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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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スケベな親友と雨のアバンチュール 5話

キーンコーンカーンコーン……


「起立!気をつけ!礼!」

「それでは、みんな気をつけて下校するように!」


学校が終わり、一気にだらけモード……という訳でもない。

去年に比べてうちのクラスは少しピリピリしていた。


「そろそろ面接とか内定を探さないとな〜。」

「今月全国模試か……。」


そう、俺たちは高校三年生。

ひとつの選択で大きな分岐点になる大切な時期。

就職組も受験生組も……お互いこの曇天の空の如く悩みを抱えているようだった。


「飯田〜!今日部活の打ち上げでカラオケいかね?」

「あ、すまん!先約いるんだわ。」

「そっかー!また誘う。」


そして、飯田がニコニコしてこっちに来る。

どうやら俺との約束を楽しみにしてくれていたみたいだ。


「直輝!行こーぜ!」

「おう。」


雨の中、俺たちはさり気ない話で盛り上がる。


「直輝、俺さ〜抹茶苦手なんだよな。すげー苦いじゃん。」

「ああ、ガチのは苦いよな。」

「だよな。だからさ、もう少しマイルドにしたもので挑戦できんかね。」

「あ〜!抹茶ティラミスとか、抹茶バスクチーズケーキとか?そういうので慣らしていきたいよな!」

「そうそう、抹茶コンニャクとか、抹茶うどんとか……。」

「抹茶100%のジュースとか!」

「それ、ただの抹茶じゃん!」


「「あはははは!」」


あまりに、高校生らしい馬鹿げた会話だった。

高校生でいちばん楽しいのはこんな感じで将来に一喜一憂するよりも、中身のない会話を時にすることで紛らうようだった。


「あ、サイゼでいい?」

「いいぜ!ミラノ風ドリア安くて美味いもんな!」


俺は飯田を誘導して、店内を探す。

そして、少し奥の席に緊張してる水無月さんがいた。

ソワソワして……少し落ち着きがないので本当に飯田のことが好きなんだなと思った。


「よぉ。」

「あ!先輩たち、お疲れ様です。」

「え?水無月?直輝と友達なの?」

「まあ、そんなところです。」


どうしてだろう。

飯田は少し顔が曇っていた。

水無月さんを嫌ってる訳ではなさそうだけど、少しなにか言いたげな雰囲気だった。


だけど、飲み込んでくれて俺たちは普通に注文をする。


「私!嬉しいです、飯田先輩とプライベートでお話できて!」

「まあ……うん。あはは。」

「飯田先輩すごいですよね!全校集会でもあんなに堂々とお話されてましたし。」

「おう、ありがとう!」


……なんだろう。

飯田が、いつもの飯田じゃない。

さっきみたいな中身の無い会話から当たり障りのない感じになっている。

仮面を被ってるかのような、そんな笑顔を示している。


「あ、そうだ。今度二人でカラオケとかどうだ?飯田ラップとか上手いんだぜ!たまに普通の曲のイントロで韻を踏んだりしてるし。」

「え、聞きたいです!」

「えー、どうしよっかな。」


おかしい。

いつもなら、頼まなくても先陣切って歌う飯田の反応があまりに微妙だ。

気まずいのかな……?

でも、少しでも自分に好意を抱いてる女の子といることで、変わってくれるはずだ。


もしかしたら、2人にしてあげた方がよいのかもしれない。



「あ、もしあれなら2人でどうだ?俺……この後帰ろうかなって思ってるし。」

「はぁ!?」

「え、私が……いいんですか?」


すると、俺の手を飯田は強く握った。

少しだけ目付きが鋭くて、怒ってるようでもあった。


「ちょっと……いいか?」

「お……おう。ちょっと失礼するね!」

「は……はい。」


飯田は早歩きだった。

顔は見えないけど、何かを溜め込んで爆発しそうだった。

店を出て向き合うと……飯田が見せたことの無い強ばった顔でこちらを睨んでいた。


「おい……どういうつもりだよ!!」

「どういうって……?」

「なんで水無月がいるんだよ!それどころか……お前なんで帰ろうとしてるんだよ!!」


え、どうして……怒られてるんだろう。


「い……いや、飯田もしんどそうだったから話を聞きたいのもあったけど、水無月も仲良くしたいって相談されてたんだ。それに……今のお前見てると、ああいう子がお前には必要なんじゃないのか?」

「お前さ!俺のためを思ってるかもしれないけど、そういうの、マジで嫌われるぞ?」

「違う!水無月は色々コンプレックスがあって、お前と接することで変わろうとしてたし、笛吹さんといてしんどそうだったから何とかしたかったんだ!」

「なんだよ!俺はお前と話したかったんだ!別に水無月なんて呼んで欲しくなかった!」


すると、バタンと何かを落とす音が聞こえた。

俺たちは振り返ると半泣きの水無月がこちらを見ていた。


挿絵(By みてみん)


「あ……水無月……さん。」

「ご……ごめ、ごめんなさい……余計でしたよね。」


彼女は荷物を落としたまま震えて泣きながら逃げていった。


「おい!待ってくれ!」

「あ……そんな……はずじゃ。」


本当は彼女に駆けつけなきゃいけないのは俺だった。

だけど、何故どこで間違えたのか分からなくて、呆然とするしなかった。


飯田は追いかけようとして、1度止まって俺を見ずに話しかける。


「すまん、しばらく……話しかけないでくれ。」

「飯田……!」


飯田は俺の制止も虚しく水無月さんの所へ雨がポツポツと水たまりに波紋が散らばる道の中走っていく。


その先は薄暗くて、あっという間に2人を見失ってしまった。


俺は、その後気持ちが落ち着いて1歩を踏む頃には、ワイシャツは絞れるほどに濡れていた。

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