第9話:以上、新国家設立のご報告です
玉座の間を埋め尽くすラングハイム大公軍。
その中心で、父は未だに信じられないという顔で
私とセバスチャンを交互に見ていた。
「……エリス。
清算が完了したというのは分かったが、この国はどうなる?
それに、セバスチャン。お前、私の依頼を超えすぎてはいないか?」
父は、困惑しながらセバスチャンを問い詰める。
「私は多額の報酬を払い、あの『オーバークロック社』から、
お前を雇ったが。……依頼は『娘を保護し、機を見て救出すること』
だったはずだぞ?」
「何だって!?」
「あのオーバークロックか?」
会場がざわめいた。
オーバークロック。
国家の興亡を裏で操り、金融と魔導インフラを掌握していると言われる、
正体不明の巨大資本だ。
セバスチャンは、完璧な角度で一礼した。
「左様でございます、大公閣下。
当初の契約は、お嬢様の『保護』でした」
セバスチャンの瞳が、冷徹な青い光を宿す。
「ですが――お嬢様と出会って三ヶ月。
このお方は、我が社の理念を体現する、
史上最高の演算機であると悟ったのです。」
「……な、なんだと?」
「ゆえに、私は独断で社内評価を書き換えました。
お嬢様は、我が社の『最高執行責任者(CEO)』へと昇格されました」
私は父に言った。
「お父様がセバスチャンを雇うために支払った多額の報酬……。
それは、世界で最もリターンの大きい『投資』となりましたわね」
次のスライドは、ブルーム王国の紋章が書き換えられ、
オーバークロック社のロゴが刻まれる映像が流れた。
**【新国家「オーバークロック公国」建国宣言】**
●最高執行責任者(CEO):エリス・ラングハイム
●筆頭株主:ラングハイム大公(※ただし議決権はCEOが掌握)
「本日をもって、この地は、オーバークロック社の
『完全子会社』として再出発します」
「お、お前……人質生活の七年で
この国を乗っ取ったというのか……?」
「乗っ取った? いえ、お父様。
私が提供した『魔導演算アルゴリズム』によって、
会社の利益が七年間で4,800%増を記録しただけですわ。」
私は、拘束された元王族たちを冷たく見下ろした。
ここからが、新しい時代の幕開けだ。
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本日、第9話まで投稿します。
明日は最終話まで投稿します。
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