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28:低い声
両者が何も言わず、睨み合い、辺りは重い静寂に包まれていた。
「…葉…月……。会いたかった……会いたかった……… 」
そんな中、ファイはこの張り詰めた空気にそぐわない言葉を発した。
あのころより随分と低くなってるけど、ちゃんと本人だって分かる声で……会いたかった、と。
感動の再会に思わず私も叫ぶ。
「私、も…会いたかっ―――!! 」
突然、今まで優しく抱きかかえてくれていたはずのルシファーの腕が息ができなくなるほど強く私を抱き締めたせいで言葉が続かない。
「…うぅ…っど……し…たの…? ……ル…ッファー、苦…し…よ…… 」
肺の中にある空気を振り絞って声を出すも、途切れ途切れで、自分でも何を言っているのか分からない。
「…それ以上、何も、聞きたくない………何も…… 」
聞こえるか聞こえないか分からないほど小さな声で、ぼそぼそっとそう言いながら、より強く、抱き締められる。
ホントに、どうしちゃったんだろ!?
身動きは全く取れないけど見ることはできるから、なんとか視線をその表情に向けると…。
なんだか…凄く…怯えてる。
凄く…悲しそう。
「魔王っ、葉月を離せ 」
ファイが急速に間合いを詰めて、ルシファーに掴みかかろうとしたその時。
「ファイ!! 離れて!! 」
カインの叫び声が響いた。




