7:綺麗
「痛っ!! 」
魔法陣のつながった場所。そこは大きな木の上だった。
カインは優秀できっちりとした性格だが、たまにどこかぬけるから、な…。
って、そんなことを考えている暇なんてないのだった。急いで『虹の鳥』を探さなくてはいけないのをすっかり忘れていた。
『虹の鳥』とは、強力な魔力を持つ貴種な鳥。特徴は虹色に輝く美しい羽根なので一目見れば分かるはず。
そしてその鳥がなにより重要な役目を担ってくれる。
その役目とは、だな…確か、カインと連絡を取ることができるようになることと、魔法陣を発動して元の世界に帰れるようになることらしい。
かなり人懐っこい鳥だというのを聞いている。
しかも自分が生まれた世界以外の生き物には決して近寄らないという性質を持っているからきっとすぐにでも見つかるはずだろう。
多分…
下に視線を落とす。はぁ…、かなり高い。
深呼吸、深呼吸。(←高いところ苦手)
「とりあえず、ここから降りないと…」
降りようと決意して視線を落とすと、そこにはさっき見たときにはいなかったはずの少女がこちらを見ていた。
「おにいちゃん、この木、とっても高いのに、登れたなんて、すごいね。 眺めはキレイ? 」
こちらを見ているのだが…。自分の目を疑いたくなるほど、綺麗な子だった。
長い真っ直ぐな黒髪がそよ風でほのかになびいていて、それがまた、たまらなく綺麗だった。
あの瞳も、それはまた………って、そんな暇はないんだよ、自分!!
「眺めている暇などない。それよりお前、この近くで虹色の鳥を見なかったか? 」
わざと、きつい口調で言葉を発した。この世界の人間とあまり関わらないほうがいいから…な……。
「せっかく、とっても高いのに、登れたのに、見てみなよ 」
そういえばさっきから、見た目のわりに随分片言なしゃべり方だ。
「そんな暇はないと言っているだろう。それより、見たのか、見ていないのか? 」
その後少女は何も言わなくなった。そのかわり、もくもくとこの木を登り始めていた。




