25:決まっている
とりあえず、さっきまでいた部屋に戻る。
「今まで、どこで何してた? 」
「それがね、大変なんだ!! …でも…はじめから話したら、物凄く長ーくなるんだけど…ね…… 」
カインは昔から…どちらかというと話下手だ…。
どうしても細かく話してしまう癖のようなものがあるので、報告や何かの説明…など、一度喋り出したら止まらないことが多々あった。
それを踏まえ、さらに今回は自分で『長い』と言うのだから、相当長いのだろう……。
「なるべく短めに、単刀直入に頼む 」
「単刀直入…にいうと………葉月ちゃんが魔王に攫われました…… 」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
言葉の意味が上手く捉えられないので、心の中でもう一度呟いてみる。
葉月が…………魔王に攫われた、……………だと?
……何故、葉月が魔王に攫われたのかは察しもつかないが、今はそれを考えている余裕なんてものはない。
躊躇なんてしている暇などない。
今すぐ会いに……探しに行かなければ…。
「……今から探しに行く。どこにいるか、カインならだいたい分かるだろう? 教えてくれ 」
「………………。 ここにいるよ、多分…… 」
「ここって言われても意味が分からない。 どこにいるのだ? 」
いつもなら考えられないが……自分でも分かるほどに焦っているし、イラついている…。
そんな僕の雰囲気を感じ取ったのか、カインの目つきが変わった。
さっきまでのとは比べ物にならないほど、冷たく、冷めた目つきだ。
「葉月ちゃんはこのガラム王国に連れてこられている。僕も止めようとしたけど、駄目だった。……さすがは僕の兄さんって感じかな 」
………そうだった、な…。
カインは魔王『ルシファー・エデン』の母親違いの弟だった。
エデン一族はこの国で唯一魔力を持つ人種だ。
その一族との血の繋がりがあるからこそ、カインは魔法を使えるし、ルシファー・エデンはあの『偉大な力』を発動し、魔王となったのだ。
嘗て……ルシファーはまったくといてもいいほど魔力がなかったため、群を抜いて魔力に秀でたカインが正統後継者となる話が上がりつつあった。
しかし、『隠し子』であるがために、カインが後継者になることを祝福する者など誰もおらず、愚痴や小言を毎日のように言われ……殺されそうになったことなど、数えればキリがないほどあったらしい……。
そして…カインは逃げ出した。
母を…無理やりに孕ませた父と、会ったことも見たこともない兄を恨みながら……。
その逃げている最中、僕とカインは出会った。
…………………そして、(色々あったことは省くが)今に至る。
「……そうか…。どの辺かは、分かるか? 」
「シギの森の近くだよ…。今行ったら間違いなく戦闘になると思うけど……それでも行く? 」
…そんなことは決まっている。
「当たり前だ 」




