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月の瞬き  作者: 幸紀涅
14/43

14:僕だけの、



ファイサイド◇◆◇



『僕も葉月とずっと一緒にいたい』という気持ちを込めてその体にそっと腕を回した。


思う。


この子には、真実を話そう、と。……すべて話そう、と。





僕はゆっくり話し始める。


「葉月、異世界というのは分かるか? 」


「異、世界? 」


少し戸惑っているのが感じ取れた。


『異世界』の意味はまだ知らないようだったので、分かりやすいように言い直す。


「そう。ここにはない世界 」


「ここには、ない、世界……。うん、分かる。分かる、よ 」


「僕はそこからここへ来た 」


「ファイは、そこから、来た。ファイは、私の、知らない、ところから、来たんだね 」


「そうだ。それじゃあ、王子というのは分かるか? 」


「うん!王子様、私が、読んだ本に、でてくるよ 」


「信じてもらえないかもしれないが… 」


言葉に詰まってしまった。



すべてを話すつもり…だが、葉月が信じてくれなかったらどうすればいい? 



もし立場が逆だったら……。僕が知りあって間もない他人に『異世界から来た』と言われたら……。


おそらく信じることができないだろう。


自分が異世界に移動できる手段を知っていたとしても、だ。


僕は他人を何の疑いもなく信じれるような…そんな心が澄んだ人間ではないからな……。



…いろんな不安が渦巻いて言葉が出てこない。


すると、葉月が抱きついていたその手を離して、僕の目を見た。


そしてまるで僕の心の内を聞いていたかのように話し始めた。


「葉月ね…ファイの、言うことは、みーんな、信じるよ。だから、何でも、お話して? 」


衝撃的だった。


今し方、葉月が信じてくれないかもしれない、と思った自分が堪らなく嫌になった。


この子は……葉月は、本当に心が…存在が澄んでいるのだな。



「ありがとう。僕は………僕は葉月の知らない世界の王子だ 」


「すごい!ファイ、王子様、だったんだ、ね 」


「そこで……なのだが… 」


「なぁに? 」


ん?と首をかしげる葉月、不意にそれが可愛すぎて、愛しすぎて。


今まで17年間生きてきて、こんな感情が湧きあがってきたことはない。


この子を僕だけのものにしたい。この子の視線を僕だけのものにしたい。



今度は僕から抱きついた。


「葉月はお姫様になりたいか? 」


「お姫、様…?うん、なりたい! 」


ぎゅっと、抱きしめる力を強くする。


「僕は葉月に…だな、その……僕のお姫様になってほしい 」



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