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僕のお母さんは△▽女優  作者: kyonkyon
第24章 雪と温泉とウィンタースポーツ

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月下に灯るメイド長 9話

それから、徐々に研修も終えていよいよオープン1ヶ月前である。


私たちは本当に忙しかった。

でも、それが記憶にない文化祭の事前準備のようにワクワクしていた。


今日はプレオープン前ということであるYouTuberどコラボ企画となっていた。


「あの、ことねさん?」

「……どうしたの?メアちゃん。」

「今日のYouTubeの撮影、私でいいんですか?」

「……ええ、フレッシュさや真面目さにおいてあなたの右に出るものがいないもの。」


今日のコラボはネタをやる系のYouTuberさんだ。

アニメの低予算コスプレをして、ASMRとか質問箱に答えるというものなのだけど動画の再生数は100万を超えている。


「……今回のコラボ先のYouTuberさん、あんまり知らないのよね。」

「ですね、どんな人か。」

「ええ〜!?お二方、「ヤバい人」をご存知でない!?」


そんな中すずのちゃんが少し驚いていた。


「……私YouTubeあんまり見ないのよね。」

「私も、たまにサムネイルは見かけるくらいで。」

「あかんあかん!ヤバい人の動画はほんまおもろいで〜!」


珍しくすずのちゃんが白熱していた。

それほど魅力があるのかしら……。


「どんなコスプレとモノマネしてるか、知らんやろ。結構おもろいんやで!例えば……東〇医学部頭悪い!のおじさんでASMRやっとるんや!」


頭が混乱しそうだった。

どうやら一時期ネットで流行った電車で怒鳴る男性の真似してASMRをやってるらしい。

それ、ASMRになるか自体が疑問なんだけどね。


「……まあ、なるようになるしかないわね。」

「ですね。」


こうして私たちは軽い打ち合わせをして準備するのだった。


☆☆


バンッ!


ドアのガラスから突然何かがくっついている。

全身白タイツとバカ殿のようなメイクをした奇人がいた。


「ひいっ!?」

「……しっ、撮影中よ。」


反射的にメアちゃんは怯えるけど私はグッとこらえていく。

そして、白い物体は離れると普通に入ってきた。

それと同時に反射的に挨拶をする。


「「お帰りなさいませご主人様!」」

「あの、何名様ですか?」

「わぁぁ!!うえええええええい!」


白い奇人は声を荒らげて足を小刻みに動かして近づいてきた。


「きゃあああ!!」

「ダメだよ!そういうとこじゃねえから!」


すかさずカメラマンさんがツッコミを入れる。

28歳になったのに少し目尻に涙が出るほど私もちょっと怖さを我慢していた。


私は感情を一旦止めて席に座らせる。

すると、白い奇人は私たちを舐めるような目で見つめて語りかけてくる。


「お……お待たせしました!うさぎの国から参りました。メアです!」

「…………。」

「え、え……。」

「カワイイネ。」


その後は、私の方を向いて口をわなわなとさせていて泣きそうだった。

怖い、多分動画映えの演技をやってくれてるんだけど、恐怖感が勝ってしまうので私は自分を幽体離脱して上から自分を操るイメージで我慢していた。


「……巫女の国から参りました。ことねです!よろしくお願いします。」

「ステキダネ。」



挿絵(By みてみん)



あ、ちょっとやっぱ怖いかも。


その後もやり取りをする。

メアちゃんは涙目のままやっていてなんか申し訳なくなってきた。


「えっと……ぐす、ご主人様の名前を教えてください!」

「わぁ!」

「わ……わぁ!」


どうやらこのコスプレは例の人気ゆるアニメのキャラらしくそのキャラの真似をしている。

でも、ジェスチャーなので全くわからない。


「が……がぁ……すずきこうじです。」


え……。


「あ、これ後でピー音つけるんで気にしないでください。」


どう見ても本名だよね。

取材する側は怖いけどちょっと人気が出るのがわかった気がした。


「……メアちゃん、説明私やる?」

「ぐす……いえ、やります。」


なんか心苦しい。

同僚というか、どっちかというと親に近いような感覚で彼女の成長がみえて私も泣きそうだった。


「それでは、ご説明いたします!」

「わぁ?」

「ご主人様は、普段は外の世界で頑張っております!」

「わぁ〜!」

「私たちは魔法で作られたご主人様を癒すための存在です!」

「わぁ……わぁ。」

「私たちに触れたり、写真を撮ったりすると私たちはご主人様に天罰を下すのでくれぐれも気をつけてください!」

「うわぁ"ぁ"あ"ぁ"ぁ"!!」


ひい!?やっぱりこわい。てかうるさ!

でも、よくやったメアちゃん!こんな怖い中研修で一生懸命練習した甲斐があったね。


その後もヤバい人さんのペースに乗せられながらも、たまにカメラマンさんがツッコミを入れてくれたり、なんとかやりきった。


きちんと萌え萌えきゅんとかのアイコメとか、オムライスのお絵描きもメアちゃんにやってもらったけど彼女影で練習してたからか隣にいてもツッコミどころゼロだったので、私は白い奇人のツッコミとかに回せることができた。


私たちももう終わりかと思った時……。

バンッ!


またドアのガラス越しに白い奇人がベッタリくっついていて、ちょっと夢に出てきそうで怖かった。


☆☆


「……終わった。」

「終わりましたね。」


「2人とも、お疲れさん〜。」


そう言ってすずのちゃんが私たちの飲み物を置いてくれる。

しばらく飲む元気もなかった。


「みてみて〜サインも貰ったわ!いや〜ウチもあれ出たかったわ〜。」


確かに、程々の距離から見ると面白いかもしれない。

でも、至近距離だととても怖かったのですずのちゃんに変われるなら変わって欲しかった気分だった。


それにしても、久々に涙目になった。

でも、メアちゃんが怯えながらもきちんとマニュアル通りの行動をこなしていてこれならどんなハードなお客さんでも対応できると確信できた。

それだけでも大きな収穫だった。



「ことねさん、私……メイドできてましたか?」


ふと後ろを見ると不安そうにメアちゃんがこっちを上目遣いでみていたのでわたしは彼女の頭を優しく撫でた。


彼女の髪はとても柔らかくて絹のようで、良いシャンプーを使ってるのかホワイトリリーの香りがした。


「……メアちゃん、貴方は1人前よ。私が保証してあげる。」

「やった!ありがとうございます!」


そういって、私たちは無事撮影を終えることができた。

大きく感情を動かして乗り越えた今日は、とても大きな経験になったと思う。


チグハグだった私たちも少しずつひとつになっていく感覚もとても楽しくオープンが待ち遠しい。


さて、明日は何をしよう。

そんな事を思い、私は冷たいアセロラジュースをのんで酸味で疲れを癒すのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

☆YouTubeの反応☆


「ヤバい人wwwwwww」

「メアちゃん泣きながら頑張ってた。」

「これは何回でも見返したい。」

「なんでずっとチクニーしてるの?」

「オモロすぎやろ」

「ことねさん、いつもよりちょっと表情固い?」

「メアちゃん、頑張れ!」

「ことねさんにゴミを見るような目で見られたい。」


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― 新着の感想 ―
拝読いたしました。 キョンキョン様の作品は可愛らしくて面白く、読んでいて自然と笑顔になります。 続きも楽しみに読ませていただきます。 素敵な作品をありがとうございました。 巳ノ星 壱果
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