第122話/全力★脳筋式恋愛脳系勇者!リサちゃん☆彡/RISA
こんなに生きるのって辛いの?
一人で自分の事考えるのってこんな怖いの?
消えた過ぎる。
ナギの近くにも行けない。
恥ずかしい。
今っていつの翌日?
消えたい。
居なくなりたい。
ここどこ?
立ち上がって、足の出る方に歩く。
のどかわいた。
自分が嫌い。
一人が嫌。他人と一緒も嫌。
消えたい。
誰か抱き締めてほしい。
自分がふわふわとしてどこかに飛んでいきそう。
頭がふらふらして目が勝手に動く気がする。
地面から伸びてる草を見ても、それが草じゃないかもしれない。
木の幹に触れても、これって木の幹じゃないかもしれない。
地面の上を歩いてるけど、地面の上って感じがしない。
じゃあなんなの?わかんない。
みんな失敗したらなんで許せるの?
あたしは許せない。
自分が許せない。
他の人も許せないかも。
どうだろう。わかんない。何考えてるの?
みんなは、そんなに完ぺきなの?
失敗しないの?
なんで失敗して笑えるの?
あたしがダメだから?
あたしがとびっきりできないから?
消えたい。
一人ってこんなにつらいの?
グローブ・Kのリーダーっぽい、エクステがたくさんついてる人を殺していたナギをふと思い出した。
裏切られた瞬間にあれしてたの?
なんで体動くの?
かっこよ過ぎない?
気づいたら立ち止まってた。
あたしはもう一人じゃ全然だめなのに。
ナギは独りで何かに立ち向かってた。
〝リサ。今回の件、おまえが全部悪い。おまえのせいだ。これからナギが苦しむのは。こいつは一人で苦しんで苦しんで。全部背負い込んだ。おまえは考えられるか?ひとつの町を丸ごと相手にしたんだぜ?〟
悔しいけど、ブローチの言う通り。
ナギを一人にさせたのはあたし。
ナギが苦しんでたかはわからない。
でも一人は苦しい。
あたしには考えられない。あんな事できない。
ノードを吸収したから出来たってサファは言ってたけど、きっと違う。
ナギだから出来た。
ナギは強い。あたしよりも全然強い。
いや、あたしが弱いんだ。
それを認めた途端。
急にブローチの言ってる意味が、するすると、身体にしみるように理解ができた。
〝それが怖かった〝から〟。ナギを信じられなくて、あの線からコッチ側にいたんでしょ?だから大勢いる方にお姉ちゃんは流れるんでしょ?大勢を作ろうとするんでしょ?でも結果はどう?リサ。あなたの周りにはどうでもいい頭数ばかり。あなたを見てるようで、あなたをわかってるようで、自分の欲求も分からない奴らばっかりだったじゃない。〟
そう。怖かったからあたしは〝アッチ側〟にいたの。
一人が怖いんじゃない。一人も怖いけど。
怖いって認めるのが怖かった。
だから集団に居た。なんとなく。
あたしが周りに中途半端に見られてたんじゃなくて、あたしも見てなかった。周りの人の事。
どういう食べ物が好きなのかとか。どういう考えの人なんだろうとか。なんでもいい。
そういう…、個人の土台みたいの。全部考えてなかった。
見てなかった。
お互い様。あの人達は別に悪くない。
いや、あたしの事を見てくれている人も、中には居たかも。
ナギに会いたい。
何度も冷たい目つきで見られたけど、殺されなかった。
腕も捥がれたけど、治してくれた。
あたしが応じなかった、会話できなかっただけで、たくさん会話してくれた。
道場でも、ナギよりも年上の人達が好き勝手言ってるだけだったのに冷静でかっこよかった。
ブローチにも物怖じしないで話してたり、おっきく見えた。
あたしを助けてってブローチにも言ってたみたいだし。
味方に裏切られても一人で立ち向かってた。
裏路地ってなんだろう。ナギが潰したって、双子のおっぱいは言ってた。
どうでもいいけど潰したのすごい。かっこいい。
広場でずっとあたしに伸びてた、赤い糸。
ずっとあたしを掴んでてくれた。
途中から二本だったし。
顔が熱い、唇を噛んじゃった。
〝やっすいラブコメさせねえからな。ガキ共〟
うるさいわねババア。
〝たっかいラブコメ〟してやるわよ。
あたしはナギが好き。
好きになったのよ。今。
〝今〟好きになったのよ。そこが重要よ。
〝実は…あたし今まで…、大好きだったの…、彼の事…、その気持ちに…気づいちゃったの〟じゃねえのよ。
そんなのさすがに気づくだろ。
〝瞬〟で。
別に複雑な感情を紐解けって言われてるんじゃないでしょ。
〝好き〟〝嫌い〟〝べつに〟の三種類でしょ?
トゥンク!ってしたら好き確でしょ。
逆にトゥンク!以外の好き確ってあんの?
あたしが読んできた物語のヒロイン達って不整脈なの?
そういう…、気づいちゃった系じゃないのよ。あたしはね、今、大好きになったのよ。
ミトハロを通して、彼が大好きになったの。
さっきまでの肺を掴まれる感覚はナギだったのかも。
ナギも、離れてほしくないのかも。
近くの木の幹を両手で抑えて、何度も頭を打ち付ける。
もう!そういうのをやめるのよリサ!
離れてほしいに決まってんでしょ。
あたしきもすぎでしょ!
今まで仲間ヅラしてたと思ったら、急に何も話さなくなるし。
戦場で会ったら、体真っ二つにする軌道で斬りかかって。
さすがに嫌でしょそんな女。性別関係ないでしょ。男だって嫌でしょ。
最後には何?魔女を旅に連れていくから?頭おかしいんじゃないの?
そうよ。おかしかったのよあたしは。
もう消えていなくなりたいの。
でも、それ以上にナギに会いたいの。
抱き締めたい。
今は心臓がくすぐったい。こしょこしょするのよ。
ナギが舌の先でちろちろしてるの。
〝リサ。今回の件、おまえが全部悪い。おまえのせいだ。これからナギが苦しむのは。こいつは一人で苦しんで苦しんで。全部背負い込んだ。おまえは考えられるか?ひとつの町を丸ごと相手にしたんだぜ?〟
何度も何度も。わかってるわよ。
だからあたしは今消えたいし、だからナギの事が大好きになったのよ。
〝これからはウエスタール大陸丸ごと相手にするかもだぜ。〟
木の幹を片手で掴む。乾いた破砕音。
拳の中が湿る。何かが滴った。手を開くと、赤が垂れている。
木の破片が刺さってた。
うっさいわねババア。
させるわけないでしょ。
あたしが潰すわよ。
次はあたしが守るんだから。
あたし多分、この大陸滅ぼすくらいならできるから。
片手に回復魔法をかけた。
刺さった木片が勝手に抜け、痛みが引いていく。
でも、なんかの物語みたいに、好きな男子一人のために世界を滅ぼすみたいな。
彼を守るために、誰だって殺しちゃっていいみたいなさ。
トゥンクって、そういう事じゃなくない?そう思うの。あたしは。
まあいいわ。その辺はちゃんと考える。
ねえ、あたしは誰に話しかけてるの?
いやいや、あたしでしょ。
もう、ナギを好きだっていうこの気持ちは、絶対に失いたくないの。
ミトハロであたしに唯一残ったものだから。
貴重なの。
自分を見失いたくないの。
自分自身なの。
エーテルノードを壊しちゃって、ウエスタール大陸の配達事業が全部ダメになっちゃったから、狙われるのはたしかね。
次はあたしが守らなくちゃ。
会いたい。
抱き締めたい。
キスしたい。
つい、細い木に蹴りを入れる。
腐ってたのか、そのまま振り抜けちゃった。
ミシミシと音を立てて、〝く〟の字に倒れてた。
ねぇ、あたしさ、これずっとどこにいるわけ?




