第57話_討伐依頼完了
ハンターギルドに到着すると、マイリンさんが出迎えてくれた。
「ビッグポイズンフロッグを倒してきたよ」
「初めての討伐はどうでしたか?」
「緊張したけれど攻撃される前に倒せたから、依頼としては順調だったと思う。でも帰りがすごくて大変だった」
「ライマインさん、何かあったのですか?」
心配そうにマイリンさんが聞いた。
「討伐依頼自体は問題なくて、遠くから魔法で仕留めた腕も見事だった。問題は街へ戻るときにスパイクベアーと遭遇したことだ」
「まだ街の近くを彷徨いていますか? すぐに討伐を向かわせます」
マイリンさんは受付嬢で突発的な魔物出現に慣れているのか、一瞬だけで驚いただけですぐに対応策を考えたみたい。
「俺たちだけで倒したからもう問題はないが、街周辺でスパイクベアーを見かけたのが気になる。ギルドマスターに知らせたい」
ライマインさんの説明に、マイリンさんは安心した表情を見せた。
「ちょうどよかったです。ギルドマスターもライマインさんを探していました。アイさんの討伐依頼は、わたしのほうで対応します」
マイリンさんの言葉を聞いて、ライマインさんは奥の部屋に消えていった。
「たしか魔石を渡せばよいのよね。素材は落ちていなかったよ」
マイリンさんにビッグポイズンフロッグの魔石を渡した。
「魔石があれば大丈夫です。魔石は売りますか、それとも持ち帰りますか。素材も買い取りできるので、見つけたら持ってきてください」
「まだ魔石を使う予定はないから売りたい。リーフウルフも倒したから、その魔石も一緒に売ってもらいたいけれど平気?」
「大丈夫です。一緒に鑑定します」
リーフウルフの魔石も一緒に渡したけれど、スパイクベアーの魔石だけは記念に手元へ置いた。マイリンさんは鑑定装置を持ってきて、魔石をひとつひとつ鑑定装置に乗せて確認していた。私が見ている間に全ての魔石が確認し終わった。
「ビッグポイズンフロッグが7匹で、リーフウルフが3匹でした。討伐報酬と魔石で銀貨13枚です」
マイリンさんが渡してくれた金額を確認してから受け取った。
「金額は多くないと思うけれど、やっぱり初めての報酬はうれしい。今日は食材を多く買って、夕食を豪華にするつもりよ。私自身へのご褒美ね」
「アイさんの笑顔は癒やされます。自分へのご褒美はすてきだと思いますよ。ほかの依頼も見てみますか」
うれしさが顔に出ていたみたいだけれど、うれしいときは素直に喜びたい。
「次はリリスールさんに監視役をしてもらいたいから、依頼内容はリリスールさんと一緒に決めたい。今はリリスールさんが来ていたりする?」
「ギルドマスターのところにいますが、戻るまで時間がかかると思います」
マイリンさんが教えてくれた。
「時間が掛かりそうなら、あとでリリスールさんには話してみるね」
「分かりました。今日は何か用事はありますか」
めずらしくマイリンさんが私の予定を聞いてきた。
「お金も入ったから買い物して帰るくらいだから、特に予定はないよ」
「もしよければ妹のミーリンに会って頂けませんか。アイさんと話したいと言っていて、今なら酒場も空いていますから大丈夫です」
ミーリンさんがきっかけで、酒場で踊れるようになった。小遣い程度だけれど今の生活に役立っているし、自由に踊れるのも好きだった。
「私もミーリンさんと話してみたい。実はあまり会話していなかったのよ」
「妹も喜びます。酒場の奥にいると思うので、父親に声をかければ平気です」
マイリンさんと別れて、プレシャスと一緒に酒場へ移動した。プレシャスが私の顔を覗いていた。討伐依頼が達成できて、プレシャスも喜んでいるのかもしれない。
「アイ様が無事に討伐依頼を達成できてよかったです」
「最後はプレシャスがいて助かったから、今後もよろしくね」
「もちろんです」
プレシャスと話しているうちに酒場へと着いた。
「サムダラさん、ミーリンさんと少し話しても平気?」
「夕食の下準備中だが、邪魔しなければ構わない。今日は踊り子として踊ってもらうことはできそうか」
「買い物して家に帰るだけだから大丈夫よ。ミーリンさんとお喋りが終わったら踊るから、そのときにまた声をかけるね」
「ミーリンは奥の部屋だ。ゆっくりしていってくれ」
近くの扉から奥へ入るとミーリンさんの姿があった。
「マイリンさんから聞いてきたよ。私と何の話がしたいの? サムダラさんからは了解をもらった」
ここへ来た理由をミーリンさんへ話した。
「本当に来てくれてうれしい。いつもお姉ちゃんとばかり話していて羨ましかったのよ。近くに腰をかけてね。わたしは手を止められないけれど気にしないで」
顔だけは私のほうへ向けてくれたけれど、手元はずっと動かしていた。
「平気よ。私も食事を作るけれど、ミーリンさんは慣れているよね」
「毎日だからね。実はアイちゃんの音楽と踊りに興味があるのよ。音楽と踊りがぴったりあっていて、何処で習ったか知りたいかな」
ミーリンさんは私の音楽と踊りに興味があるみたい。




