺の人生の一部であり、枯れ果てた現実を潤す希望の光なのだ。
Q6:普段の仕事内容は?
営業、事務作業。
基本的にはデスクワークが中心。
……大体、こんなところか。
最後に署名欄へ『八天 七伎』と書き入れる。
七転び八起きならぬ、八転七起。
転んだままの我が人生。せめて名前の宿命はこの手でひっくり返してやりたい。
書き終えたアンケート用紙を提出すると、みさきさんは一通り目を通しながら、ふふっと微笑んだ。
「……異世界転生、お好きなんですね?」
「えっ!?」
思わず声が裏返った。
まさか、その項目に突っ込まれるとは思っていなかったからだ。
「実は、私も好きなんですよ。アニメも見るし、小説も結構読みます。最近だと、悪役令嬢ものとか」
「……ま、まじですか?」
聖女みさきさんが、まさかの「同属性」だったなんて。
「笑われるかもしれないけど、ゲームのレベル上げと、筋トレやボディメイクって似てるところがあると思うんです」
「ああ、なるほど……」
確かに、そうかもしれない。
これまで俺にとって、異世界転生はただの「現実逃避」であり、「娯楽」でしかなかった。
だが、“自分をレベルアップさせる”という発想は、現実にも応用できそうだ。
「今度、おすすめの作品を教えてくださいね」
にっこり微笑んで、みさきさんは言った。
その一言が、俺の心にクリティカルヒット。
ダイエットはまだ始まっていないのに、スキルレベル99の支援魔法を付与されたかの如く、俺のモチベーションは爆上がりした。




