表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月の瞬き  作者: 幸紀涅
16/43

16:離れていても



よほどビックリしたのか、瞬きを繰り返す葉月。その頬にそっと手を添える。


「だから葉月…それまで待っていてくれるよな? 」


だが、僕の声を聞くとたちまちいつもの笑顔になった。


「うん!私、ずっと、待ってる。待ってる、から 」


「よかった。それを聞いて安心した。それじゃあ…僕はもう行く。また、一緒に話したり散歩したりしような…… 」


「うん。……あのね…ファイ、笑って。私、ファイの、笑った、顔、大好き 」


「わかった。ありがとう、葉月 」


そう言い終わると、『虹の鳥』がガラム王国へ帰るための道を作り出していた。


そちらの方を向く。……ついにこの時が来てしまった。


葉月を迎えに来るとしても、何年後になるか分からない。


この別れが最後になるかもしれない。…でも絶対に死なないし、死なせない。


今後…きっと『葉月』という存在が僕を励まし続けてくれるだろう。


そして…今度会えた時はもう絶対に葉月を離さない。ずっと傍にいる。


だからそれまでの辛抱だ。それまでの………そう心に言い聞かせる。


振り向いて葉月に何か言おうと思ったのだが、今振り向いたら絶対前に進めない。


そのまま、僕はその道へと足を進めた。





カインサイド◇◆◇



『虹の鳥』も元の世界に戻そうと思って操ろうとしたその瞬間、何者かの妨害を受け、たちまちにして制御不能になった。


『虹の鳥』の目は使えるようなので、とりあえずあちらの様子を見てみる。


すると、『虹の鳥』が作り出した道から見知らぬ女の人が出てきた。


女…は別れが辛くて泣いている葉月ちゃんの方へ向って歩いてくる。


それに気付き、その異様ともいえる殺気に驚いた葉月ちゃんは、逃げようするが体が動かないようだった。


「リリス、……もう会うことはないと思っていたのに…」


そう言って女は葉月ちゃんの額に手を当てる。


その額に触れられた手が一瞬、閃光の如く光り輝いた。


そして光が消えたとき、葉月ちゃんは地面に倒れこんでいた。


「監視をつけておいて正解だったわ。………リリス、あなたはすべて忘れなければならないのよ…ごめんね」


その女は、その『道』の中へと姿を消した。



とまあ、ファイと葉月さんの別れの後には、こんなことがあったんだ。ビックリだよね。


しかも、あの魔法は記憶をいじる魔法なんだ……。


でもこのことは、もしファイが心配して『葉月に会いに行く』なんて言われたら困るので、言わないでおくことにした。




そんなこんなであれから10年という月日が流れた。


いま思い出せば10年の間も、色々あったなぁ……。


葉月ちゃんの話を何時間も延々と聞かされたり……。


僕が葉月「ちゃん」て言うのが気にくわないってファイに怒られて、葉月『さん』って呼ばされるようになったり……。


耐えに耐えかねて、ストレスが爆発寸前になり、こっそり葉月さんに会いに行こうとするファイを必死で止めたり……。



本当に長かった……。でもファイはこの10年で見事に国を再建したよ。



だからだろうね。『もう直、葉月を迎えに行く』ってファイが言ったんだ。


そこで!! お先に僕は葉月ちゃん……じゃなくて…葉月さん……もう! めんどくさい。


葉月ちゃんにかけられた魔法を解きにいってあげようと思ってこちらの世界へ飛んできた。



そして見事、『いじられた記憶をファイと再会する前にもと通り作戦』大成功!まっ、当然だけどね。


それで葉月ちゃんは今、記憶を引き出すのにかなりの体力を奪われたのか、その場で寝ちゃってる。


僕はこの隙に、葉月ちゃんが『僕と会った』っていう記憶をちょいちょいっと消して、


「また、今度ね」


そう言って、その場から姿を消した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ