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ナギとリサの大冒険  作者: あ★い★う★え★お
【蓮の部】エンディング
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第102話/最強の憐憫/Limited_GoBiPoP


因果の少年が、その少女を殺害してから、もう六年経つ。



私に感情はない。

しかし、この屋敷の屋根から見える夕日が好きだ。



私は犬から猫に変化して、にゃあん。と鳴いてみた。

特に何も起こらない。



私に感情はない。

しかし、人間は面白い。



自分を見つめられぬ者と気づける者が同居する世界。

人間という種族は、あまりにもアンバランスだ。

アンバランスな事に気づいているはずなのに、にゃん百年も、それが続いている。



つい、猫の思念が混じる。

私は犬になり、わおーん。と吠えた。

特に何も起こらない。



人間、国家、戦争、愛、権力、暴力。

何百年も見てきた。

もう具体的に何か想起する気も起こらないほどに。



人は、答えが答えだとわかれば、やる。

答えが答えであると断定できない限りは、できぬ。

一部の人間は、答えだとわからなくても出来る。そんな個体は、一握り。



日々、揺るがない正解を求める者は答えから遠のく。

日々、昨日の自分を否定できる者こそが気づく。

日々、探る勇気のあるものだけが到達する。



気づけぬ者に、答えを〝答えとして〟渡した時。

思うように答えが訪れぬ場合、受け取った者がする事は、逆恨み。怒り。

末期の人間ならば、逆恨みをするために自分から答えを出さぬ。



だから気づいている者は口を噤むのだ。

答えを教えずに黙っているのではない。

静かに見定めているのだ。相手が伝わる人間かどうかを。相手が気づける人間なのかどうかを。



答えを答えとして差し出せぬのだから、気づけぬ者には通じない。

伝わらぬ者、理解する事が怖い者は、おしなべて嘲笑をする。しかし一人では嘲笑もできぬ。大抵は集団でそれをする。

気づける者は、まず試す。



気づけぬ者、伝わらぬ者に答えを確かめる術はない。

だから権力、金、容姿。それらの、答え以外の世界に縋りつく。

時に、家族へも。

それはもはや我々からしてみれば、共食いだ。



私はわんわん。と鳴いてみた。

私の声が夕日に向かって響いた。



人間という生き物は、その答えを教える事が出来ないが故に。

それぞれの人生で答えを示し〝人間〟という答え合わせを、伝わる者同士で行っている生き物に見える。



死者の言葉しか届かない。生者からは問う事でしか伝えられぬ。

なんと不便な生き物だろうか。



答えが自分のすぐ後ろにあるにも関わらず、振り向くのが怖くなる。

立ち止まるならまだしも、そういう時ほど人間は前にしか進めなくなるものだ。

それが間違っているとわかっていても。



自分を見つめられぬ者。

気づけぬ者。

わかった気になって、わからずに死んでいく者。

わかった気になって、二度と考えずに死んでいく者。

わかった気になって、気づきの手掛かりを忘れていく者。

わかった気になって、誤解を流布する者。

なんと滑稽なのだろう。



私は後ろ足で立つと、両前足を合わせ、祈るように縦に振った。

私に感情はない。

しかし、何故かこの動作が好きだ。





ハハハハハ!人間なんてあんなくせー奴ら!全滅すリャいいんだよ!ほんっとにクっセーんだよ!

生きる以外で同ジ種族同士で殺し合いする奴らダぜ!

何ガ〝自分〟だよ!そこに居る事に疑問を持つ種族なんてあイつらだケだろ!

敵を作んなキゃ生きていケねー種族!

あいつら身体も使いコなせねークセに!いっちょマえに生き物ぶってんじゃねえよな!

殺しちまえよ!なあ!





私は、人間は食わない。





命の価値に優劣はない。

一兆個の命を有している私が言うのだから違いない。

しかし、その生き様は、気づいている者からすれば、冷ややかに笑われているかもしれない。





気づいている者からすれば、権力も、富も、容姿も関係ない。

その生き様を、世界への関わり方を。無感情で、ただ見据えているだけかもしれない。

目の前の人間が果たして、人に成れているのかを。静かに確認しているのかもしれない。





私に感情はない。

しかし、自分に成った者の人生は、わけがわからないほどに面白い。





今日、女の勇者が死んだ。

特に語る必要もない、空白の人生。

誰も思い出さない、悲惨な人生。

死の間際、たしかにこの世界に存在しているのに気づかれない、無様な死。

疑問を持つことで、道は確実に切り開けるが、疑問を持てない人間もいる。

充分に愛を確認し合い、言葉が不要となりつつある人間達の、ピロートークついでの思い出話にしか、消費されない人生もある。





私に感情はない。

しかし人間は、奇妙だ。

人間になるまでの障害を児戯のように自分から作るものもいれば。

それまで人間だったものが、翌日には人間でなくなっている。

自分は人間だと声高に叫んだ瞬間、人間から離れていく。



関わりたくは、ない。







憐れ。


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