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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第13石_アンバー

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第82話_上位魔物と対決

 プレシャスと一緒に天幕を出て、巨大化したプレシャスの背中に乗った。


「地面は逃げにくいから上空で戦いたい。上位魔物の攻撃を避けられて、一番近づく位置までお願い」


「上位魔物の攻撃からアイ様を守れる範囲内で飛びますので、アイ様は魔法で気を失わないように注意してください」


 プレシャスが垂直に飛んでいくと天幕が小さくなった。


「無茶はしないけれど限界までは頑張るつもりよ。私自身の疲労も回復しておきたいから、魔法効果が消えて元に戻るまでは上空で待機していてね。結晶エメラルド」


 光の壁が私を覆うと清々しい気持ちになっていく。気力も体力も沸いてきて、これなら何度でも7色オパールを唱えられそう。


 しばらくすると私を包んでいた光の壁が消えた。準備が整ったことを知らせるためにプレシャスの背中をなでると、プレシャスが上位魔物へ向かって突き進んだ。


「私が攻撃すれば、上位魔物は私を攻撃相手に考えると思う。メイティリスたちが巻き込まれないように逆方向で戦いたいから、プレシャスは位置取りをお願い。矢車サファイア」


 気休めは分かっているけれど、魔法による丸盾を装備した。


「旋回して反対方向へ行きますので、攻撃手段はアイ様のやりやすい方法で魔法を使ってください」


 プレシャスが不規則な軌道で上位魔物を迂回していく。激しい動きだったけれども落ちる気配はなかったので、これなら安心して魔法を唱えられる。


 上位魔物が相手なので、狙いを定めながら最大威力を想像する。


「紅球ルビー、涼球アクア」


 使える最強の攻撃魔法を唱えた。それぞれの基本ルースが出現して、真っ赤な塊と水の渦が並んで飛んでいく。的が大きいので上位魔物に命中したけれど、豆粒があたった感じで上位魔物は平然としていた。


 やっぱり7色オパール以外ではむりみたい。


「反対側に来ましたので被害は抑えられると思います。上位魔物の物理攻撃は全て避けますので安心してください」


 懸案事項はなくなったので、あとは私の魔法が何処まで通用するかになる。最低でもメイティリスが回復するまで、上位魔物を足止めしたい。


「回避はプレシャスに任せたから、私は魔法に集中する。7色オパール」


 基本ルースが出現して7色の光がらせんを描いて、上位魔物の上空まで飛んで花火のようにあざやかに飛び散った。上位魔物に虹色のオーロラが降り注ぐ。


 上位魔物のうめき声とも思える咆哮が周囲に響いた。地上にいる人間と魔物も動きを止めてしまって、それほどまでに異様なうめき声だった。


「予想以上に7色オパールが効いている」


 宝石魔法の威力がすごかったのか、今までこちらを見向きもしなかった上位魔物が初めて私たちのほうを向いた。私たちを認識すると、上位魔物は右手で体の一部をちぎってこちらへ投げてきた。


 異様な物体の接近に思わず盾を構えたけれど、プレシャスがすぐに下降したので破片は上空を通り過ぎた。


「さすがに迫力があったけれど、プレシャスがいるから安心している」


「アイ様はわたしが守ります」


 プレシャスの言葉を聞いて攻撃へ専念できる。


 7色オパールを唱えたので、胸元に手を当てたけれどペンダントから熱はほとんど感じられない。この調子なら上位魔物に有効な攻撃ができそう。


「体に違和感はないから続けて魔法を唱えるね。7色オパール」


 出現している基本ルースから再び7色の光が飛び出した。上空なら誰もいないから心の中で3回連続で魔法を唱えて、3発が連なって7色の光が降り注ぐ。夜に見ればきれいな花火となるけれど、今は上位魔物を苦しめる光だった。


「上位魔物の表面が剥がれているみたい。弱まっていると思う?」


 どの程度の効果があるのか不明だったので、詳しそうなプレシャスへ聞く。


「聖女が使う魔物弱体化よりも効果はありますが、消滅させる程ではありません。それよりもアイ様は大丈夫ですか」


 胸元に手を当てると熱さを感じ始めたけれど、まだ意識ははっきりしている。


「意識に異変は感じないから大丈夫よ」


 前回は魔法を唱えたあとに意識が遠のいたから、一度に何連続も唱えると危険があるかもしれない。3回連続で唱えてから次の3回を連続で唱えるように、無限に連続で唱えるのは控えた。


 狙いを定めているので、唱えた魔法はすべて上位魔物に命中した。怒りをあらわにしている上位魔物は、体の一部をちぎって投げつけるけれどプレシャスがすべて避けてくれた。


「気のせいかも知れないけれど、上位魔物が透明になっていくみたい」


 的としている上位魔物の状況変化に気づいた。


「消滅に向かっている証拠です。倒して消滅させられれば魔石のみが残ります」


 どうやら7色オパールは上位魔物にとって天敵かもしれない。


「戦法としては合っているみたいだから、あとは私の努力次第ね」


 ペンダントの熱さが増してきて徹夜明けのように意識が鈍ってきたけれど、魔法を止めるつもりはない。


 上位魔物の後方に目を見据えると、地上では人間と魔物が戦いを始めていた。いまは一進一退の攻防を繰り返しているけれど、私が上位魔物を倒せば人間が優位に立てるはず。


 3回連続を心掛けながら7色オパールの魔法を唱える。


 急に視界が狭くなってきて、周囲の音も小さくなった。それでも視線は上位魔物を見据えて何度も魔法を唱え続けた。


「アイ様、アイ様、大丈夫ですか」


 プレシャスの声で視界が広がった。


「少し疲れているけれど私は平気よ。上位魔物も透明感が増してきたから、この調子で上位魔物を消滅させる」


 胸元が熱くなって、集中しないと意識が薄らいでいく。


「アイ様の体が揺らいでいます。今すぐ魔法を止めるべきです」


 プレシャスの口調は今までになく強かった。でも私が休むわけにはいかないと気持ちを奮い起こすけれど、気持ちに反して心の中で唱えるのも辛くなってきた。いつの間にか7色の光は単発になっていた。


 睡魔が襲ってきて、周囲の動きが遅くなった。


 魔法を唱えたいけれど呪文を思い出せない。


 胸元が熱くなって眠りを誘っているようだった。


「――、起きてください。上位魔物の透明化が進んでいます」


 わずかだけれど眠っていたみたいで、プレシャスの声で目を覚ました。


 完全に魔法が止まってしまったので、上位魔物に視線を向けた。理由は不明だけれど透明感が増している。


「ちょっとだけ休憩しただけよ。もう少しで上位魔物を倒せる。7色オパール、7色オパール、7色オパール」


 心の中で唱えるとプレシャスに心配をかけそうだから、意図的に声に出して魔法を唱えた。向こう側が見えるほどに上位魔物が透明になってきたので、もう少しで消滅させられる。


「7色オパール、7色オパール、7色オパール」


 最後の力を振り絞って魔法を唱えると7色の光が上位魔物に降り注いで、上位魔物から淡い光が飛び散った。


 霧が晴れるように光が収まると上位魔物の姿が消えていて、代わりに白い魔石のみが姿を見せた。プレシャスが魔石に向かって飛んで、落ちている魔石が吸い込まれるように手の中へ収まった。蜜柑くらいの大きさがある魔石だった。


「上位魔物は消えたのよね」


 確認のためにプレシャスへ聞く。


「上位魔物の気配は完全に消滅しましたので、上位魔物は倒されました。アイ様の宝石魔法は本当にすごいです」


「プレシャスが助けてくれたおかげよ」


 メイティリスの状態が気になったので、プレシャスにお願いして天幕へ向かって飛んでもらった。


 目を凝らすと少女が天幕の外に出ていて、私に向かって手を振っている。少女はメイティリスで無事に回復できたみたい。自然と涙があふれてきた。


 私もメイティリスへ手を振ろうとしたけれども、体に力が入らなかった。熱いのか寒いのかも分からなくなって、意識が遠のくのが分かった。

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