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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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俺の彼女が重すぎる件について 14話

「ねえ、直輝?」

「うん?なんだ母ちゃん……。」


母ちゃんは頭を抱えながら話しかける。

なにやら呆れてる様子だったので話を聞くとしよう。

それにしても、何が引っかかってるのだろう。


「急に夜遅くに出ていたと思ったら……、この現状はなに?」


そして、指を刺されて俺はハッと気がつく。

ソファーに座って参考書を読んでいるのだが、

舞衣が俺の膝の上で寝っ転がり密着してるのがどうにも気になる様子だった。


「なんかあった。」

「ちょっと!?端折りすぎよ!」

「んー、なんというか……直輝くんいつも仏頂面なの(いざと言う時は本当に優しくて……。」


まあでも気持ちはわかる。

母ちゃんからすると同棲をやめて喧嘩中なのにいざ数日が経ったら距離感が近づいてるので驚くのも当然だろう。


「まあ、本人もそんな感じだしいいんじゃないか?」

「ほんと……あんたらお似合いのカップルね。ほぼ一体化してるじゃないの。」


そう、俺はきちんと舞衣が追い詰められてるところを察していたのだけど、想像以上に追い詰められていた。

だから腹を割って話したのだけど、そしたら今まで強がって距離を置いた反動があるらしい。


まあ、ここはゆっくり歩んでいけばいいのだろう。

でも課題は山積みだ。


「いいのか?アサミさんとやらと今はわだかまりができてるんだろ?」

「うっ……それを言われると何も返せない。」


俺もさっき知った。

舞衣には新たな母親ができそうな事実を。

まずは彼女が進むにはアサミさん話をするべきである。


「なあ、明日アサミさんと話したらどうだ?」

「えー……嫌だよ。ちょっと早く帰ったら家で乳繰り合ってるんだよ。」

「あ……なんか察した。」

「まあ母ちゃん、今舞衣はちょっとショックがでかいんだよ。」


まあ確かに……去年母ちゃんが取引先の男とラブホから出てきた時に酷く嫌悪感が出たのでそれに近い気分だろう。

そこまでフラッシュバックしたのか母ちゃんもこれ以上は何も言えなかった。


「俺も行く、きちんとそこら辺決めないとまた嫌な思いするのは舞衣だぞ。」

「えー!嫌だ!もう直輝くんと一緒にいるんだもん!あー好き好き好き好き好き好き好き。もう直輝くんのこと以外考えられませーん。」

「いや、頼むから受験のことくらいは考えてくれ。」


どうしよう、俺の彼女が重すぎる件について。

完全に良くなったと言うよりかは依存度が急上昇してるんだよな。


そして、密着しすぎてるせいでそろそろ膝が痛いのと体が蒸し暑かった。


その後、何とか舞衣を説得して明日アサミさんと話すことになった。

そして舞衣の依存度は少し危険なレベルまで上がっていて寝る時も一緒だった。


「ねぇ……直輝くん。今日はどうかな?」

「いや、普通に寝るぞ。」

「ええー。」


そして、新婚一年目のような距離感に俺たちはなっていた。

少しだけ舞衣のかわし方も覚えつつ良い距離感な気もしなくないのだがね。


☆☆


「ほら、早速帰宅だぞー。」

「……ねぇ、直輝くん。今日も泊まっちゃダメかな?」


翌日俺たちは学校が休みだったので舞衣の家に来ていた。

何度か訪れたけどあの頃とは違って人気がある。

それだけで舞衣の父親が頻繁に出入りするようになったことや、少しだけ生活感が上がった気がする。


「お邪魔しまーす。」

「ちょ!直輝くん!」


すると、そこには茶髪の美人な女性がいた。

スラッとしていて、それでいて化粧は落ち着いた大人な女性だった。


「ま……舞衣ちゃん!」

「……。」

「ごめん!昨日は……見てたよね?私たちもっとTPO弁えなきゃだった!」

「……ほんとですよ。」


舞衣は俺に隠れて目を逸らす。

いつもは俺より強気なのに、本能的に彼女が苦手なのかもしれない。


「それより……この方は?」

「しゅきぴだし。」


普通に彼氏って言って欲しい。


「あ……彼氏の直輝です。アサミさんのことは伺ってますよ。」

「あ!舞衣ちゃん彼氏いたんだ!良かったら上がって!」


このアサミさんからはとてもいい匂いがした。

なんだろう、少しフローラルな香りをしているし、身だしなみも綺麗である。

年齢は20代後半くらいだろうか?


そして、俺たちは座るとアサミさんはうなぎパイとカモミールティーを出してくれた。


「……あの人は。」

「ああ、佐倉さんなら仕事よ!今日は四国の方に商談があるんだって!」


家を見ると、以前舞衣しかいなかった時よりも片付いている。

床はルンバがあっていつも清潔だし、ところどころに観葉植物も置いてある。

前に来た家とは似ても似つかないほどに良いマンションへと変わっていた。


「あらためて!アサミです。」

「あの……ご年齢はふぎゃっ!?」


早速失礼な質問で舞衣に足を踏まれる。

さすがにダメだったかな?


「あはは、34よ!もうオバサンね。」

「い……いえ、20代後半かと思いました。」

「えー!嬉しい!!そこまで若く見えてくれたのは直輝くんが初めてかも!」

「えへへ……。」


すると、舞衣からジト目で睨まれる。

あ、ごめん……口説きに来たみたいな感じになってるので少し自重をして話を進める。


「あの……本当にこの家に嫁ぎに行くんですね。」

「うん!もう決めたからね。」

「舞衣とは……今後どう接していくんですか?正直話は全部聞いたのですけど、昨日のことは少し誠実さにかけるものかなと思ったのですけど。」


本来は舞衣がそれを聞くべきなのだけど、舞衣は感情的になると少し話が出来なくなるから淡々と話を切り込む。

そう、そこら辺も俺が見極めてあげた方がいいほど舞衣はいま一人では何も出来ないのだ。


「それについては、本当にごめんなさい。22時までバイトと聞いていたのと、私も理性的じゃなかったから今後気をつけていくつもり。」


おお、ちゃんと大人だ。

きちんとまずは自分の非を認めている。

多分本来はちゃんとした人なのだろう。


「話を戻すわね。舞衣ちゃんとは……無理に母親になりきれず一人の友人のような感じで接していきたいなって思ってます。時間はかかるかもだけど、家族として居られたらなって。」


嘘は言ってない様子だった。

彼女は舞衣共々愛する覚悟で結婚を決めてるらしい。


……すごいな。俺はまだ結婚なんて想像ができない。

明らかにやり取りに年齢差だけでなく彼女の人生観の達観ぶりにはついて行くのが精一杯だった。


「まあ、純粋な本音で話すと……もっと仲良くしたいんだけどね。」


俺は何も言えなかった。

正直、この人は何も悪くない。

ただ色々が最悪なタイミングで重なっただけに過ぎなかった。


やっぱり俺はここは当事者ではいられないらしい。

でも何が言いたくてと何も言えなくて俺の服の裾を掴む舞衣の背中を押すことしか出来なかった。


「なあ、舞衣……話した感じこの人は真摯に君に向き合おうとしてる。慣れるまでは時間がかかるかもしれないけど、今回の件許してやらないか?」

「うん……。」


舞衣は精一杯頷いていた。

その様子にアサミさんも少しホッとした顔をしている。


「私も……アサミさんとは仲良くしたいから。洗濯物とか、美味しい料理とか……いつもありがとうございます。」


なんだ、ちゃんと言えるじゃん。

その言葉で十分だと思う。

すると、アサミさんは少し涙目になっていた。


「ありがとう……ありがとう!私、ちゃんと家事とかできてるか不安だったから、今の言葉が……何よりも嬉しい。」


形は歪かもしれない。

だけど、これもひとつの家族の形なのかなと少し暖かい気分になった。

時間はかかるかもしれない、だけど、間違いなくこの家はこれから良くなっていくだろう。


さて、あとは当事者に任せよう。


「んじゃ、俺は帰りますね。」

「え、もう……?もう少しゆっくりしても。」

「いえ、今日はもう少し受験勉強したいので。」


俺はそう言って玄関を出ていく。

あとは二人で向き合ってくれればいい方向に進むだろう。

これ以上は俺も邪魔者だ。

舞衣が歩み寄る足枷になってしまう。


そう思って、俺はマンションを出ていった。


辺りを見ると景色が新緑でお生い茂っている。

春と夏の境界線のようなそんな景色が広がっていた。

俺はこの景色の境目のような時間が好きだった。


ふたつの季節が交わる贅沢な時間だからだ。

とはいえ、それは時間の経過を示すもので俺は少し危機感を感じていた。


「俺も、頑張らなきゃな。」


そう、受験が近づいている。

俺には時間がないからできることを今からでもやるのだ。

そう思って、俺は進んだ。


「直輝くん!!!」


そんな俺を、誰かが引き止める。


「舞衣。」

「はあ……はあ、わたし!これからも頑張るから!直輝くんのことずっと好きだから!直輝くんの彼女で……居ていい……?」


まだきっと彼女は不安に思ってるのかもしれない。

だけど、俺の思いも一緒だった。

彼女は俺にとって、必要な存在だったから。


「もちろん、これからも……よろしく。」

「うん!」


今日は風が強く舞衣の髪が絹のように滑らかな艶を出しながら、春と夏の間をなびかせていた。


彼女は重いけど、その重さは確かに俺を前へと押すようだった。

挿絵(By みてみん)


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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