表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第9石_スフェーン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/88

第54話_錯覚するスフェーン魔法

 明日は魔物退治に行って、ビッグポイズンフロッグを5匹倒す。魔物が出現する場所や注意点も事前に確認して、準備が終わったので寝室にいた。横にはプレシャスがくつろいでいる。


 私自身は初めての討伐依頼で少し気分が高まっていた。


「ハンターギルドでの初めての討伐依頼だから、新たな魔法を作りたいと思う」


「どのような魔法でしょうか。魔物を倒すための攻撃魔法ですか」


「ビッグポイズンフロッグ対策と言うよりも、まだ戦いに慣れていないから逃げるか隠れられる魔法を作りたい」


 ビッグポイズンフロッグ相手なら、手持ちの攻撃魔法と防御魔法で充分みたいなので、より強い魔物が現れた場合を想定したかった。


「身を隠せると戦闘も回避できますので、格上の相手からでも逃げやすいです」


 たしかに姿が隠せれば、戦いになれていない私には有効な方法と思えた。


「プレシャスの意見を参考にして、姿と音を消す魔法がよさそうね。目の錯覚を利用して相手から見えなくなる魔法と考えると、光の反射が関係しそうだから宝石はスフェーンに決まりね」


「どのような宝石でしょうか」


 プレシャスが聞いてきたので、宝石魔図鑑を出現させてからスフェーンの頁を開いた。立体に浮かび上がらせた映像は、黄色や緑色の色鮮やかなルースであった。


「スフェーンは輝きが強いルースで、光の分散が強いから、身を隠すための錯覚を連想できたのよ。スフェーンの難点は硬度が低くて研磨が難しいから、きれいなルースに仕上がるのは少なくなっている」


 通常のスフェーンはインクルージョンと呼ばれる内包物が多いけれど、宝石魔図鑑ならきれいなままで見られるからうれしかった。


「眩しいくらいの輝きで、アイ様はいろいろな宝石を知っていてすごいです」


「宝石が好きだから、語りきれないくらいの宝石を知っているよ。でもそれ以上に知らない宝石も多いから、新たな宝石に出会うのも楽しみにしている」


 鉱物の中でもうつくしい鉱物が宝石だけれど、あくまでも人間が決めた基準だから曖昧でもあった。昔は宝石と言われなかった鉱物でも、宝石品質が産出されれば宝石となるから、年を追うごとに宝石と呼ばれる鉱物は増えていく。


「スフェーンのかがやきは独特に見えます」


 プレシャスは宝石魔図鑑に表示されたルースを、いろいろな方向から見ていた。


「複屈折の影響によって、光がルースに入射したあとでふたつに分かれるのよ。ただ数カラット以上のルースでは、内包物が存在しやすいのが難点ね」


「ほかの宝石も詳しく知りたいですが、魔法の内容にも興味があります」


 プレシャスの期待に応えるために魔法の中身を考えてみた。身を隠すには最低限は姿を隠したいけれど、音にも敏感な魔物はいるはずよね。魔法を作れる数は10枠残っているから、姿と音を消す魔法は別々に作っても問題なさそう。


「魔法の効果が決まったよ。ひとつは姿を消す魔法で、対象を中心に周囲から見えない膜が作られるから、外から見ると膜を通り越してうしろがみえる。もうひとつは音を消す魔法で、同様な状態を作るけれど膜の中で発生する音は外に聞こえない」


「両方を同時に使えば姿と音がなくなりますので、隠れて移動するにも有効です」


 プレシャスが私の顔を覗き込んだので、実際の魔法を早く見たいのね。言葉を話さなくても雰囲気で、プレシャスの考えが分かるようになってきた。


「魔法の中身を考えたから、今から効果と呪文を書くね。魔法が完成したら、外は暗いからこの部屋で魔法を試してみる」


 宝石魔図鑑に効果や見た目を書き込んで呪文も考えた。魔法の準備が終わると立ち上がって、プレシャスから離れた位置へ移動した。


「わたしが魔法の効果を確認すればよろしいですか」


 私が移動した意図を把握したのか、プレシャスが聞いてくる。


「姿や音の確認をお願いね。最初は姿を消す魔法よ。緑光りょくこうスフェーン」


 宝石魔図鑑から黄緑色の基本ルースが出現して、緑色の淡い光が飛び出した。私の体全体を覆うように光が広がると、緑色の薄い膜ができあがる。


「アイ様の姿が消えました。うしろ側の壁は普通に見えていますが、アイ様の気配はそのまま感じます」


 プレシャスの顔は私のほうを向いているけれど、私と視線は合っていない。気配まではなくならないけれど実用性は充分だった。


「私には緑色の膜が見えて、その先にプレシャスがいる。魔法は成功ね。クリア」


 緑色の膜を消した。


「アイ様の姿が見えました」


 おどろいたようにプレシャスが話す。


「次は音を消す魔法を使うけれど、私が右手を挙げたら何か話すから、聞こえるか教えてね。黄光きこうスフェーン」


 基本ルースからさきほどと同じように黄色の淡い光が飛び出して、私の体全体を黄色の薄い膜が包んでくれた。魔法が完成したので右手を挙げて言葉を発する。


「プレシャス、聞こえる?」


 大声で語りかけたけれどプレシャスの反応はなかったので、何度か話しかけた。


「何も聞こえません。アイ様は声を出していますか」


 プレシャスが聞いてきて、私には外の音が聞こえるみたい。音の魔法も成功のようね。せっかくだから姿も消して同時にできるか確かめたい。『緑光スフェーン』と心の中で唱えた。


「両方の魔法を唱えたよ」


「アイ様の姿まで見えなくなって声も聞こえません」


 ふたつ同時に使うのも成功したみたい。移動すると薄い膜も一緒についてきて、動きながらも使えて便利だった。両方の魔法をクリアで消すと薄い膜が消えた。


「これで見えるようになった?」


 確認のためにプレシャスへ聞く。


「声が聞こえて姿も見えます。アイ様の魔法は自由度が高くておどろいています」


「何でも作れそうで私もおどろいているけれど、最強の魔法を求めるのではなくて楽しめる魔法も作りたい」


 存在しているか分からないけれど、魔王討伐をするわけではないから、強力な魔法にはあまり興味はなかった。


「世界を楽しんでもらえれば、イロハ様も喜ばれると思います」


「今度は遊び心のある魔法で楽しみたいけれど、早めに寝ないと明日の魔物退治に響きそう。寝不足だとライマインさんに怒られそうだから、そろそろ寝るね」


 新しい魔法を楽しみにしながら、ベッドへ入って明日に備えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ