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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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スケベな親友と雨のアバンチュール 9話

6月の雨がポツポツと地面を弾き音を立てて振り続けている。


俺はいつもの通学路を歩く。

いつも通る郵便局やガソリンスタンド、あいつと隣で歩いていた道を一人で歩いて俺は強く決心していた。


あいつに……今日こそは謝ろう。

教室について少し濡れた制服を軽く拭って待っていると話し声が聞こえた。



「でさー、バッティングセンターでさー。」

「……。」

「ちょ、飯田聞いてるのか?」

「あ……ああ。」


引き戸が空いて、俺と飯田が目が合った。

飯田は気まずそうに少し目をそらすのだけど、俺は自分の尻に火をつける勢いで飯田の前に立つ。


いつもは何気なく接してる飯田に対して……緊張を覚えたのは本当に初めてだった。


「飯田、おは……おはよう。」

「直輝……!」


あれ、こいつに今まで何話してたんだっけ?

少し困惑するけど、考えてる間がもったいない。


「すこし、向こうで話せないか?」


特に上手な言葉じゃなかったけど、飯田は少しだけ嬉しそうだった。

ああ、いつもの飯田だ。


「いいぜ、空き教室でいいか?」

「ああ!」


俺たちは視線が集まる中二人で歩いて空き教室へと向かう。

本当にここは便利なところだ。

水無月と、飯田をくっつける作戦会議をする時も人がいなかったしここは本当に穴場だと思う。


そして、2人きりになった。


「飯田……ごめん!!」

「直輝……。」

「俺、勝手に飯田があの子とくっつけば幸せになると思って余計な事した!飯田のことも知らずに……まじで勝手だった!!」


俺は、頭を大きく下げた。

お辞儀で言うと45°くらいの最敬礼くらいだった。

どうにも……飯田の顔は見れなかった。

まだ、許し切ってないかも知れない。


怒りのあまり……ぶん殴られるかも知らない。

そんなことを思いつつ、ポツポツと耳には雨音だけが入ってくる。


「ぷっ……ふふ……あはは!」


しかし、飯田は笑っていた。

腹を抱えて……今までの感情を吐き出すかのように。


「ちょ!?酷くねえか?謝ってんだぞ。」

「ひゃー、わりーわりー!なんか……久しぶりに話したなって。」

「……え?」

「お前と目が合う度にさ、俺も一方的に怒ったこと謝ろうとして、謝れなかったんだよ。それで、他の奴と話しても全然気が晴れなかったから……今この瞬間が嬉しかった。」


いつもの飯田だった。

というか……最初から最後まで飯田だった。

そうか、喧嘩して飯田という人物を見失っていたけど、俺たちは親友だったんだ。


「俺ら、もう知り合って5~6年くらいだっけ?」

「そんくらいだな。」

「なんか、初めて喧嘩したな。」

「俺も初めてだ。舞衣とはたまーに痴話喧嘩するけど、友達としては初めてかも。」

「いや、佐倉も不憫だなーおい。」


話せば話すほど、なんで喧嘩してたのかすら分からなくなる。

男の子って喧嘩した翌日に仲良くしてるのよく分かんね〜って思ってたけど、もしかしたら本音でぶつかり合うからこそ認めてくるのかもしれない。


そもそもが幸せになって欲しいという善意がすれ違っての今なんだから。


「なあ、飯田?俺……心配してたんだ。飯田って良い奴だから色んなこと引き受けたり、笛吹さんの存在が負担になってたんじゃないかなって。」

「まあ……ぶっちゃけ負担だよ。」

「え、そうなん?」


まあ……想像はできる。

笛吹さんはぶっちゃけ破天荒すぎてあんまり印象が良くないんだから。


「でも、なんでかな……笛吹さんはある意味俺の理解者なんだよ。」

「理解者?」

「手にかかるけどさ、家族の居ない俺を理解してくれるし……ああ見えてたまにはいい所あるんだよ。」


どうやら、俺は大きな勘違いをしていたみたいだった。

ある意味でこういう家族のような形になってるんだ。

飯田は一方的に支えてるように見えて、実は支えられてる側面があるんだ。


それを、俺は引き剥がそうとしていたのだけど。

そりゃあ怒る。

もう飯田は怒ってないから罪悪感があるんだけど。


「昨日、水無月にも謝ったよ。」

「そうか、じゃあ直輝に怒る理由ねえな。」

「あの子孤独だから、昔の俺に似てたんだよな。」

「ああ、わかるぜ。あのがむしゃらに頑張って整形したりコミュニケーション頑張るところとか似てるもんな。」


どうやら、そこまでも理解していたようだ。

むしろ、どんだけ解像度高いまま数日間過ごしてたんだよ。


「でも、別に過保護にならなくてもいいと思うんだけどな。」

「なんで?」

「お前と似てるってことは、いつか自分で一皮むけてコンプレックスを乗り越えそうとは思わんか?」

「あ……。」


そう言われて、ハッとしてしまう。

全てが余計なお世話だったことに気がついて……またひとつ溜息をしてしまった。


「馬鹿だ……マジで俺って。」

「ああ、すげー馬鹿だとおもうぞ。」

「おい、ちょっとそれは酷くねえか?」


そこはフォローした方がいいだろう。

でも、どこかその会話がひたすらに心地よかった。


「なあ、直輝。」

「あ?なんだよ……。」

「今日ゲーセン行こうぜ!」

「急だな……、俺で良ければ。」


俺たちはただひたすらに馬鹿だった。

だけど、それが俺たちでもあった。


「あ、今日ついでに遥香さんに会いてえな〜。最近顔見てないからもう禁断症状が。」

「うん、ぶっ飛ばすよ。」


この物語は、スケベな親友と雨のアバンチュール。

俺たち高校生のすれ違いからはじめた小さな冒険。

今日も6月の雨が振り続ける。

ポツポツと……少し冷たく。


挿絵(By みてみん)

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