表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
11/14

第11話【第二形態】放て究極奥義《痩身の四神柱》!

記念すべき初トレーニングは明後日にお預けとなった。


みさきさんとのカウンセリングによって、俺は四つの初歩的なダイエットスキルを授かった。


・《レコーディング》

――毎日、体重と食事を記録する。

・《置き換え》

――菓子パンをおにぎりに置き換える。

・《水分補給》

――水を積極的に摂り、飲み物からカロリーを排除する。我慢できない時の“ダイエットコーラ”は可。

・《プロテイン摂取》

――筋肉とダイエットに役立つサプリメント。


まだ本格的な運動は始めていないが、会社での一件も重なり、心身ともにクタクタだ。


アパートに帰るなり、俺は着替えもせずベッドへと倒れ込んだ。

(……十キロのダイエット。本当に可能なのか?)


そんな疑念を抱えながら、Amazonで体重計やプロテインを物色しているうち、俺の意識は深い闇へと呑まれていった。


そして――夢の中。


「フハハハハ! 喰らえ、我が究極奥義――優越性誇示の炎マウンティング・フレイム!」


突如現れたのは、どす黒い瘴気を纏った闇の魔導師。

その顔は……あの忌々しい京右介に酷似していた。


「“闇の炎”に焼かれて消えろッ!」


轟々と燃え盛る炎が俺を呑み込む。

魔導師は勝ち誇ったように嗤った。


「これで貴様も終わりだァ!」


……だが。


「なっ、バカな……!」


数瞬ののち、魔導師の表情が凍りつく。


炎に包まれながらも、俺は立っていた。

黒く焦げ付いた体を揺らしながらも、その双眸でしっかりと敵を見据えて。


「なかなかやるじゃねえか。……だが、ここからは俺のターンだ」


ドサッ。


俺は煤を払うように、纏っていた黒衣を脱ぎ捨てる。


「こいつはあえて身に付けていた枷、“脂肪”さ……。約十キロってところかな」


勝負は、ここからが本番だ。


第二形態セカンドフォームへと移行した俺は、高らかに言い放つ。


「喰らえ! 新たに得た我が奥義――痩身の四神柱(クワッド・ピラー)!」


俺の言葉とともに、四本の光柱が天を貫くように立ち昇った。


京右介を取り囲むように、絶対的な結界が張られる。


光の輝きは強さを増し、闇を浄化していく。


「バッ、馬鹿なっ……。ぐわあああああああぁぁぁ!」


京右介(似の魔導師)の断末魔が響き渡り――。


ピピピ! ピピピ!


「おいィィィ! もう少し勝利の余韻に浸らせろや!」


無慈悲なアラームに叩き起こされ、現実へと引き戻された俺は、恨み言を吐きつつスマートフォンのスヌーズを止めた。


シャワーを浴び鏡の前に立つと、そこにいたのは、夢の中のスタイリッシュな“第二形態”ではなく、昨日と寸分変わらぬ情けない姿の俺。


残念ながら覚醒は夢の中での出来事だったらしい。

それでも、トイレを済ませてから埃を被った古い体重計を引っ張り出し、体重を測った。


ピピッ!

『80.0kg』


昨日の計測から、0.5kgの微減。


みさきさんは「日々の変動に一喜一憂しすぎるのは良くない」と言っていたが……それでも、なんだか嬉しい。


そして俺は昨日もらったプロテインとシェイカーをカバンに詰め込んだ。


道中、コンビニで「菓子パン」の棚をスルーし、おにぎりと水を購入し、小さなレベルアップを感じながら、俺は会社へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ