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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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俺の彼女が重すぎる件について 10話

どんな気分でも6時には目が覚めるものだ。

昨日のことがフラッシュバックして私は妙に布団から出たくなかった。


でも……学校くらいは行かなきゃ行けない。

それに今日もメイド喫茶のバイトである。

朝ごはん食べる気しないけど、身支度をして私は何も食べずに外に出ようとする。


「おはよう、舞衣ちゃん!」

「げっ……アサミさん。」


また彼女だ。

パジャマなのに髪の毛がサラサラ絹のようだった。

肌も念入りに手入れを入れてるのかもう30半ばとは到底思えなくて遥香さんといい勝負だった。


「もう出るの?朝ごはんは?」

「……いいです。」


昨日冷たくしたのに、彼女は折れることなく私と隔てなく接している。

本当は嫌なはずだ。

だって好きな人には血の繋がってない娘がいるのだもの。

お金だってかかる。


「そっか。舞衣ちゃん、明日って空いてる?」

「……まあ。」

「よかったら、ご飯食べない?なんか食べたいのある?」


挿絵(By みてみん)


彼女はどこまでも献身的だった。

私は彼女のように振舞って数日で直輝くんに断られてるのに彼女はもう1ヶ月はこの同棲生活をやってきている。


「じゃあ、ラーメン二郎で。」


少し意地悪な回答をする。

ニンニク臭くなって父さんに嫌われてしまえばいいと思った。

それだけ彼女が妬ましかった。

まあヤケクソで食べたい気持ちもあったのだけど。


「え!?舞衣ちゃん二郎好きなの?私人生で一度でいいから食べてみたかったのよね!」

「え……。」


この人は、天然なのだろうか?

普通同棲してるのにラーメン二郎なんていくだろうか?

しかも父さんはニンニクを敬遠してる人だから、明らかに嫌われる。


「じゃあ、明日二郎行って岩盤浴いこーよ!私の奢りでいいから!」

「……考えておきます。」


私は大きくため息をついて憂鬱な気持ちになった。

アサミさんは愛されてて、優しくて明るい。

綺麗で何一つ欠点なんて見つからない。

そんな彼女と一緒にいると……より惨めになるような気がした。


☆☆


「おはよう、彩奈。」

「あ!舞衣……って大丈夫?あんた目がクマだらけよ!」

「ちょっと、配信で忙しかった。」

「あ、そうなんだ!メイド喫茶ってそんなこともやるんだね!」

「まあね。」


めっちゃ嘘です。

昨日はちょっと直輝くんに拒否られて、再婚相手に嫉妬して眠れなかったなんて口が裂けても言えなかった。

私は嘘ばっかりだ。


そして、私の彼氏の直輝くんは野菜ジュースを飲んで窓を見つめていた。

そして、私を見て気まずそうに声をかける。


「お……おはよ、舞衣。」

「おはよ、直輝くん。」


明らかに緊張している。

可愛い、食べちゃいたいくらいだ。

朝ごはん抜いたから妙にその言葉が文字通りに感じるくらい直輝くんを欲していた気がする。


「昨日は……ごめん!」

「うん。」

「あの言い方じゃ、一方的に拒否したみたいだったよな。俺……君のことが好きなんだけど、受験勉強とかでプレッシャーになってて……一人の時間も作んないと壊れそうだったんだ。だから……!」

「大丈夫。」


もう全てわかっていた。

昨日彼の声を盗み聞きして全て本心を理解した。

彼は浮気などしていない。

私に愛想を尽かした訳でもない。


頭の中では、理解していたから。

嫌われたくないから、もっと合理的に演じるのだ。


「直輝くん……いつも頑張り屋だからね。私も距離感考えるから。」

「ありがとう……!でもまた落ち着いたら、舞衣のオムライス食べたいな。」

「うふふ、直輝くんはしょうがないな。」


大好きな直輝くんと仲直りできた。

なのに、心が晴れない。

だけど私は演じ続ける。もっと心配して欲しいし、もっと彼と一緒にいたい。心の獣が大暴れしていて心身が反比例するようでもあった。


その後、私は何事もなくアルバイトに行く。


「美味しくなーれ、萌え萌えきゅーん!」

「おお、舞衣ちゃんが愛こめしたオムライスは毎日でも食べられるよ。」

「えー、じゃあまたチェキ撮りますか?」

「ああ……特別仕様で頼むよ。」

「はーい!」


そして、私は急いでチェキのイラストと文字を書く。

すると、新人メイドのメアちゃんが駆け寄ってくる。


「舞衣さん、レジお願いできますか?ポイントカードの対応がわからなくて……。」

「あ、そこ教えてなかったよね!代わるね!」

「すみません……。」

「えっとね、まずはこの番号からお客さんのデータが来るから……。」

「はい!メモメモ……。」


私は……その日は何事も無かったかのようにみんなの知ってる佐倉舞衣を演じ続けた。

ありのままではなく、可愛くて……献身的な私を演じて。


そして、終電近くの電車に乗って最寄り駅で私はトイレに駆け寄った。


「おぇぇぇぇ!!」


吐いてしまった。

やっぱり自分の感情に蓋してばかりだったから、ついに限界だったらしい。

今日はほとんど食べてないので、少しの食料とあとは胃酸があるだけだった。


家に帰っても居場所がない。

ほかの居場所は……頑張らないとつなぎ止められない。

そんな感覚がとても苦しかった。


家に帰ると父さんもアサミさんも眠っていた。

正直、今はおかえりなさいの無い方が気楽だった。


鏡をみると、明らかにやつれてくまが酷くなった私がいた。

こんな私を……誰が愛せるのだろう。

私は軽くシャワーを浴びてからぐっすりと眠った。

明日のアサミさんとの食事が来ないことを祈りながらゆっくりと……。


しかし、この日は私はまだ知らなかった。

明日が大きく変わるきっかけになることを。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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