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婚約破棄?ありがとうございます。7年かけて、この国を買収しました――数字は嘘をつきません  作者: ☆もも☆


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8/12

第8話:愛のデフレですわね

ブルーム王宮の城門を破り、

ラングハイム大公軍が雪崩れ込んできた。


「エリス! 今助けに行くぞ!」


血相を変えて玉座の間に踏み込んだ父が目にしたのは

――硝煙ではなく、優雅に漂うアールグレイの香りだった。


「……エリス? 無事なのか?」


「あら、お父様。少々お早い到着ですね。もうしばらくお待ちを。」


父の顔が、安堵から深い困惑へと変わる。

その視線の先では、巨大なスライドが冷酷な真実を映し出していた。


ルカス元王子は、セバスチャンの管理下で

うつろな目をして、スライドを見ている。


**【元王子・ルカス氏:個人破産および債務超過の現状報告】**


※注釈:『殿下』から『氏』への敬称変更は、

婚約破棄確定後、本日18時32分付で執行済みです。


「な、なんだこれは……。僕が、破産……? 王族の私が……ッ!」


「ええ。ルカス氏がこの七年間に『公金』だと思って

湯水のように使った遊興費……。

すべて、私個人からの『短期融資』でしたの。」


私は、絶望に震える「氏」を見下ろした。


「婚約が破棄された以上、猶予期間は終了です。

全額、利子を付けて即時返済していただきますわ」


**【七年間の立替・補填総額:最終確定】**

・国家財政の赤字補填:3,842,000G

・従業員への未払い給与:278,000G

・王宮インフラ維持費:194,000G

・ルカス氏の個人的な遊び金:89,000G

------------------------------------

**合計:4,440,000G(※時価換算済み)**


> ※ルカス氏の遊興費89,000Gの内訳は、

別添資料D『王子の散財記録(全73ページ)』をご参照ください。

一行の例外もなく、証拠写真と領収書付きです。


「この王宮も、

貴方が着ているその服も、法的にはすでに私の所有物です。」


「そんなもの無効だ!王族に借金など成立するはずが——」


「王族特権の担保条項、第12項。ご自身で署名されていますわ」


王子から、完全に力が抜けた。

怒鳴る権利も、命じる権利も、椅子に対する権利さえも

――数字の刃がすべてを削ぎ落としたのだ。


そこへ、隣国の令嬢が金切り声を上げて詰め寄ってきた。


「そ、そんなの嘘よ!

ルカス様、私に『愛してる、一生幸せにする』と

言ってくださったわよね!?」


すがりつく令嬢を、王子は力なく突き放す。


「愛という資産は、純資産がゼロになった時点で暴落するもの。

いわゆる、愛のデフレですわね。」


「あ、愛のデフレ……っ!?」

令嬢は力なく床に倒れ込んだ。


「お父様、お待たせいたしました。……清算、完了です。」


父はしばらく言葉を失っていたが

やがて、静かに私の肩に黙って手を置いた。


紅茶はまだ、温かな湯気を立てていた。

――すべては、予定通り。誤差は、0.3%未満。


ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、第9話まで投稿します。


明日は最終話まで投稿します。

最後まで楽しんで頂けると嬉しいです☆

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