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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第13石_アンバー

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第78話_上位魔物の接近

 今日も朝からプレシャスと一緒にハンターギルドに向かう。上位魔物の影響で、しばらくの間は毎日来るように言われていたからで、上位魔物の噂を聞いているからか街中を歩くと慌ただしさを感じた。


 ハンターギルドの扉を開けるとリリスールさんを見かけた。マイリンさんと話し込んでいるけれどその表情は真剣そのものだった。受付に向かうと、リリスールさんが私に気づいたみたいで手を振ってくれた。


「ごめんね、アイちゃん。今日のパーティーは中止だよ」


 申し訳なさそうに話すリリスールさんだった。


「険しい表情だったけれど、何かあったの?」


 気になって聞いてみた。


「上位魔物さ。このまま進むとリガーネッタも無事では済まなくて、さらに今は中位魔物も驚異の対象だよ。上位魔物の影響で、多くの中位魔物がリガーネッタに近づいて来ているのさ」


「住民には避難準備の指示がでています」


 マイリンさんの説明から街中で慌ただしく感じた理由は、避難するために動いている人たちだったのね。


「街の人がいなくなるの?」


 上位魔物が来れば莫大な被害になると簡単に想像できる。数は少ないけれど、買い物などでこの街にも知り合いができたので、ほかの街へ避難するなどの詳細を知りたかった。


「まだ避難指示はでていませんが、上位魔物が来れば街を捨てる覚悟は必要です。中位魔物も危険な存在ですので、中級ハンター以上で中級魔物の討伐隊を作ります。アイさんにはまだ危険ですので街での待機になります」


「上位魔物は徒歩で1日の距離に近づいてきたようだよ。上位魔物の歩みは遅いらしいから、直線に来ても3日後と聞いているさ」


 リリスールさんが補足してくれた内容で、私が思った以上に上位魔物が近づいているみたい。ハンターを限定するほどに中位魔物が多いはずだから、パーティーや混戦に慣れていない私だと足手まといになる。


「家か街中で待機するけれどメイティリスが心配よ。上位魔物がこの街まで来る可能性があるのなら、上位魔物の消滅にはもう少し時間がかかるということよね」


「大聖女様なら護衛も多いからきっと大丈夫さ。大聖女様で思い出したけれど、アイちゃんに頼み事があるよ。神殿に行ってくれないかい。怪我人が増える可能性もあるから、アイちゃんの回復魔法があれば助かるはずさ」


 リリスールさんは魔物の増加による怪我人も心配しているみたいで、中位魔物が彷徨き出せば大変になると私も感じた。


「私も力になりたいから、今日は神殿に行ってくる」


 イロハ様の世界を楽しむには荒れた土地や怪我人は見たくないし、怪我人を見捨てることもできない。


 リリスールさんとマイリンさんに見送られて、プレシャスと一緒にハンターギルドから神殿へ向かった。神殿へ行く途中の街中では、注意深くみるとハンターや警備隊の姿が多かった。


「上位魔物の気配は感じる?」


 徒歩で1日の距離と聞いたので状況を知りたかった。


「まだわたしには認識できませんが、どのような上位魔物が来てもアイ様はわたしが守りますので安心してください」


「プレシャスでもこの距離だと分からないのね。私にはプレシャスがいれば安心だけれど、早く上位魔物には消滅してほしい」


 プレシャスと話しているうちに神殿へ到着すると、街中と同じく神殿内も慌ただしく感じた。


「神殿もいつもよりも人が多そうね。私に何が出来るかわからないけれど、まずは知っているタラーキンさんを探すね」


 近くにいた神官へタラーキンさんの居場所を訪ねてみたら、神殿でメイティリスに踊りを見せた影響かもしれないけれど、ていねいな対応をしてもらえた。わざわざタラーキンさんを呼んできてくれた。


「先日の踊りも見事と聞きました。ワタシに何かご用でしょうか」


 タラーキンさんが聞いてくる。


「街周辺の魔物討伐は中級ハンター以上が対象となって、私は見習いハンターだから街に残っているのよ。でも宝石魔法を使えば回復もできるから、何か手伝いないかと思って神殿へ来てみたのよ」


 神殿へ来た理由をタラーキンさんへ説明した。


「異国の魔法は回復もできるのですか」


「私が使う宝石魔法は少し特殊で、回復魔法以外にも攻撃や防御魔法も使えるよ」


 タラーキンさんはおどろいた表情をしていた。普通は一般魔法と神聖魔法の両方が使える人は存在しないから、特殊に映ってもしかたなかった。


「怪我人はまだ少ないですが、心配で神殿に来ている住人が多くなりました。見習い神官だけでは対応に限度がありますので、手伝って頂けますか」


「もちろん平気よ」


 タラーキンさんに連れられて移動すると、案内された場所は大きな部屋だった。初めて神殿へ来たときに案内された記憶があり、イロハ様に日頃の感謝を述べる場所で前方にイロハ様が祭られている。


 部屋の中には子供や老人が多くて、イロハ様にお祈りしている人もいる。タラーキンさんが神殿の制服を着たひとりの女性に近づいて、私とプレシャスはタラーキンさんのうしろに控えた。


「こちらの神官がまとめ役ですので、彼女の手助けをしてください」


 タラーキンさんが女性の神官と私を交互に紹介してくれて、私は住人に声をかけて困りごとを聞く手伝いとなった。


「人手が足りていませんでしたので感謝します。魔物の脅威で不安な人が多いですので、話し相手になってもらえるだけでも助かります」


 神殿の女性が私に説明してくれる。


「見て回って困りごとがないか聞いてみる。それから回復魔法も使えるから、必要なときは遠慮なく声をかけてね」


 タラーキンさんと女性の神官と別れてから、プレシャスと一緒に部屋の中を歩き回る。周囲を見渡すと、椅子に座って近くの人と会話している人が多くて不安げな声だった。子供たちは遊びたいのか、じっとしていなかった。


「狭い場所もあるからプレシャスを抱きかかえるね」


 プレシャスを両手で持ち上げてから、プレシャスの体を丸めるように抱えた。


「アイ様のぬくもりが伝わってきます」


「私も同じでプレシャスの温かさは私を癒やしてくれる。手伝いを始めたいから、困っていそうな人に声をかけてみるね」


 最初は年老いた夫婦に話しかけてみると、息子夫婦から神殿に避難するように言われたみたい。


「いつも街周辺に魔物はいるが、避難を言われたのは初めてじゃ」


「あなた、イロハ様や大聖女様がこの街を守ってくれますよ。お嬢さんもそう思うでしょ?」


 心配そうな夫婦が私に同意を求めてきた。


「ハンターや警備隊が魔物退治をしているから、街中にいれば安心よ。上位魔物は大聖女様が対応しているから、街へ近づく前に消えるはず」


 優しく声をかけると笑顔を見せてくれたけれど、その表情は引きつってみえた。不安になっているのが私にも伝わってくる。


 移動してほかの人にも声をかけたけれど、誰もが不安や心配そうだった。

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