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月の瞬き  作者: 幸紀涅
22/43

22:違わない。



「…覚えていなくても、……リリスは、リリスのままなんだな…… 」


「…えっ……? 」


「例え俺のこと忘れていても…忘れたままでも……愛してる、リリス 」


そう言い終えると、不意に…だんだん顔が近づいてきて……彼は私にキスをした。とても優しいキス………


って!! 何のん気にそんなこと言ってんの、私!


しかも……この人多分、勘違いしたままだよ!!


「…んっ……… 」


無理矢理に離れて、急いで言う。


「多分……私じゃないですよ! リリ…スさんと私は違いま…… 」


「違わない 」


即答して……彼は、私の前ではじめて笑った。


そしてまた、彼は私の唇を…今度はやや強引に塞いだ。


それでね、その拍子に……私……今まで(現在進行形)、…彼の膝の上に乗っかってること(しかも、彼の腕が腰に巻き付いてて動けないよ…)に気づいてしまったんだ。


必死にもがく私。それをいとも簡単に抑え込んでしまう彼。


それでももがき続けた私の努力の甲斐あってか、彼はゆっくりと離れていった。



「リリスに嫌がられるなんて、初めてだ…… 」


「だから、私は葉月ですって! 」


彼はまた笑った。


「とにかく、私を降ろしてください 」


「俺の言うこと聞くなら話してやってもいいが? 」


この人は今、冗談を言ってるのかそれとも本気なのか…分からないから、怖い。


しかも、その『言うこと』がとんでもないことのようで、怖い。


とりあえず、ここは言い返しておく。


「『言うこと』によります 」


「俺のこと、ルシファーって呼ぶこと 」


なーんだ、たいしたこと、ないや。…よかった。


「そんなことなら、お安いご用です 」


「あと、敬語を止めてくれ。…普通に…普通に話してくれ… 」


そんなことも、朝飯前だよ。


「分かりまし…分かったよ、任せて…えぇっと、ルシファー? 」


「ありがとう 」


そう言って、すんなり膝から降ろしてくれた。ちょっと意外。


『まだ離したくない』とか言うと思ったんだけどな……。



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