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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第10石_スピネル

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第64話_出発する理由

 メイティリスは王都へ戻ると思っていたけれど、本当は違っていた。誰でも上位魔物と対峙するならイロハ様の加護がほしいと思うから、メイティリスがイロハ様に会いたい理由はわかった。でもイロハ様はすでにこの家にはいない。


「街外れの家に女神様が降臨するはずはないから、神殿の祝福部屋でお祈りするほうが確率は高いと思う」


 本当のことは言えないけれど、私自身ではイロハ様を呼べないから神殿のほうが可能性はあると思った。


「でも気配がするの」


 私の説明にもメイティリスは諦められない様子だった。


「大聖女様、これ以上は迷惑をかけます。分かるかしら」


 ミリーシャさんがメイティリスへ声をかけると、ミリーシャさんの使い魔がメイティリスの前に飛び降りた。使い魔は体を震わせたあとにハトほどの大きさに変化してから、メイティリスを見つめている。


 メイティリスが開けた口を閉じて、明らかに表情が変化した。何かに怯えているのか、萎縮している感じにさえもみえる。


「迷惑はいけません。謝り方は覚えているかしら」


 今度は少し強い口調でミリーシャさんが話しながら、ミリーシャさんの視線はメイティリスを捕らえていた。メイティリスは大きく頷いていて、まるで母親に叱られている子供みたい。メイティリスが顔を上げて私のほうを向いた。


「急に騒ぎ出してごめん。もうアイに迷惑をかけないから許してほしいの」


 先ほどまでとは異なって、メイティリスが素直な反応を示してくれた。理由は不明だけれど、イロハ様が来たことはごまかせたみたい。


「イロハ様がいないと分かってくれれば、それで平気よ。遅くなったけれど昼食を作るね。下準備までは終わっているから出来上がるまでリビングで待っていてね」


 私の言葉にミリーシャさんが歩き出して、そのうしろにメイティリスが続いた。最後に歩き出したタイタリッカさんが私の横で足を止めた。


「使い魔の巨大化はミリーシャが怒る前兆だ。普段は淑女だが切れると怖いから、アイもミリーシャを怒らすな。俺でも手に負えない」


 タイタリッカさんは小声で話すと、何事もなかったかのように収集部屋の入口にある階段を上っていった。


「ミリーシャさんに怖さは感じなかったけれど怒ると怖いみたい。ミリーシャさんへのわがままは控えたほうがよさそう。プレシャスも気をつけてね」


 ミリーシャさんの姿が見えなくなると、横にいるプレシャスへ話す。


「アイ様を巻き込まないように注意します」


 プレシャスは状況を把握できるから、これでミリーシャさんを無闇に怒らせることはなさそう。


「メイティリスの件もひと段落したから、昼食を用意するね」


 収集部屋を出てプレシャスと一緒にキッチンへ向かった。


 予定していた料理は森で取れた肉と薬草を使っていて、肉を焼く以外は準備していたので時間は掛からなかった。パンには街で買った野菜を刻んで入れて、サラダとスープも運び終わると、5人分の食事がテーベルへ並んだ。


「おいしそうな料理なの」


 メイティリスの感想だった。


「素材になれてきたから味もしっかりしていると思う。冷めないうちに食べてね」


 私が料理を勧めるとメイティリスが食べ始める。最初にスープを飲み出して、おいしそうな顔をしている。


 さきほどはミリーシャさんに叱られたけれど、もう仲直りしているみたいで、ふたりで楽しそうに話し出している。横にいるタイタリッカさんも食べ始めた。


 みんなが食べ始めたのを見てから、私も料理を口に入れる。この世界にも慣れてきて、手に入る食材だけで料理が作れるようになった。お喋りをしながら楽しい食事の時間もおわって、食後のひとやすみをしている。


 メイティリスと視線が合ったので、どうしても聞きたい内容があった。


「メイティリスは上位魔物と対峙するの?」


 上位魔物は倒せないと聞いていたので、どうしても知りたかった。


「国境付近に上位魔物が出現したの。進路によっては、リガーネッタや王都ザイリュムに影響が出るかもしれないから、その前に消滅させる必要があるの」


「上位魔物と戦うの?」


「討伐は無理なの。でも聖女の神聖魔法ピュアヒールラは、魔物を弱体化できる。ワタシの役目は上位魔物の弱体化なの」


 神聖魔法が届く距離は不明だけれど、少なくとも上位魔物がみえる位置まで行く必要はあると思う。メイティリスが危険にさらされる可能性があるのは、戦闘経験が少ない私でも分かった。


「無理はしないでね。メイティリスが怪我したら悲しい」


 上位魔物からの攻撃を受けた、メイティリスの倒れる姿は想像したくない。


「上位魔物から離れた後方部隊から、神聖魔法を使うから比較的安全なの。仮に何かが飛んできてもみんなが守ってくれるの」


 100%の安全はないけれど、それでも上位魔物の攻撃に対する防御は考えられているみたいで安心感が増した。


「それでも何が起こるか分からないから気をつけてね。タイタリッカさんとミリーシャさんも一緒に行くの?」


「当然一緒に行動する。上位魔物の近くには中位魔物も存在するから、俺たちで大聖女様を守る。そのための部隊編成まで完了していていつでも出発可能だ」


「3人の無事を祈っている。明日出発するときに見送りへ行っても平気?」


 少しでもメイティリスが平常心でいられるように、直前まで姿を見せて笑顔で送りたかった。


「うれしいの。2刻の鐘を合図に出発するから、その前に神殿へ来てもらえれば会えると思うの」


「遅れないように神殿へ行くね。そろそろ食後の飲み物を取ってくる」


「おいしい料理だったから、上位魔物が消滅したらまたアイの料理を食べたい」


「今度は違う料理を用意して待っているね」


 席を立って飲み物を取ってきて、予定していた踊りと魔法は明日の神殿で見せると約束した。メイティリスたちは4刻の鐘前に街へ戻りたいみたいで、家の前でプレシャスと一緒に見送った。


「メイティリスたちが家に来てくれてうれしい。でも帰りに魔物と遭遇しないか少し心配よね」


「今日は魔物の心配は不要ですし、魔物退治にも慣れていると思います」


「たしかにタイタリッカさんとミリーシャさんがいれば平気ね」


 メイティリスたちの姿が見えなくなると家の中に戻った。

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