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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第14石_ダイヤモンド

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第85話_家に帰ってきた

 イロハ様の声がきえて、眠りから目を覚ましたみたい。見覚えのある景色が目に入ってきて、見慣れた場所はいつも寝起きしている寝室だった。


 まだ頭が働かないので天井を見ていると、頬に暖かいものが触ってくる。忘れるはずもない、なじみのある感触はプレシャスだった。


「ずっと付き添ってくれたのね」


 頭を傾けて声をかける。


「無事戻られてよかったです。気を失ったときは大変でした」


「もう大丈夫よ。迷惑をかけてごめんね。イロハお姉様にも心配された」


 プレシャスをやさしく撫でると、私が心配なのか私の近くから離れようとしなかった。しばらくはベッドの上で、プレシャスと一緒に和んでいた。


 しずかに扉の開く音が聞こえて、ゆっくりとした足音が近づいてくる。視線を向けると入ってきたのはメイティリスだった。


「アイが起きているの。もう平気なの?」


 メイティリスの表情は不安そうだった。よほど心配をかけたのか、少しやつれているようにもみえた。


「心配をかけてごめんね。ちょっと疲れて寝ていただけよ」


 まだいつも通りの体調ではないけれど、意識的に声を出して元気を装った。


 メイティリスが駆け寄ってきて、近づくと私の手を握った。声をかけようと思ったけれども、メイティリスの顔を見て止めた。メイティリスの瞳から大粒の涙がこぼれ落ちていた。


 言葉を交わさなくても分かった。涙が止まらないくらいに私を心配してくれた。今は無事みたいだけれど、メイティリス自身も命に危険がある状態だったはず。


 私も涙を止めることができなくて、メイティリスと一緒に泣いた。プレシャスは私の横で私たちを見守ってくれた。


 涙が涸れ果ててメイティリスも落ち着いてきたので、体を起こして声をかける。


「気を失う前にメイティリスの姿が見えたけれど、白魔道士や神官が間に合ったみたいね。メイティリスの無事な姿が見られて安心したら、体の力が抜けたのよ。それよりもメイティリスは大丈夫だった?」


 今は平気な顔をしているけれど、当時を思い出すと猶予がなかったと思えた。


「アイの魔法で助かったの。光の壁に包まれると傷口が治って魔力も回復したの。ワタシの魔法でも治せたかは不明なほどの傷だったかな。アイの魔法はすごいの」


 まくしたてるようにメイティリスが話す。それほどまでに驚いたみたいで、私自身が想定している以上の効果が発揮できたみたい。結晶エメラルドは威力がすごそうだから、慎重に使う必要がありそうね。


「私が魔法をかける前に、白魔道士の人たちが回復を頑張ってくれたおかげよ。魔力回復は私も予想外だったけれど、メイティリスが早めに回復できてよかった。上位魔物が最後に弱まったのはメイティリスの魔法?」


 私の魔法が止まっている間にも、上位魔物が弱っていたように思えたので気になって聞いてみた。


「魔力が回復したから使えたの。上位魔物が消滅できてよかった。街の人たちも喜んでいたけれど、アイが倒れたと知ったときは目の前が真っ暗になったの。ワタシの魔法ではアイを回復させられなかったの」


 悲しそうな表情をしていて、私を治せなくて悔しかったのかもしれない。本物のアイ様がいる場所へ行っていたからと思うけれど、メイティリスには正直に話せないのがつらかった。そのかわりにメイティリスをそっと抱きしめた。


「もう大丈夫だから安心してね」


「最初はアイがイロハ様だと思ったけれど、今のアイはアイで特別なの。もう悲しむのは嫌だから離れたくない。本当に無事でよかったの」


 抱きしめた場所からメイティリスの温かさが伝わってきた。


「私もメイティリスは特別で、メイティリスに出会えてよかったよ」


 感謝の気持ちもふくめて答えた。


「元気が出たら神殿に顔を出してほしいの。アイのおかげで上位魔物が消滅できたから、正式な場所でお礼がしたいの」


「上位魔物だけれど、メイティリスが頑張ったから消滅できたと思う。私は少し手伝っただけで、それにあまり目立ちたくないのよ」


 上位魔物を消滅させる魔法をもっているとわかれば、神殿や王族が私を放っておくとは思えない。今の生活で満足しているから充分だった。


「でも国から褒美をもらえる活躍なの。ワタシ自身もアイに恩返しがしたい」


「気持ちはうれしいけれど、今回は私のわがままを通してほしい」


 私が意思を変えないとわかったので、メイティリスの表情はさびしそうだった。すこしだけ黙っていたメイティリスが口を開く。


「一度タイタリッカとミリーシャに相談したいの。それでも構わない?」


「なるべく考慮してくれるとうれしいけれど、可能な範囲で平気よ」


 イロハ様の世界を楽しむには、自由に動ける立場でいたかった。私が上位魔物を消滅させたとなれば、今の生活は成り立たなくなると思う。7色オパールで魔物消滅ができないと話しても、聞く耳をもたないとも思った。


「できるだけアイの希望を話してみるの。でもアイと話していると、イロハ様を思い出すの。今もイロハ様の気配を少し感じるけれど、アイが誰でも構わない。でも本当にアイはイロハ様ではないの?」


 メイティリスが私の顔を覗き込む。


 今まではイロハ様との関係を説明できなかったけれど、メイティリスに話せるときがきた。イロハ様も快く引き受けてくれたから、メイティリスの誤解も解ける。私のわがままになるけれど、ひとつだけ条件をつけることにした。


「上位魔物の消滅に私が関与していた事実を表に出さないという、私の願いを叶えてくれれば、メイティリスに私の秘密を教えられるよ。もちろん私からイロハ様を感じる理由も分かるはず」


「アイ様、平気なのですか」


 今まで黙っていたプレシャスが心配そうに聞いてくる。


「許可はもらったから大丈夫よ。メイティリスはどうする?」


 プレシャスへ答えてから、視線をメイティリスへ向ける。


「タイタリッカとミリーシャはアタシが説得するの。アイの秘密を知りたい」


 強い気持ちに思えたので、きっと私の条件を満たしてくれると思う。その間にイロハ様を呼ぶ魔法を考えておく必要がありそう。


「少し休んでから庭で秘密を教えるけれど、それで構わない?」


「タイタリッカとミリーシャも一緒に聞いて大丈夫かな」


 こちらを伺うように聞いてきた。


「私の秘密を守れるのなら平気よ」


「信頼しているふたりなの。約束を守るようにワタシから言っておく」


 メイティリスは力強く答えて、タイタリッカさんとミリーシャさんを説得するために寝室を出て行った。

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