第48話_防御魔法の実力
しばらくしてライマインさんが私の家に来たけれど、ライマインさんの横にコーテリアさんと肩には使い魔が乗っている。
「コーテリアさんまで来るとは、ギルド関連で用事でもあるの?」
予定のなかったコーテリアさんが来たので聞いてみた。
「戦いの訓練と聞きましたので、せっかくですので私が魔法を教えましょう」
「コーテリアさんが直接教えてくれるのはうれしいけれど、ギルドは平気なの?」
今日は剣と盾の使い方を教わる予定だったけれど、魔法を学んで損はない。ただコーテリアさんはギルドマスターだから、多忙だと思っている。
「ギルドマスターはアイの魔法に興味があるみたいで、アイの家に行くと言ったらついて来た。ギルドマスターにはまだ魔法を見せていないだろ」
そういえば、コーテリアさんには直接魔法を見せていなかったかもしれない。
「異国の魔法には探究心をくすぐります。その前に確認ですが、アイは一般魔法を何処まで知っていますか」
「神聖魔法と一般魔法がある程度で、神聖魔法の概要は神殿で教わってきた」
コーテリアさんの質問へ素直に答えた。
「一般魔法については基礎から教えたほうがよさそうです。リリスールが話していた通りに少し常識を知らないようです」
「この国に来て間もないから、こちらの魔法について詳しくないのよ。一般魔法の基礎を教えてもらえるのならうれしい」
一般魔法が分かれば2種類の魔法が把握できて、イロハ様の世界を楽しむには必要な情報とも思えた。ライマインさんから戦い方を教えてもらえれば旅もできそう。
「一般魔法は精霊と契約して使える力の総称です。精霊は力を与える代わりに人間から魔力をもらいます」
「使い魔も精霊なのよね?」
「よく知っていますね。少しは常識も学んでいるようで安心しました」
「プレシャスに教わったからね。一般魔法や使い魔は精霊が関与していて、さらに強さで3種類の精霊に分かれるとも聞いた。魔法の威力にも関係するの?」
プレシャスに聞いた内容を把握しながら、もう少し詳しい内容を聞く。
「勉強熱心でよい心掛けです。通常の一般魔法は下位精霊の力を借りて特殊な魔法では中位や上位精霊の力を借ります。精霊の力に比例して魔法の威力も上がります」
むずかしい魔法では上位の精霊による力が必要みたいで、魔法自体を覚えるのもむずかしそうだった。
「魔法は精霊との関係性が強いみたいだけれど、一般魔法の特徴も知りたい」
ライマインさんから剣と盾を教えてもらう前に、もう少し魔法を知りたかった。
「魔法には属性が6種類あって、契約する精霊により属性が決まります。土属性、風属性、火属性、水属性が基本の4属性で強弱関係があります。残りは光属性と影属性で最初の4属性よりも上位で、光と影は相殺されます。使える人間も限られます」
光属性と影属性はプレシャスに聞いていたけれど、上位の属性だから使える人が少なかったのね。
「誰でも練習すれば6種類の属性を使えるの?」
「2属性が使えれば一人前で、4属性も使えれば優秀でしょう。ただし上位の2属性を両方使える黒魔道士はほとんどいません」
「コーテリアさんは何属性使えるの?」
気になって聞いてみた。
「4属性です。知識ばかりでは退屈でしょうから、実際の魔法を見せます。アイは防御魔法を庭の中央に出現させてほしいのですが、可能ですか」
コーテリアさんは優秀で、属性の種類が気になるけれど魔法も早くみたい。
「できるけれど、防御力はどの程度でも構わない?」
「せっかくですから威力も確認しましょう。通常の防御力で出現させてください」
「庭の中央に半球の壁を作るね。矢車サファイア」
宝石魔図鑑が出現して基本ルースが飛び出してから、青い光が庭の中央に着くと半球の壁が作られた。壁の強さは宝石魔図鑑のままだった。
「私の知らない言葉で、手元に現れた本と宝石と思われる浮遊物は何ですか? 探究心をくすぐります」
魔法に精通しているコーテリアさんでも驚いたみたいで、宝石魔図鑑と基本ルースを眺めている。
「宝石魔図鑑と呼ばれる本で、書かれている内容を使うのが宝石魔法よ。浮遊物は基本ルースで、魔法が発動している証ね」
「触っても平気ですか」
コーテリアさんが目の前まで来て、宝石魔図鑑と基本ルースを触ろうとした。
「試したことがないけれど、たぶん大丈夫よ」
コーテリアさんが手を伸ばして宝石魔図鑑に触ろうとしたけれど、手が宝石魔図鑑の奥へとすり抜けた。基本ルースでも試したけれど同様な結果で、私は両方に触れたから私以外では無理みたい。
「本人以外には無理なのでしょう。ますます探究心をくすぐります」
残念そうに答えたけれど、興味は今以上に沸いたみたい。
「私にも詳しくは分からないから、理由までは説明できない」
「もっと宝石魔法を調べたいですが、その前に実際の一般魔法をみせます」
コーテリアさんが半球の壁に視線を移した。
「どのような魔法が見られるのか楽しみ」
「これから風属性の魔法を見せますが、アイの魔法は6属性とは異なるようです。最初は単体の攻撃魔法で、弱い下位魔物を倒せる強さで唱えます。ウィンド」
コーテリアさんが前方へ出した片手から空気の塊と思われる魔法が飛んでいく。私が作った壁に当たる音とともに空気の塊は弾け飛んだ。
「宝石魔法は宝石魔図鑑が必要だけれど、一般魔法は何もいらないのね」
魔法の発動をみて、魔法の威力よりも魔法の唱え方に興味を持った。
「精霊と契約するだけなので本は不要ですが、木を介して契約すると魔法の効率や威力が上がります。そのため黒魔道士は木の杖を所持するのが一般的です。不明点はその都度聞いて下さい。次は強い下位魔物を倒せる力にします。ミドルウィンド」
先ほどと同じ空気の塊が大きくなって、速度も素早くなって壁に当たった。それでも壁は庭の中央に残っていた。
「アイはすごい。今の魔法は街道沿いの魔物を一撃で倒せる威力だが、その魔法を防いだのだから充分実用に耐える」
ライマインさんが感心していた。
「防御力が分かってよかった。今まで試せなかったのよ」
すなおな感想だった。宝石魔図鑑の基本状態で充分の防御力なら、もっと強さを念じればダンジョンでも使えそう。
「想像以上に宝石魔法は優秀なようで、探究心をくすぐります。防御魔法は分かりましたので、次はほかの魔法を確認してみます」
コーテリアさんが私へ視線を向けた。




