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月の瞬き  作者: 幸紀涅
17/43

17:知らないのに…


葉月サイド◇◆◇



頭がすっごく重い。 私、今まで何してたんだっけ?


夕御飯作ろうと思って…それで…リビングで寝ちゃったのかな…。


でも…久しぶりにファイとの夢を見た…ような気がする。お別れする前のホンの僅かな思い出の夢。



それで……


そう! 今まで信じてきた過去とはまったく違う記憶だったんだよね…。



でも何で急に思い出したんだろう?


……何で、その夢が本当の記憶だと信じれる自分がいるのかな……?


何で違う記憶があったんだろう…………。


うーん…、分からない。


寝ちゃってから…自分ではよく理解できないことが、また増えてしまった。


もともと数え出したらキリがないほどあるんだけどね…。


駄目だ……こういうことは深く考えないでおこう。また頭痛が酷くなるのは嫌だし。



私は拾われた直後からの記憶しかない。


だから、昔は……おじいさんが生きているころは、『自分はいったい誰なのか』とか『どこから来たのか』とかよく考えている時期があった。


そして…考えが深くなるたびに頭が割れそうなほどに痛くなり、結局そういうことを考えることをやめるしかなかった。


まあ今までは『考えないようにすること』つまり『忘れること』によって、上手いこと乗り越えてこられたけどさ……。


こんな私って、やっぱりおかしいのかな…。


あぁ…こんなときにおじいさんがいれば、きっと何か助け船を出してくれるだろうにな…。



………………………。



せっかく大好きなファイとの大切な『記憶』を思い出したというのに、1人でに気持ちが沈み込んでしまった、そんな時だった。



メキメキ、メキ……―――…バリン!!!



ピカピカに綺麗にされている窓ガラスが、一瞬のうちに豪快に…すべて割れた。



その先には、一人の青年が立っていた。


私を穴が開いてしまうんじゃないかってほど見ている。


それに表情はかなり焦っている……いや…驚いているのかな…そんな感じ。



急な出来事にかなり驚いた私は逃げようと思うも、腰が抜けたのかな…どうしても体が動かない。



ここから逃げなきゃ!!


そう私は思うのに、心の奥底では青年の存在に…何故か『安心』してしまっている。



「リリス!!!会いたかった……。もう、一生…会えな…… 」


最後の方はあまり聞こえなかったが、そんな風なことを口にして、青年は私の方に走り寄ってきた。


「リリス、リリス―――――………… 」


何度もそう言いながら(誰かの名前かな…?)、彼は腰が抜けて地面に座り込んでいる私を思いっきり抱きしめた。



分からない。この人はいったい誰なの?



知らないよ、私、こんな人……。でも………なんだか、とても――――…




とても悲しくて、苦しくて、そして何より嬉しい感じがするのはどうしてかな…?



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