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婚約破棄?ありがとうございます。7年かけて、この国を買収しました――数字は嘘をつきません  作者: ☆もも☆


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第2話: 七年間の仕込み

ブルーム王宮の北の隅。

ーー七年前。


人質の私に与えられたのは、

カビ臭い空気と埃が舞う、忘れ去られた離宮だった。


王子は「人質の分際で贅沢な部屋を使いやがって」と

吐き捨てて去っていった。


……バカね。


私にとっては、ここが最高の「研究室ラボ」になる。


誰も来ない。誰も見ていない。

これほど工作に都合のいい環境はない。


「お嬢様。本日の講義は

『国家予算の流用と隠蔽魔法の相関関係』です」


専属執事のセバスチャンが差し出したのは、教科書ではない。


王宮の宝物庫から密かに「抜いて」きた、極秘の帳簿データだ。


「……セバスチャン、これどうしたの?」


「企業秘密でございます」


「……そう」

この男の裏側に踏み込むのは、三ヶ月でやめた。


空中に浮かぶ、膨大な数字の羅列。


普通の十歳なら、興味がないだろう。

でも私は違う。


数字を見た瞬間、思考が加速する。


私にとって、数字はパズルだ。

歪んだピースを見つけて、正しい形に戻すだけ。


お人形で遊ぶより、ずっと面白い。


「……ねえ、セバスチャン。

この第三騎士団の予算、おかしいわ」


「ほう、どのあたりが」


「予備費の三割が名目不明の魔法触媒。でも装備は型落ち。

……このお金、どこに消えたと思う?」


私は一点を指さした。


「ここ。王子の側近が遊興費に洗浄して回してる。

隠し方が雑すぎるわ」


少し考えて、付け加える。


「私なら、もっと複雑な多重構造に埋めるのに」


犯罪を勧めているわけじゃない。

ただの感想だ。


やるなら、もっと上手くやるべきだと思ったまでだ。


「……お嬢様」


振り返ると、セバスチャンの表情が変わっていた。


いつもの執事ではない。

値踏みする“プロ”の顔になっている。


「到着から一ヶ月で、ここまで見抜くとは。」


「難しくないわ。」


「……なるほど」


セバスチャンの目が光った。

「予定を変更します」


「お嬢様。貴女は“原石”ではない。

既に完成された『計算機』です。」


「……何が言いたいの?」


「我が社は貴女を、再定義しなければならないようです。」


そして、静かに告げた。


「貴女に、この国を『倒産』させるための、

最高執行責任者になっていただきます。」


「悪くないわね」

私は少しだけ笑った。


「面白そう」


セバスチャンは、深く一礼した。


(後から聞いた話だが、

この判断は後に『社内最高の投資案件』

と呼ばれることになる。……私は資産扱いなのかしら)


そこから、涙など流している暇もない

地獄のような日々が始まった。


昼は、王子のいじめを受け流す。


「犬は地面でも舐めてろ」と泥水をかけられても

私は、ただ頭を下げた。


(……水分量、約200ml。冬季の体温低下リスク、軽微。

感情はリソースの無駄。その分、資産の削り方を考える)


ちなみに、水をかけられた回数は38回。


「のろま」だの「無能」だのと言われたのは

1000回以上だ。


すべて記録済み。

明日、請求書にして提出する予定。


夜は、セバスチャンと共に王宮の魔法インフラへ干渉する。

誰も気づかない場所に、少しずつ、確実に。


冬の夜。

凍える部屋で、私は誓った。


七年後。

この国を、必ず清算する。


あの王子の嘲笑も、侮辱も。

全部まとめて、利子をつけて回収する。


明日がその回収日だ。




ご覧頂き、ありがとうございますm(_ _)m

本日、第3話まで投稿します。


楽しんで頂けると嬉しいです☆

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