8:虹の鳥と少女
「おい、やめろ。こんな時に、前と木登りして楽しんでいる暇などないのに… 」
今は『虹の鳥』を探すことが最優先だ。
こんなところで戯れていては駄目だ。(←自分に言い聞かせてる)
「どうして、だめ? 」
「どうしても、だ。もう僕はここから降りるからな 」
「だめ、待って 」
もっと喋りたい(眺めていたい)が、再度、「今はゆっくりしている暇などない」と言い聞かせて、仕方なく無視して逆方向に降りていると、すぐ声が飛んできた。
「わたし、も、一緒に、眺め、が見た……えっ…―――!! 」
「って、危ない!! 」
少女が手を離したのと、僕が飛び降りたのは、ほぼ同時だった。
―――ドッスン!!!
空中で見事にキャッチしたところまでは良かったのだが…。
少女を抱きかかえているので、地面に尻から落ちてしまった。
「痛ッ!!…大丈夫か? 」
見ると、泣いていた。
満点の笑顔で。
「おにいちゃん、いい人。助けて、くれた。助けて、くれた 」
そういいながらぎゅっと首にしがみ付いて抱きついてきた。
そして耳元に口を寄せて、
「ありがとう 」
この言葉には、痛みも『虹の鳥』のことも吹っ飛んでしまうほどの力がこもっていた。
仕方ない。落ち着くまで、こうしていてやるか。
そうして数分間なにも言わず抱き合っていると、少女がいきなり手を離して立ちあがった。
そして、林の方へと走り出した。 驚いた僕は後を追う。
林の少し奥の方。太陽の光がまちまちになって少女を照らす中、
僕はそこで見た。
少女がすっと手をあげると、そこに虹色に光り輝く鳥が舞い降りてくるのを。
嬉しそうにこちらに向かって歩いてきた。
「おにいちゃん、私のね、名前は葉月、っていうの。おにいちゃん、は? 」
「僕の名前は、ファイ、だよ 」
「ファイ 」
「なんだ? 」
「ファイの、探し物。虹色の、私の友達 」
そう言って、『虹の鳥』を渡してきた。




