6:僕は決して許しはしない。
ファイサイド◇◆◇
いつかこんな日が来るのではないかと、分かっていたはずなのに…。
僕のお父様、つまりガラム国の国王が臣下に殺された。
お父様は数年前、判断を誤った。
いや、『魔王を見くびっていた』と言ったほうがいいだろう。
ルシファー・エデンが魔王になる前に、彼を処刑していたら……
世界の半分、すべてが灰になることはなかったのに……。
その多大なる虐殺があった後から、お父様は変わってしまった。
もともとお優しい人だったから、それを自分の甘さのせいだと思いこみ、苦しみ、嘆き…、まるで別人のようになってしまった。
どんなふうに変わったかって?
少しでも、自分の気に食わないことがあれば…人を殺すようになってしまった。
そんな父になってもう一年になる頃だ。
家臣らはもはや王である資格はないと判断したのだろう。
そしてその息子である僕も、一緒に消せば、今後好きなように国を動かせる。
「ファイ、逃げて!!早く!!!」
焦りと怒りと動揺が混じった声。ひしひしと伝わってくる。
そうだ。今は何としても逃げなくてはいけない。逃げて、生きて必ずまたこの場所に戻ってくる。
そして、半分消滅した世界を、『王』としてなんとしても復興さなければならない。
そう決意した僕は、カインの魔法陣の中へ飛び込んだ。
水の中を落ちていく感じ…
魔法陣なんかの中にいるからだろうか、哀しい思い出が溢れ出してきた。
あの虐殺があってから二年…だ。僕は決して魔王を許しはしない。
必ずこの手で制裁を下してやると心に誓っている。
あの男だけは…必ず。
どれだけ落ちたのだろうか…、僕は異世界へと、たどり着いた。




