22:違わない。
「…覚えていなくても、……リリスは、リリスのままなんだな…… 」
「…えっ……? 」
「例え俺のこと忘れていても…忘れたままでも……愛してる、リリス 」
そう言い終えると、不意に…だんだん顔が近づいてきて……彼は私にキスをした。とても優しいキス………
って!! 何のん気にそんなこと言ってんの、私!
しかも……この人多分、勘違いしたままだよ!!
「…んっ……… 」
無理矢理に離れて、急いで言う。
「多分……私じゃないですよ! リリ…スさんと私は違いま…… 」
「違わない 」
即答して……彼は、私の前ではじめて笑った。
そしてまた、彼は私の唇を…今度はやや強引に塞いだ。
それでね、その拍子に……私……今まで(現在進行形)、…彼の膝の上に乗っかってること(しかも、彼の腕が腰に巻き付いてて動けないよ…)に気づいてしまったんだ。
必死にもがく私。それをいとも簡単に抑え込んでしまう彼。
それでももがき続けた私の努力の甲斐あってか、彼はゆっくりと離れていった。
「リリスに嫌がられるなんて、初めてだ…… 」
「だから、私は葉月ですって! 」
彼はまた笑った。
「とにかく、私を降ろしてください 」
「俺の言うこと聞くなら話してやってもいいが? 」
この人は今、冗談を言ってるのかそれとも本気なのか…分からないから、怖い。
しかも、その『言うこと』がとんでもないことのようで、怖い。
とりあえず、ここは言い返しておく。
「『言うこと』によります 」
「俺のこと、ルシファーって呼ぶこと 」
なーんだ、たいしたこと、ないや。…よかった。
「そんなことなら、お安いご用です 」
「あと、敬語を止めてくれ。…普通に…普通に話してくれ… 」
そんなことも、朝飯前だよ。
「分かりまし…分かったよ、任せて…えぇっと、ルシファー? 」
「ありがとう 」
そう言って、すんなり膝から降ろしてくれた。ちょっと意外。
『まだ離したくない』とか言うと思ったんだけどな……。




