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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第8石_コーラル

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第53話_酒場からの頼まれごと

 ライマインさんが受付に行くと、席には私とプレシャスだけとなった。横にいるプレシャスに向かって声をかけた。


「畑作りでプレシャスは大きくなったよね。もっと大きくなれるみたいだけれど、さきほどの大きさなら川を泳いで渡れるの?」


 イロハ様の世界を楽しむには未開地に行くかもしれないから、プレシャスが泳げれば行動範囲が広がる。私自身も泳げるけれど、水中では陸上以上に魔物への対処はできないと思うから、プレシャスに乗れれば安全に移動できそう。


「アイ様を乗せて泳いで渡れますが、空を飛んだほうが安全で速いです。たいていの空を飛ぶ生きものよりも速く移動できます」


 見た目が猫に似ているので、飛ぶという発想はなかった。


「鳥の使い魔でなくても飛べるの?」


 おもわず聞いてしまった。


「通常は鳥の使い魔のみですが、わたしは特別な使い魔です」


 自信に満ちたような声で答えてくれた。


「人がいるときに空を飛ぶとおどろかれそうだけれど、一度はプレシャスの背中に乗って空を飛んでみたい」


 落ちないような工夫が必要だと思うけれど、空から見る地上に興味があって徒歩で行けない場所にも行ける利点もある。何よりもイロハ様の世界を楽しめる範囲が拡がっていく。


「背中に乗るのは慣れが必要ですが、あとで試してみますか」


「楽しみにしておく。ライマインさんが戻ってきそうだからまたあとで話そうね」


 受付に視線を向けると、ライマインさんがマイリンさんと一緒に戻ってきた。


「アイさんに頼み事があります。今は平気ですか」


 予想外にもマイリンさんが声をかけてきた。


「ライマインさんではなくて私に?」


 私自身を指さして聞く。


「この前のお祭りを覚えていますか。アイさんの異国の踊りと音楽が好評でした。酒場の店主から相談があって、酒場で踊ってほしいと依頼がありました」


 お祭りの日にハンターギルドで、元の世界の音楽に合わせて歌って踊った。好きな歌に合わせて踊るのは元の世界でよくやっていたけれど、素人には変わりない。


「私の歌と踊りは素人だから、お客を楽しませるほどの実力はないよ」


「完璧は望んでいませんし、アイさんの都合がよい日にちや時間に踊ってもらうだけでも平気です。少ないけれど報酬としてお金も出ますよ」


 マイリンさんが具体的な条件を示してくれて、この内容なら私でも対応可能だと思うけれど不安もあった。


「不定期でも構わないの? それよりも酒場に迷惑がかかりそう」


「酒場の店主はわたしの父親で、酒場も家族経営していて、私のみがハンターギルドで働いています。気さくな父親ですから、できる範囲の踊りで平気です」


 マイリンさんの家族のみなら、そこまで気を張らなくて平気そう。そういえば最初にハンターギルドへ来たときに受付を教えてくれた女性がいた。


「マイリンさんの家族なのね。私よりも少し年上の女性がいるけれど姉妹なの?」


「妹のミーリンです。実はミーリンがアイさんの踊りを気に入って、酒場で踊ってもらえないかと、わたしに相談してきました」


「思い出すと雰囲気が似ていたみたい。それで本当に私の踊りで平気なの?」


 念のために聞く。


「アイさんの踊りで問題ないですよ」


「俺もまたアイの歌と踊りが見てみたい。聞き慣れない音楽と一緒に踊るアイはすばらしかった」


 ライマインさんも私の歌と踊りを楽しみにしているみたい。


 音楽や衣装は魔法で作るからお金は掛からないし、踊るのも嫌いではなかった。前回のことを思い出すと、魔法の音楽に魔法の衣装を着て踊ったときに、本物のアイ様を感じたようにも思えたから、私が歌って踊ると本物のアイ様も喜びそう。


「何事も楽しみたいと思うから、試しに今日の夕食で混む前に踊ってみるね。そのときの反応で決めても平気?」


「それで構いません。父親にはわたしから話しておきます」


 私が了解したので、マイリンさんは酒場に向かった。


 マイリンさんが戻るまでは、ライマインさんの冒険談を聞いた。私にはまだ街周辺から離れるのは無理だとわかったけれど、ダンジョンに行ってみたくなった。しばらくしてマイリンさんが戻ってきて、今日の夕方に踊ることになった。


 少しずつ酒場に人が入り出した夕方の時間帯になると、ギルドにあるテーブルで待機していた私へ酒場の店主が近寄ってきた。


「お前さんがアイか。俺はサムダラで、マイリンの父親でもある。踊り子を引き受けてくれて助かった」


「素人だから期待しないでね。お客の反応を見て踊り子を引き受けるか決めたい」


「それで構わない。手前の1画で踊ってほしい」


 サムダラさんに案内されて、酒場の1画に移動する。ライマインさんも残っていてくれたので、プレシャスと一緒にテーブルで待ってもらった。


 指定した位置まで来ると、数名のお客からの視線が私に向けられたけれど、深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


「音色トルマリン、煌めきトルマリン」


 青い光とともに私の姿が変わって、小さな音符と一緒にハープも出現した。ゆっくりとお辞儀をしたあとに笑顔を見せる。


「~花びら踊る街で~、オン」


 聞き慣れた音楽に合わせて歌と踊りを披露した。予想以上に好評で踊り終わると同時に拍手がわき起こった。みんなが笑顔を見せながら楽しんでくれたみたいで、テーブルに移動すると差し入れを持ってきてくれた。


 酒場の踊り子を引き受けると、マイリンさんとライマインさんも喜んでくれた。

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