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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第6石_トルマリン

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第41話_女神と踊り子

 街中の賑やかな雰囲気を感じながら神殿前に到着して、プレシャスと一緒に神殿の中へ入った。あたりを見渡すとタラーキンさんの姿があったので近くへ向かう。


 近づくとタラーキンさんも私に気づいてくれた。


「タラーキンさん、相談があって神殿に来たのよ。少しだけ時間は平気?」


「大丈夫ですが、ワタシに何かご用でしょうか」


 紹介状を見せる前に、タラーキンさんへ確認したい内容があった。


「先日神殿へ来たあとに家へ帰ろうとしたら、途中で誰かにつけられたみたい」


 笑顔で質問すると、タラーキンさんは目を丸くしておどろいている。プレシャスが気づかなければ、私も尾行は分からなかった。途中で振り向いていないから、タラーキンさんは尾行に成功したと思っていたみたい。


「申し訳ありません。決して怪しい行動ではないです」


「タラーキンさんは悪い人に見えないし、きっとメイティリスが頼んだのよね。メイティリスとは友達になったから平気よ」


 大聖女様を名前呼びにしたためか、タラーキンさんの顔つきが厳しくなった。でもいまさら呼び方を変えるつもりはない。


「アイさんは異国出身だと聞きましたが、大聖女様を名前で呼ぶのは問題です。ワタシ以外に聞かれると大騒ぎになります」


 辺りを気にしながら小声で説明してくれる。


 メイティリスと出会って日は浅いけれど、私に温かい場所を求めてきた。私がほかの人と同じ態度を取ると悲しむはずだから、ここは堂々とした態度を取りたい。


「メイティリスの許可は取っていて、私とメイティリスは特別な関係よ。証拠に紹介状を預かってきた」


 メイティリスが書いた紹介状を渡す。タラーキンさんが中身を読み始めると、怪訝な表情へと変わっていく。


「間違いなく大聖女様からの紹介状で、呼び名についても説明がありました。でもにわかに信じられません」


「私の言葉には疑問を持つかもしれないけれど、紹介状の内容がすべてよ」


「大聖女様の言葉に嘘はありませんし、紹介状の中身もわかりました。見習い神官たちを音楽と踊りで楽しませてくれるのなら、うれしく思います」


 メイティリスの招待状は威力が壮大だった。タラーキンさんはまだ納得していないと思うけれど、心の中で折り合いをつけたのか、笑顔を見せてくれた。


 タラーキンさんに案内されて着いた場所は神殿入口の横にある庭で、その場でタラーキンさんから相談を受ける。


 一度に全部の見習い神官は呼べないらしくて、3回に分けてほしいみたい。先ほど踊ってみて体力はあまり減らなかったから、快く引き受けた。タラーキンさんはうれしそうな表情をみせて、近くを通りかかった神官へ声をかけた。


「見習い神官たちを呼びに行かせましたが、どのあたりで踊りますか」


 タラーキンさんに聞かれて庭を眺めた。手入れのされたきれいな庭で、庭の中央にある石像で目が止まった。


「イロハ様の石像前でも平気? 神殿ならではの場所で踊りたい」


 せっかくだからイロハ様にも私の歌と踊りを見せたかった。


「構いません。イロハ様も喜んでくれるでしょう」


 ほどなくして人が集まってきて、子供たちは10名くらいだった。それ以外にも付き添いで大人たちもいた。みんな同じ服装なので神殿関係者みたい。


「こちらの準備が整いましたので、アイさんも準備をお願いします」


「宝石魔法を使うから準備は一瞬だから、場所さえ決まればいつでも始められる」


「異国の魔法ですか。アイさんの判断で実施してください」


 タラーキンさんに頷いてから石像の前へ移動する。プレシャスはタラーキンさんの近くで待機してくれた。石像の前でイロハ様にお祈りして、楽しんでいることを感謝した。向きを変えて、集まった人たちにお辞儀する。顔を上げて笑顔を見せた。


 息を整えてから言葉を発する。


「集まってくれてありがとう。今はお祭りの期間中だから、異国の音楽と踊りを楽しんでくれるとうれしい。音色トルマリン、煌めきトルマリン」


 宝石魔図鑑と基本ルースが出現したあとに、私の体が青色の光で包まれて、踊り子の衣装に変わる。同時に浮いているハープから、かがやく音符を出現させた。子供たちだけではなくて、大人たちからもおどろいた声が聞こえる。


「私の故郷にある歌よ。~花びら踊る街で~、オン」


 自然と体が動く。2回目の踊りなので周りが見えてきて、子供たちの楽しむ表情が私の踊りを後押ししてくれた。私自身も音楽を楽しみながら踊って、周囲と一体となるような感覚も味わう。


 最後まで歌って踊り終わると、お辞儀して締めくくった。周囲から拍手がわき起こって、子供たちが近寄ってくる。年齢は私と同じ程度か幼く感じるから、同年代で大聖女をしているメイティリスは特別みたい。


「お姉ちゃんの踊りはとてもきれいだった。もう一度みたい」


「心が温かくなって楽しかった」


「何処の国の音楽なの? 初めて聞いた曲なの」


「まるで女神様みたいだったよ」


 見習い神官である子供たちが、次から次へと感想を述べてくれた。みんなの笑顔を見られて、それだけでも歌って踊った価値はあったと思う。青空の下で踊れたのも開放感があって楽しかった。


「私も神殿で歌って踊れて楽しかったよ。あと2回踊るから、ほかの子供たちも呼んできてね」


 人の入れ替えがされている間に休憩していると、タラーキンさんが近くに来た。


「見習い神官たちが喜んでいました。アイさんの踊りも見事でした」


「みんなが楽しんでくれたみたいだから、私も踊った甲斐があった。あと2回も楽しく歌って踊るね」


「せっかくですので、一般の人も見学させて平気でしょうか。アイさんの歌と踊りを見て、途中から見学したいと申し出がありました」


 思った以上に好評だったみたい。


「本職の踊り子ではないけれど、それで構わないのなら平気よ。当然、お金もいらないから好きなだけ呼んでね」


「助かります。さっそく知らせてきます」


 2回目も同様に歌って踊って、3回目では囲まれるほどに人が増えていた。緊張はしたけれど無事に踊りきれて、最後には大きな拍手をもらえたのがうれしかった。


 タラーキンさんと別れて、プレシャスと一緒に神殿をあとにした。賑わっている街中へ向かって、今度はお祭りで私自身が楽しんだ。

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