第52話_ギルドでひと休み
ハンターギルドに到着すると、マイリンさんがほかのハンターに対応中で、受付が空いていなかった。酒場でプレシャスとライマインさんと一緒に受付が開くまで待つことにした。酒場のお客は少なかったのでギルドに近いテーブルを確保できた。
「食事のお礼に俺が飲み物をおごってやる。もちろんアルコール以外だ」
「ちょうど喉が渇いていたからうれしい。果物を使った飲み物でお願いね」
ライマインさんが注文すると向かい側に座って、私の横にはプレシャスがいる。
「少しは街やギルドに慣れたか」
「いろいろと覚えてきたから、今度の討伐依頼も楽しみよ」
プレシャスをふくめたみんなのおかげで、少しずつだけれど討伐に対応できる知識や体が身についてきたと思っている。まだ実戦経験は少ないけれど、プレシャスと一緒に森へ入れば魔物討伐もできる。
「アイ様、慣れてきていると思いますが油断は禁物です。怪我には充分に注意してください」
「大丈夫よ。魔物の怖さは分かっているからライマインさんに指導を受けている」
プレシャスを安心させるように答える。
「よい心掛けだ。依頼をこなせばランクアップができて、報酬も増えるぞ」
「ランク4以上が一人前と聞いたけれど、ライマインさんのランクはいくつ?」
それなりのランクだとは思うけれど、気になって聞いてみた。あとでリリスールさんにも確認してみたい。
「俺はランク6だ。3までが見習いハンターで4以上が初級ハンターだ。6以上になれば中級ハンターで俺はここに該当する。8以上が上級ハンターで人数は極端に少なくて、ランク10はいないと考えて差し支えない」
ライマインさんはレベル6だから中級ハンターで、思っていたとおりにランクが高かった。
本人のランクだけではなくて、具体的にランクの中身まで教えてくれた。私はまだランク1でランク3でも見習いハンターだから、現状では堂々とハンターと名乗るのは早いみたい。最初に目指すラックはランク4の初級ハンターかもしれない。
「ライマインさんはランクが高いのね。このギルドに上級ハンターと呼ばれるランク8のハンターはいるの?」
「該当するのは、ギルドマスターと副ギルドマスターだけだ」
「コーテリアさんとサンサヌさんは、やっぱりすごい人だったのね」
ギルドマスターと副ギルドマスターで得意分野は異なると思うけれど、やはりマスターと名が付くのは伊達ではなかったみたい。コーテリアさんから魔法を教えてもらえたのは幸運だったのかもしれない。
ちょうど飲み物が届いたので、喉の乾きをいやした。私の飲み物は柑橘系で、ライマインさんの飲み物はビールに見えた。アルコールが入っていそう。
ライマインさんがビールを半分ほど飲み干してから、私のほうへ視線を向ける。
「特にランク7と8には壁がある。同様にランク3と4にも壁がある。ランク4と8にラックアップするには試験が必要だ。だから4以上が一人前と判断される」
最初の目標でレベル4を考えていたけれど、一筋縄ではいかないみたい。試験もあるからハンターとして基本ができている必要はあるのね。
「私も早くレベルを上げる必要がある?」
高い報酬をもらえるのはうれしいけれど、あまりレベルにはこだわっていない。目的はイロハ様の世界を楽しむことだから、旅ができる実力がつけばよかった。でもこのギルドは私を受け入れてくれたから、ギルドメンバーに迷惑をかけたくない。
「アイのできる範囲で構わないと思う。ギルドマスターの興味はアイの魔法で、高ランクメンバーを求めての入会許可とは思えない。だが基本を身につけてほしい。アイもこのギルドの名前を背負っているから、そこは自覚してほしい」
私の年齢もあるから、そこまでの高ランクは望んでいないのかもしれない。宝石魔法はいろいろと聞かれそうだけれど、規格外の魔法効果がなければ平気だと思う。
「恥ずかしくならない程度には、依頼をできるようにするね。ちょうどマイリンさんが空いたけれど、ライマインさんは用事があるのよね」
「ちょっとした雑務だからすぐ戻ってくる。特に用事がなければ待っていてくれ」
「プレシャスと話しながら待っているね」
ライマインさんが席を立って受付に向かった。




