ゴールデンウィークと△関係 1話
季節はすっかり初夏と言うべき暑さに入る。
気温は20℃を超えているので少なくとももう春はどこかへ行ってしまったようだ。
「あーあちぃ……」
というか……暑い。これも地球温暖化の影響なのだろうか?
こじつけ良いところだけど、幼少に比べると明らかに暑くなってる気がする。
俺は、勉強に疲れてNetflixをみてアイスを食べていた。
少し休んだら戻るのだけど、気がついたらアニメを3話ほど視聴していたのだ。
ピンポーン……
すると突然インターホンが鳴る。
「あれ、母ちゃん今日荷物お願いしてたっけ……。」
俺はモニターを確認するまでもなく、ドアを開ける。
足が少し重く……ゆっくりと扉を開けると俺は目を疑った。
「え……。」
「久しぶり!直輝……どーしたのよ?そんなに驚いて。」
「夢華……?」
そう、彼女は下地夢華……宮古島で出会ったはずの少女が何故か家の前にいた。
「ど……どうしてここに?」
「言ったじゃない!次は私から遊びに行くって……東京暑いから入れてよ。」
「わかったけど……。」
俺は恐る恐る夢華を部屋に入れる。
すると、夢華はキャリーケースを玄関で止めて荷物を整理しだした。
「それで……なんでお前ここにいるんだ?」
「……。」
「夢華はなんでここにいるんだ?」
「ふふん、よろしい!」
そういえば夢華は名前で呼べと一度命令をされてたんだった。
「家出してきたのよ、ママと喧嘩して。」
「またか!?」
どんだけ反抗期なんだ。
「それでムカついたからパパチョロまかして旅費貰って東京に来たのよ。」
「相変わらず行動力すごいな……。」
そんなノリで那覇から東京まで行けるのだから大したものである。
そして、まだ夢華は怒っていた。
「それより……なぁあああんでラインの返信遅いのかな?直輝〜。」
夢華は怒っていた。いつもより鋭い眼光がキツく見えてしまう。
「ご……ごめんて。いやでも、会話ほとんど終わりかけてたからスタンプにしといたじゃん。」
夢華は少しだけ文章書くのが苦手なのか……文章のやり取りはちぐはぐな感じだった。
それに、前回の話を見ても「じゃあ、ウチ寝るね!」から俺がお休みのスタンプを送って終わっている。
こちらとしては自然な会話の終わり方なんだけど……。
「違うし!お休みって言ったらお休みでしょ!それで起きたらおはようって欲しいんだけど。」
「すまん!そこまでは出来ん!」
夢華は意外とロマンチストのようだった。
なんだ!?最近の子はそういうねっとりとしたやり取りが好きなのか?
ピンポーン……
しばらくすると、また変なタイミングでインターホンが鳴る。
全く……今色々混乱してるのに。
「直輝くーん!遊びに来たよ、みてみて〜今日はね地雷コーデにしてみたんだ!似合う?」
まさかの舞衣だった。
ヤバい……こんなに癖強いふたりが対面してしまうのはやばい。
まるで二体の怪獣が対面するかのような危機感を覚えるので俺は頭がフリーズしかけていた。
「ちょ、夢華!一旦隠れて!」
「え?嫌よ。つーか、女の声だったんだけど?」
夢華は腕を組みながら困惑していた。
まあ、そりゃあそうか……友達の家に来て女の声が聞こえたから隠れるように言われたら困惑するよね……じゃない!
扉は開いて舞衣が出てくる。
ピンクの服に身をつつみ、たまにしかやらないツインテールをしていて、それだけで気合いが入っていることがわかる。
俺の抵抗も虚しく舞衣と夢華が対面してしまった。
「「……誰?その女。」」
2人の雰囲気が明らかに悪くなる。
どうしよう、ホームなのにアウェイなんだよな。
「あ……えっと、この子は沖縄で知り合った母ちゃんの友達の娘の夢華で。」
「私は……直輝くんの彼女の舞衣なんだけど?ってことは、遥香さんの知り合いでいいのよね?」
何故だろう、この遥香さんの知り合いという形で合理性を取る舞衣から圧を感じるんだけど。
対する夢華は少し困惑していた。
「え?いやいや……直輝に彼女いるわけないでしょ!どーみても童貞っぽいじゃん。レンタル彼女とかでしょ。」
「ひでーなおい。」
全く夢華は動じなかった。
こいつ……しばらく見ないうちにまたメンタル強くなったんじゃないのか?
「むぅ……なんなのよこの子!癪に障るわね!」
わ、すげー舞衣悪役っぽいセリフ。
「てかさ〜直輝ウチの方が相性良くない?」
「良くないわよ!私なんていっつも直輝くんに盗聴器仕掛けて声聞いてるんだから!!」
「おい、いつ仕掛けた?」
いつだろう、この前貰ったキーホルダーかな?
怖くて今日眠れそうにないかも。
「え……それ、犯罪だよね。直輝……あんたストーカーされてるよ。ウチが守ってあげる!」
「やめてよ!直輝くんは私のものなの!この前落とした髪の毛とか……あとはこの前食べたガムも私のものなんだから!」
「ヤバいよこいつ!もう言い逃れできない!えっと……日本の本土は110番で通じるかな?」
俺は……あまりの情報量の多さにフリーズしていた。
どうしよう、彼女は舞衣なのに夢華がやや上手な気もする。
「あの……すまん、夢華。舞衣は本当に俺の彼女なんだ。」
「……え?」
「去年から正式に交際している。すまん、俺がちゃんと出会った時に言っとけばよかった。友達だと思ってたからさ。」
これは、俺のミスだ。
だからこそ俺が訂正しないと舞衣が可哀想だ。
それに夢華はいま家出の身だからきちんと沖縄に返さないと東京で何されるか分かったもんじゃない。
夢華は少し悲しそうな顔をしていた。
ああ、俺はこの子に傷つけてばかりだな。
そんな心配をしたのだが……表情がまた普通に戻る。
「ふーん……。」
すると、夢華は舞衣の胸を揉み出した。
次に腹をさわり、自分の腹をさわる。
「ちょっ!?何するの?」
「……。」
すると、夢華は悪役のようなドヤ顔代わりなにか優越感に浸ってるような気がした。
「腹が柔らかい……ここ最近運動してないんじゃない?」
「うっ……そんな……こと……ない。」
図星みたいだ。
「胸も推定Dカップがいいところかな。えー直輝本当にいいのかな?ウチは発育いいよ〜。」
どうやら、ここ数ヶ月でメンタルはかなり強くなったみたいで舞衣に対して優位性を保ったままだった。
「……黙って聞いてれば!なんなのよ、さっきからストーカーとか貧乳とかバカにして!!」
「え、貧乳とか言ってないんだけど。ウチと直輝は親友だから他人じゃないんですけど〜。」
「お前ら落ち着けえーーー!」
混沌の中始まったゴールデンウィーク。
今日の天野家はいつもより賑やかだったけど、少し殺伐ともしていた気がする。
そして、俺はこの時はまだ知る由もなかった。
数日だけだけど……このメンバーでしばらく一緒に過ごすことになるとは。
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