第7話:王家の現金、パン数個分のお知らせ
王宮の重厚な扉が、地響きを立てて開いた。
「ええい、控えよ! この無礼者どもがッ!」
現れたのは、ブルーム王国の現国王、バルトロメウス。
贅を尽くした真っ赤なマントを翻し、
怒りに顔を真っ赤にして大股で歩いてくる。
国王はルカス王子を一瞥もせず
私を睨みつけた。
「エリス・ラングハイム!
人質の分際で、我が国を乗っ取ろうなどと……。
騎士団! この女を直ちに捕縛し、極刑に処せ!」
だが、剣を抜こうとした騎士たちの手は、
ピタリと止まっていた。
彼らの視線は、王ではなく、
手元の「魔導端末」に釘付けだ。
「……どうした!?衛兵!王都封鎖だ!この女を国外に出すな!」
「無駄ですわ、陛下。彼らの給与支払システム、
たった今『差押え口座』から切り離されました」
私は、優雅に扇を広げて告げた。
「今の彼らの雇い主は、ブルーム王家ではなく、私です。」
「な……な、何を……」
「セバスチャン、スライド第7枚目。
**『債権者集会:王室資産の清算について』**」
壁に投影されたのは、王家の「負債のピラミッド」だった。
**【ブルーム王家:負債総額】**
●対外債務(他国への借金):1,200,000G
●国内債務(インフラ維持費):850,000G
●未払い給与・年金:300,000G
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**合計:2,350,000G**
※注釈:現在の王家の保有現金は、12G。
パン数個分です。
「……12Gだと!? 王家の宝物庫には金銀財宝が……!」
「すべて私の会社が『担保』として押さえました。
陛下、今日まで、自分の財布の中身も知らずに
贅沢を謳歌していたというわけですね。」
私は一歩、愕然とする国王へと歩み寄った。
「この国の国債、その80%を保有しているのは私です。
……つまり、私が『返せ』と言えば、この国は今すぐ更地になります」
「き、貴様……。人質の少女一人が、どうやってこれほどの財を……!」
「人質だったからですよ」
私は、視線を逸らさずに答えた。
「誰も来ない場所は、ノイズが少ないのです。
貴方たちが浪費に明け暮れている間、
私は一秒も休まず『計算』を続けていただけですわ。」
私は、王座のすぐ側にある「王冠」を指さした。
「王室資産担保契約第3条に基づき
—そちらの王冠も、今日からは私の私有物です。
陛下、いえ……バルトロメウス氏。
貴方には、素晴らしいセカンドキャリアをご用意しました」
スライドが切り替わり、国王の顔が絶望に染まる。
**【元国王:再就職先のご案内】**
●職種:広報担当
●業務内容:かつての悪政を懺悔する全国ツアー。
各地で300年ずつの強制労働。
●報酬:歩合制
「では、清算を開始します」
「――そのマントから。担保資産として回収しますわ。」
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本日、第7話まで投稿します。
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