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月の瞬き  作者: 幸紀涅
26/43

26:森の中



葉月サイド◇◆◇



ここは異世界……彼が言うには『私の故郷』…だそうだ。


そんなはずはないと、思いつつ………。



今、私は知り合ったばかり(じゃないかも?)の青年、ルシファーに手を引かれながら、森の中をスローペースで歩いている。


はじめ彼は歩けそうもない私を見て、抱いていく(つまりお姫様だっこ…)、と言った。


もちろん恥ずかしいし、重いし、その他もろもろで断固拒否。


それで、心配させるのは良くないと思い、1人で歩けるって言ったんだけど……。


無理だけはしないでくれ…。…せめて…頼む……。と深刻そうな顔で言われ、手を差し伸べてきたルシファーを断ることなど出来ず、結局手を繋いでいる。


そういえば手を繋いだのって、何年ぶり!? …………以外に緊張してしまっている私…である。


おかげで先ほどから変な汗が噴き出てくるし、会話すらない妙な空気が漂っている。


違うこと考えて、気を紛らわそう! 



うーん……異世界なんて言われて簡単に信じてしまっているけど、今まで見た景色の中に『異世界』を強調する物はなく、なんら私のいた世界と変わりない。


『ここは異世界だ』って証明できるものがなければ、本当は信じられないはずなんだけど、ね…。



『ファイがいる異世界』が頭の中を過る。


そうだ! もしかしたらこの世界がファイのいる世界かもしれない。


もしここがその世界だとして、ファイは一国の王子様なのだから、ルシファーが知ってる可能性高いよね…。


そう思い、言葉にした。


「ねえ、ルシファー……ファイって人知ってる? 」


ルシファーは少し間が開いてから答えた。


「…………知ってる。確か……最近即位した王の名だろ……。でも……なぜリリスがそんなこと知っている? 」


手を握る力が強くなったので、顔を覗き込んで見る。……豪快に眉間にしわが寄って、…もしかして……物凄く怒ってらっしゃるのかも………。


「…えっと、ね。ファイは私の大……お友達、だからかな…… 」


なんとなく……ルシファーの前で『大切な人』とは言えなかった。


「………………… 」


……何も話さない。


深い殺気の様なものが、繋いだ手から伝わってくる。


………人を殺気で殺せるなら、私はもう死んでる…よね…。


…こんなルシファーは…怖い…な…。


今までに彼に対して幾度か感じた『怖い』。でも毎回、決して離れたくはない……。


傍にいてあげなきゃいけない気がするの。


もしかしたら…私は…本当にこの人を…………知っている…………?



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