2-28 『夢は、人が追い求めるもの。』
今回を含め、あとラスト3話で完結です。
「ぇ……ユカ、リ……?」
何が起こったのか、理解できない。自分は死んで、幸せを掴んだはず……なのに風は冷たく、地は固い。手で足で、首で頭で、五体満足の肉体でそれを感じる。自分はまだ生きていた。
「ぐ……ぅぅ、ぐぅ、っ……」
「……バカね、ユカリ。いくら努力しても、世界は貴方達に救済なんて与えない。それを分かっているはずなのに……何故すがりつこうとする」
プルプルと足を震えさせ、自分を庇うよう剣を構えていたユカリ。カグラの攻撃を変に受け、鎧の節々から血を流している。
痛みに喘ぎそうになりながらも、ユカリはワラビの前から離れず、必死にカグラに立ち塞がっていた。
「っ……ぁ、貴方、みたい、な……奴、なんかに……」
「ワラビ、に……私の、大好きなワラビに……手出しはさせないっっっっっ!!!!」
一瞬息を止めると、ユカリは目を見開き、
「……うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!」
「く、っ……」
痛覚を遮断し、剣先に全意識を集中させて決死の一撃を放つ。青い波動を放ち、確かにカグラの身体に攻撃が当たり、大きく後ろへと吹き飛ばす。
「はぁ、はぁ……っ!!!今よ、捕まりなさい、ワラビ!!」
強引にでも隙を作り、ワラビをカグラから引き剥がすことが出来た。即座にユカリはワラビの手を取り、戦士となった身体能力を活かし、その場からの離脱を図る。
ビルの側面を蹴って伝い、転々と次のビルへと移っていく。カグラが顔を上げた際、既に視界から二人の姿はなくなっていた。
「ユカリ……」
「……残念だ」
分かり合えなかった。同じ境遇に置かれた者同士、仲良くできたはずなのに。少し口惜しそうに俯くと、カグラは後ろに振り返って場を後にし、再び死者達の統率者としての顔を顕にする。
死者達の侵攻は着実に進んでいる。そろそろ、計画を最終段階へと移す頃合いだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……っ、ぐっ!!!」
「ユカリ、っ……!」
とあるビルとビルの間の路地裏。日が差し込まない暗がりの中、力尽きたユカリは地面に突っ伏していた。
ゴミ溜めの近くで、周りの臭いも酷い。こんなボロボロで血だらけで、満身創痍の彼女の姿はあまりにも低俗で醜かった。
ただ立ち尽くし、ユカリを見下ろしていたワラビは、僅かに口を開く。
「……ユカリ、どうして……どうして、私を助けたの……」
「当たり前、じゃない……友達だからよ」
「なに……なんなの、それ……」
ふつふつと、心の中で何かが煮えていく。このもどかしい感情はなんだ、酷く気持ち悪く、後悔のような息苦しさに溢れている。
ワラビは、その発生源に違いない存在を睨みつけ、
「私は死にたい、死にたかったのに……なんで、なんで余計なことしたの!!!!」
沸き上がる感情のまま、友だちであるユカリに対して怒号を浴びせる。
「……」
「なんで、なんでよ!!?私は最低な奴で、生きる価値もないような、クズでしょうもないゴミ人間なんだよ?ユカリだって分かったでしょ、私はみんなに、生きてる人間全員に、ユカリさえに嫉妬を覚えるような、救いようのない奴だって!!」
口にしていく度に、ワラビは自分が分からなくなる感覚に襲われる。ただ苦しんでいたから、それから逃げたかっただけなのに。
一度噛み付くと引き下がれない。自分の芯が腐り切って、口先だけのクズから本物のクズへと堕ちていくのを感じる。
「……」
「それなのに、なんで助けるわけ?放っておいて、さっさと見殺しにすればよかったのに。こんなことして、私に感謝でもされたいの?はぁ?バカなの?」
「……」
「ほら、なんとか言ってみてよ。ほら……私が大嫌いで憎くて、失望させられたって、ほら早くさぁ!!!!!」
「……調子に乗んな、このクソ女っ!!!!」
声を上げて煽りはしたくせに、いざそうなれば身を震わせてビビり散らかす。一体何をしたいのか分からない。完全に軸を失ったワラビに、今度はユカリが怒号を浴びせ、そして……その頰に思い切りビンタを喰らわせた。
「い、ぎっ……!?」
「いい加減にしなさいよ……これ以上つまらないこと言うつもりなら、次はそのツラ、思いっきりぶん殴ってやる」
「う、っ……!?ぐはぁ、ぁっ!!!」
ビンタした流れで立ち上がると、ユカリはワラビの胸ぐらを掴み、そのまま向かいの壁に背中を叩きつけた。鈍くも重い痛みが骨に伝わり、痛みと怖さで目から涙が溢れてくる。
こんなユカリ……今まで見たことない。
「あら、どうしたの、怖いの?急に黙りはじめて、さっきまでのイキり腐った口はどこ行ったのかしらね」
「ぐぅ、っ……」
「……人様にこんな怪我負わせて、そのくせワガママ言いたい放題で余計だのなんだの、ホントに最低な女だわ。こんな奴に誰が友達になろうだなんて言うのかしらね。そんなアホの顔が見てみたいくらいよ」
「ぅ、っ……うるさい……もう黙って、黙れよっ!!!!」
「黙ってなんかやらないわよ。アンタみたいなゴミクズ野郎、これくらい雑に扱ってやるのがちょうどいいわ。ええ?報われなくて死にたい?努力がアホ?……抜かしたこと言ってんじゃないわよ!!!!!」
「く、ぅぅ……っ!!!」
怒りに震えるユカリに怯え、完全に腰を抜かし、鼻声で喉を震えさせるワラビ。いつ殴られるかも分からない、胸ぐらを掴む力はそのまま、ユカリはワラビの顔を寄せ、超近距離から口を開く。
次はどんな仕打ちを受けるのか、恐れて思わず目を伏せるワラビだったが……
「っ……アンタのアホな努力に救われたアホだって、ここにいるのよ」
「ひっ、っ……ぇ、え、っ……?」
ユカリは手を振るうことなく、ただ言葉で、目の前のワラビの心へと訴えかける。
「聞き逃さないで。一度だけ、ハッキリと言うわよ……もし貴方が相方じゃなかったら、私はここまで走ってこれなかった。ずっと前に諦めて、努力なんかアホらしいって投げてたわ」
「っ!?」
「はじめてユニットを組んで、ペアになった私に話しかけてくれたわよね。あんなに人を拒絶してたのに、そんな私におじけることなく、貴方は笑顔で接してくれた……私の人生は、貴方と出会って変わったの」
思い出を語る口調は、徐々に柔くなっていく。
昔から人付き合いが下手で、アイドルにもなあなあに取り組んでいたユカリ。そんな乾いた彼女の心を引っ張り、励まし、いつの日かのステージを夢に思うキッカケを与えてくれたのが、ワラビだ。
「私だって人気になりたい、でもいつまで経ってもなれないって、ホントに努力に意味なんてあるのか、辞めた方がいいのかって、いっぱい悩んだわ」
「……ぇ、ユカリ、も……そ、う、だった、の……?」
「でも、挫けそうになった時でも頑張れたのは、いつまでも努力を欠かさなかった、貴方の姿が隣にあったから」
普段は内心を見せないユカリだが、辛くて苦しいことなど数えきれないほどある。
その度にユカリの目には、隣でただひたすらに頑張るワラビの姿が映った。笑顔でステップを刻んで、腹の底から声を出して、思い切りかいた汗をタオルで拭い、濡れたウェアを脱いで着替える。
初めはウザいほどだった、そんな彼女の姿がいつの日か、自分の生きる理由になっていった。
「どこまでも、純粋に、がむしゃらでも全力に頑張る。貴方の夢を追う姿が段々カッコよく見えて、だからそんな風になりたい、私も真っ直ぐに夢を貫けるようになりたいって思えたの」
たとえ本人そのものが夢を失ってしまっても、努力を無価値だと切り捨てても、ユカリがワラビから得たものは、まだ彼女自身の中に宿っている。
心が折れ、底のない苦しみから抜け出せなくなっているなら、今度は自分が彼女の手を取り、救い出す番だ。いつまでも諦めなかったワラビのよう、自分も絶対に諦めはしない。
「私と一緒に頑張ってくれて、いつも隣にいてくれて……光であり続けてくれて、ありがとう」
「ユカ、リ……」
努力の末に、必ず自分達は夢の大舞台に……大勢のファンが集うステージに立ってみせるんだ。
「そんな……ユカリがそんなこと、言うなんて……なのに、私、なんて、ことを……」
「もう、その通りよ。こんなことわざわざ言わせるなんて……普段なら恥ずかしくて、絶対言えないわよ、っ」
「うひっ!?」
「ふっ、私がこんな恥ずかしい思いしたんだもの。アホでクソバカな貴方にも分けてあげる」
「く、クソバカって……わひゃぁ!!」
突然抱きつかれ、直後に耳に息を吹きかけられ、変な声を上げるワラビ。まさか、ユカリにここまで強引にされるなんて。こんなことも初めてだった。
自分に生きる価値はないと、ワラビは言った。だがユカリがこうして今を生きていられるのは、他でもないワラビがいてくれたからだ。
何もかもが上手くいかなくて、自分に自信も価値も見出せなくなっても、大事な友達はずっと側にいてくれる。
「——へへっ、なに二人だけでイチャイチャしてんだよ。俺も混ぜやがれっ!!」
そして、それはユカリだけじゃない。ワラビには自身の生を確かに感じられる、大切な居場所がある。
「えっ、オウマ……君!?」
「ひっ!?お、おっ、オウマぁっ!?なっ、ななな、なんでこんなとこにいるのよ!!」
路地裏に突如現れた影、女の交わりを乱すお邪魔。でもそのウザさが頼もしくもある青年、オウマは声を上げて、二人だけの空間に風穴を開けた。
光差す大通りから、友達の二人を迎えに来たのだ。
「いやぁ、カイドウさんがお前らのこと……って違う違う!!た、たまたまここを通った時に見かけてよー、あーこんなとこで会うなんて奇遇だなー、あ、あはははは!!!」
「……お、お前それ、嘘が下手なんて次元じゃなくね……幼稚園生でもまだマシなこと言わない?」
「はぁっ!?おい誰が幼稚園生以下だ、カナデっ!!」
オウマの絶望的に下手な嘘へ、裏からさりげなくツッコミを入れたのは、本来渋谷にいるはずのカナデだった。
もう何となく分かった。カイドウがきっと、カグラがワラビと接触したことを察して、何かが起きたとオウマ達を呼び込んだのだろう。
「カナデ……はぁ、貴方までいたのね」
「あっ、もちろんアツミちゃん達もいるよーっ!!せっかくだし、来ちゃった!」
「わ、わわ、私もっ!!ち、ちゃんと、いる、よっ!!」
「えっ、ちょ……アツミに、メグミまでいたの……」
と思ったら全員いた。渋谷に六本木から、わざわざご足労なことだと思わずにはいられない。ワラビの背中に回していた手をどけると、頭に手を添え、冷静さを装ってユカリはため息をつく。
「もー、そうやって不満そうにしてー、ユカリちゃんてば」
「アポなしで来られたら、突然仕事が増えた気分になるのは分かるでしょ、はぁ」
「へへ、サプラ〜イズってやつじゃん?おはよっ、ワラビちゃん。昨日はちゃんとよく眠れた?」
「あ、っ……ライカ、ちゃん」
ライカの名を呼び、先程までの自分の発言を思い出し、変にぎこちなくなってしまうワラビ。少し間ができる中、アツミは持ち前の洞察眼で瞬時に心を覗く。
「なんて、ちょっと回りくどいかな。私たちも察しは付くよ、きっとあの豆打悶堕って人のことだよね、ワラビちゃんが気にしてるのは」
「……」
もう気づかれている、今更隠せない。アツミへの良い意味の諦めにより、ワラビは自ら口を開いて、素直に自分の思いを伝える。
「……うん、そう、だよ。あの人は、私と同じ理由で、ずっと苦しんでた。私と同じ理由で、この世界を憎んでた。
努力なんてしても無駄、何も現状は変わらない、私に価値なんてない、そうやって考え出したら、止まらなくなって……不意に、死んだら楽になれるんじゃないかって……」
「死んじゃった方が、生きてる方よりずっといい、って感じ?」
「あの人も、生きてても良いことなんてない、苦しいことばかりで何も残らない、だったら生きてる必要なんかないって言ってて……あの『昔話』を聞いて、希望を抱くことが、自分の夢が、分からなくなって……」
「わ、ワラビ……お前、本当にそんなこと……」
カイドウ、マリエ、カオリの三人に唆され、ワラビとユカリの様子を見に来た四人は、ここで初めてワラビの心中を知る。死の直前まで追い詰められていた彼女の姿に、カナデが思わず声をかけようとするが、
「でもね、ワラビちゃん。今ある全てを捨てて、その人と同じようになっても、本当に自分は幸せになれるのかな?」
「え?」
すかさず、アツミはワラビの心へと問いかける。
「あの豆打悶堕、カグラって人は、生きることをやめて死者として歩むことを選んだ。なのに今は、捨てた生者の世界をわざわざ滅ぼそうとしてる。本当に死ぬだけで幸せになれるなら、死者達はこんなことしてないでしょ?」
「結局、人は死者になっても不満があるんだよ。生者への妬み、嫉妬……生者を追い出して死者の世界を作りたいのも、それも全部自分の生への固執、ヤキモチの裏返しだよ」
「……」
死んでも生きても、不幸は変わらず付きまとう。ならなおさらどうすれば……
「そんなの、結局はお前だけが決められることだろうが」
「えっ……私、だけ、が?」
「ああ、そうだ。ワラビ、お前のその死にたいって気持ち、俺にだって分かるぜ。俺も何度だって死にたいと思った、この世界に嫌気が差したことも、何度もな」
「……」
死者の矛盾を突かれ、混乱するワラビに、オウマは自身の過去を交えて同情し、かつ明確にハッキリと訴えかける。
「生も死も、別に頭ごなしに否定するわけじゃねぇ。でも、その選択肢が『夢を失った諦め』から来てんなら……俺は全力でお前を止める。その諦めはお前の本心じゃねぇ。勝手に自分で思い込んで、自分自身を絶望に閉じ込める、そんな虚しいことあってたまるかよ」
「オウマ、君……」
不幸に喘ぎ、復讐心などの負の感情に駆られ、最終的に自分自身が不幸を生み出す側へと回ってしまう。最初は自分に対してだったものが、やがては他人に、そして世界に対して向かっていく。
不幸に直面した時、どう行動を起こすか。今も事件を起こすお尋ね者とヒーローになったフェニックスの違いは、ここにある。
「俺は誰も見捨てはしねぇ!どんな奴でも、必ず希望を持てるよう笑わせてやるんだ!!だから俺は、お前を全力で助けて、お前を全力で支えてやる!お前が心の底から笑えるよう、自信を持って夢を語れるよう、ずっとそばで勇気づけてやる!!
だから俺たちを頼れ!勝手に抱え込んで、無理して苦しんでんじゃねぇ、ワラビ!!!」
「っ……」
「……ああ、お前の言う通りだ、オウマ」
ワラビを、お尋ね者と同じようにはさせない。普段は自分を抑えることの多いカナデも、今回は積極的に話に乗り込んでくる。
退屈な日々の中で、夢を追い求める楽しさを感じ始めている。そんな彼にも、この話は他人事じゃない。
「……夢を追い求めることは、苦しみも伴うし、うまくいかないこともある。でも未来に進むことは、悪いことだけじゃない。新しいことを始めて、自分の世界が広がっていく感覚……あの気持ちは、生きてないと抱けない。
生きてるからこそ、人は夢を持てるんだと、思う」
「ううっ……ぐ、ず……っ……」
「自分の夢を持てるなんて、カッコいいよ。俺もいつかそうなりたい……だからその日まで、俺の目標でもあって欲しいんだ。苦しい時は、みんなで一緒に立ち向かおう、ワラビ」
「カナデ君、みんな……私、私……っ!!!」
カナデの真っ直ぐな瞳を見て、堪えきれずにまた目から大粒の涙をこぼすワラビ。ふと横を見れば、澄ました笑顔で寄り添うユカリ。
「ふっ、思うほど捨てたものじゃないでしょ。アホにもアホなりの、やり方ってものがあるのよ」
オウマ、アツミ、メグミ、カナデ。
「俺の前では、好きなだけ笑ってて良いんだぜ!!笑え、笑え、笑い飛ばせ!!どんな窮屈な世界の中でも、俺たちはずっとお前を信じ続けてやるさ!!」
「私も……誰かに死んで欲しいなんて、思わない。人は生きて、笑顔でいてこそ意味がある。笑顔になれないなら、そんな時は私をみて笑って欲しい……そんな風に世界中の笑顔を作るのが、私の夢だからね!!」
「わ、私には、何も、うまいことは言えない、けど……好きなことを追い求められるのって、すっごい、素敵だと思うんだ!!大好きなものは、自分に、力と勇気をくれる……ワラビちゃんも、負けないで、頑張って!!」
「バカバカしいなんて声、跳ね除けて、そのまま夢を掴んじゃえば良いんだ。あの時は不安だったなって懐かしんで、最後には思いっっっ切り、笑い飛ばしちゃおう!」
全員の視線が、ワラビに集う。生きることは苦しくても、死んでは手にすることの出来ない、かけがえのないものが得られる。
夢への思い、ワラビが伸ばす手は、一体どちら側に……
「——生きる、全ての者に告ぐ」
その時、全員の脳内、及び渋谷、新宿、六本木……全東京に存在する人間へと、通告がなされる。声の主は死者達の統率者である、カグラだった。
「——状況は依然我らに有利に傾いている。此度を潮時と考え、明日、我らは最後の攻撃をお前達生者へと仕掛ける。我が同士達の願いで世界が満たされ、死者による、新たな秩序の世界が始まるのだ」
「——この無秩序で愚かしい世界に、別れを告げる時が来た」
「——我らの死こそが永遠の幸せ……アーバンエッエンシアよ。さあ、この世界の行末をかけた、最後の戦いを始めよう」
声は途絶え、街は再び元の姿に戻る。大半の人間にはお尋ね者の姿も、声も届きはしない。届かないと分かっていても、彼らはそう嘆かけることをやめることができない。
結局死者もまた、生者と同じ苦しみからは逃れられないのだ。
「……カグラ、さん」
カグラ達死者は、いよいよ本気でこの世界を奪おうと動き出すようだ。死に飲まれた世界……そこには夢も希望もない、命なきジレンマに満ちた悪夢が待つ。
「私の、本当の思い……心からの思い……夢」
どちらで苦しむかではない、どちらの世界で何をしたいのか。生の世界で前を向いて歩くのか、死の世界で永遠に立ち止まるのか。
選ぶのは、自分自身だ。
「私は……私は……っ!!!!」
……一人の少女が思いを定めた時、東京の未来をかけた、運命の決戦の火蓋は切られた。




